2015年4月3日発売
男は元戦場カメラマン。逢瀬の夜、女に語り始めたのは、長崎の町で掘り出した喉仏の骨、黒こげの殉教者の記憶、30年前の雪の日の爆心地での教皇の祈りだった…。戦後70年、紛争の世紀に切り込む衝撃作。
絵本作家として活躍する賀川真帆。真帆の父は十五年前、「出張で九州に行く」と言い置いたまま、富山で病死を遂げていた。父はなぜ家族に内緒で、何のゆかりもないはずの富山へ向かったのかー。長年のわだかまりを胸に、真帆は富山へ足を向ける。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。
東京の暮らしに疲れ、仕事を辞めて、故郷の富山に帰ってきた脇田千春。実家でふさぎ込んでいたが、親戚の中学生・夏目佑樹と触れ合ううち、自分らしさを取り戻していく。父のいない子として生まれた佑樹は、不思議な懐の深さを持つ青年へと成長していてー。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。
神社で神隠しに遭う少年、ホームレスの奇妙な生活を垣間見る青年、意外な過去を持つ金髪の老人……。この団地には全てが詰まっている、喜びも哀しみも。新鋭が叙情豊かに紡ぐ、少し不思議な7つの物語。
バブル崩壊後の1993年、出版社に就職したひとみの半生は変転の連続だった。不本意な配属、失恋、プロポーズ、予期せぬ妊娠、離婚…。時に家族や友人を裏切ってまで仕事に貪欲であり続けたひとみの20年間を、人と人をつなぐツールの変遷や、移りゆく世相を巧みに織り込んで描き出す。女の狡さと黒い本音全開のこの物語は、あなたの魂を捉えて離さない
うなばら銀行の窓際寸前行員、貞務定男は突如支店長に抜擢。支店では、女番長とあだ名される若手行員。柏木雪乃の言動に振り回されるが、不正融資発覚をきっかけに、貞務は雪乃ら若手たちと支店内の秘密に迫ろうとする。しかし、不正融資には政治家やヤクザも絡み、その背後には経営陣の派閥抗争が。貞務や雪乃たちに明日は見えるのか。
空回りしがちな仕事と、望まない結婚を迫る恋人を置いて、介護福祉士の梓は、新宿駅から特急あずさに乗り込んだ。諏訪湖畔で出会った陶芸家の桂に連れられ、泊まるところのない梓は長野・高遠町の民宿へ。雄大な自然とのんびり暮らす人々に囲まれて過ごし、心は揺れ動くが…。高遠と東京を行き来しながら、新しい生き方を見つけていく女性の姿をいきいきと描く。
台東区根岸のラブホテル街で、スーパーの社長が口の中を銃で撃たれて死んでいた。機動捜査隊浅草分駐所の刑事・辰見は、二十七年前に起きた暴力団組長射殺事件の手口を思いだし、当時の関係者で元ヤクザ・永富と再会。だがその後、同じ手口で二人目の犠牲者が。事件の背後に隠された驚きの真相とは…!?いぶし銀の魅力全開の傑作警察小説!
百合からSFまで幅広いジャンルで活躍する美人作家・森奈津子。彼女の周りで事件が多発する。無人島で男性が殺された?宇宙人にすけべな依頼をする男の運命は?亡くなった少女との再会を願う女性の本心とは…。どんな“不思議”にも動じない奈津子が驚くべき推理を披露!読めば誰もが過激でエレガントな彼女に夢中になる、笑撃の傑作ミステリー!
私立女子校中等部二年生の範子は、地味ながらも気の合う仲間と平和に過ごしていた。ところが、公開裁判の末にクラスのトップから陥落した滝沢さん(=王妃)を迎え入れると、グループの調和は崩壊!範子たちは穏やかな日常を取り戻すために、ある計画を企てるが…。傷つきやすくてわがままでー。みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説!