2015年8月31日発売
どうしたら、もっとふつうに彼を愛せるの? 誰かわたしを止めて、お願いーー 美容師として念願の自分の店をもち、専業主夫の夫に支えられ、しあわせな結婚生活を送っていたはずなのに。気づくと愛する夫を傷つけている舞。ある晩、夫を殴打し部屋を飛び出した舞は、帰らぬ彼をひとり待ち続けている希子と出会う。白いマンションのなかで渦巻く孤独、次第にもつれる男女の愛と渇き。息をもつかせぬ渾身長篇。
やわらかな記憶の連なりは、呼び起こすたびにその色合いを変える。東北へのバイク旅行。美術準備室でのできごと。そしてジミヘンのギター。二〇〇一年の秋からいくつかの蛇行を経て二〇一一年の春までをつなぐ、頼りなくもかけがえのない、やわらかな記憶の連なりーー 。人と世界へのあたたかいまなざしと、緻密で大胆な語りが融合した、記憶と時間をめぐる傑作小説。第一五三回芥川賞候補作。
1990年2月11日。光よりも速く世界を移動した、「奇跡」のすべて。誤審と解放。行列と暴力。タイソンとマンデラ。意志と衝動。ブラック企業とドラクエ。野性と理性。42 と1。みんながんばれ。無理せずがんばれ。「2とZ」と「パレード」そして「MとΣ」。小説の可能性を拡張する、力と技、心意気ーー。新しくて、尖ってて、でも不思議と懐かしい。突然現れた才能による第一五三回芥川賞候補作。
川端康成文学賞受賞記念の短篇集。「沖縄の私小説を書いてきた」作家の新境地。沖縄に生きて、その風土を呼吸しながら創作を続けてきた八十九歳の作家の、初の私小説。時の移ろいを生き抜く老年の日常。妻の入院をきっかけに、出会ってきた人々の面影とともに、遠い記憶が鮮明に蘇り、いまを生きる私を、強く激しく揺り動かすーー川端康成文学賞を受賞した表題作と新作『病棟の窓』を収録する、最新作品集。
〈絶海の孤島で暮らす少年たち〉物語の元祖にして最高傑作! 熟読してきたシーナ父娘による新訳決定版刊行。嵐の夜、少年達だけを乗せた船はニュージーランドの港から流されて無人島へと辿り着く。航海経験のある仏国人ブリアン、冷静な米国人ゴードン、優雅で誇り高い英国人ドニファンなど十五人の少年はいかに団結し、仲違いし、生き抜いていくのか? この無類の冒険譚を愛読し、モデルの島まで航海した椎名誠と渡辺葉による父娘共訳!