2015年発売
警視庁暗殺部のトップ・菊沢義政は第三会議の要請を断固として断った。新設された国際的労働機関の闇を巡る実態調査という事案は、存在が絶対に公になってはならない暗殺部を表舞台に晒す危険が余りに多いのだ。どうやら政府中枢の圧力らしい。同じ頃、日本でも優秀な技術者たちが失踪する事件が頻発していたー壮大なスケール、上下巻の迫力で贈るシリーズ第3弾!
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪かー。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。
世界各国から集められた死刑囚を収容する、ジャリーミスタン終末監獄。親殺しの罪で収監されたアラン青年は、“監獄の牢名主”と呼ばれる老人シュルツと出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わるアラン。死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか?どうして囚人は闇夜ではなく、人目につく満月の夜に脱獄したのか?そして、アランが罪に問われた殺人事件の真相とは…。死刑囚の青年と老人が遭遇する、摩訶不思議な事件の数々。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する、著者渾身の本格ミステリ。
退廃と背徳の都パラディス。この地において男女の別に、いかなる意味があろうか?詩人が手に入れたスカラベの指輪の秘密。両性具有の吸血譚「紅に染められ」。昼間は修道院で働き、夜は少年の姿で悪行のかぎりを尽くす娘。悪魔崇拝を描いた「黄の殺意」。謎の死をとげた美貌の役者が魅入られたこの世ならぬ存在とは。「青の帝国」。幻想の都パラディスを舞台にした中編3編収録。
「氷のザキ」と異名をとる警視庁捜査第三課の神崎は、相棒の水沢とともに大規模な美術品窃盗事件を捜査していた。その盗品を追う過程で榊田恵、学の姉弟が浮かび上がってくる。姉弟はさる老富豪の隠し子で、屋敷に同居して、老富豪を介護しているということだったが…。事件の臭いを感じた神崎はひそかに内偵を始めたー。
老舗酒造の杜氏である父親と衝突して、実家を飛び出した次男。七年後、父親の訃報にやむなく戻ると、「喪主はお前に」と不可解な遺言が残されていた。なぜ父親は、跡を継ぐ長男を差し置いて、次男に式を任せたのか?(「父の葬式」)葬儀を省く「直葬」が主流になった国で、死者をめぐる「謎」に戸惑う遺族たち。-女社長・紫苑が率いる北条葬儀社の面々は、式を滞りなく進められるのか。気鋭の放つ傑作連作ミステリー。
写真専門学校に通う奥野弘志はヌード撮影実習で興奮のあまり失神してしまう。気落ちして地元商店街に逃げ帰った弘志の目に見慣れぬ惣菜屋が飛び込んでくる。「いらっしゃいませ」。優しく微笑むエプロン女性は、実家の写真館に長らく飾られていた憧れの振袖美女・麻奈美だった。今は若後家の身だという彼女に童貞の弘志の心は一気に傾いていく。週刊実話で大人気を博した連載、ついに単行本化!
私の名は最上俊平。私立探偵だ。フィリップ・マーロウを敬愛する私は、ハードボイルドに生きると決めているが、持ちこまれるのはなぜかペットの捜索依頼ばかり。正直、役不足である。そろそろ私は変わろうと思う。しかるべき探偵、しかるべき男にー。手始めに、美人秘書を雇うことを決意したが、やってきたのはなんとも達者な女性で…。心優しき私立探偵とダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻きこまれた殺人事件。くすりと笑えてほろりと泣けるハードボイルドの傑作、待望の新装版。
いつものようにアルバイト先のコンビニに出かけようとしていると、日本で一番会いたくない男、警視庁の工藤が訪ねてきた。きれいな女子大生を連れていて、彼女を守ってくれと言う。聞けば、ストーカー被害に遭っているらしい。それなら放っておけないと、警護を引き受けた“おれ”。怪しい男を見つけ、追跡するが…。緊迫感とユーモアが溶け込んだ書き下ろし探偵ミステリー。不器用だけど静かに熱い探偵・川庄の活躍と、ひとりの男の成長に注目!
廻り髪結のおゆりは、かつての許嫁で御家人の島崎清之助に付き纏われ、怯える日々を送っていた。岡っ引の弥平次は、おゆりの窮状を知り船宿「笹舟」に匿うが、その最中、久方ぶりに元臨時廻りの同心が柳橋に姿を見せる。ろくでなしの島崎をおゆりから遠ざける策を思案していた弥平次は、一芝居打つことを思いつき…。人気の人情捕物シリーズ第六弾、待望の書き下ろし!
深手を負った、七人殺しの下手人・野うさぎの鉄二を匿い、施療をした師・幻宗に疑問を覚えた新吾だったが、幻宗は「医者の務めを果たしたまで」と言い切る。鉄二は順調に快復していったが、ある日、看護をしていた老夫婦が惨殺され、鉄二の姿は消えてしまった!新吾は鉄二を捜して奔走する。書き下ろし青春時代小説、シリーズ第二弾!!
本所のボロ長屋で不遇をかこつ剣豪「鬼がらす」こと烏森堅四郎の隣に、花形役者の揚羽恋之介が越してきた。長屋の女たちを目で殺す恋之介に猛反発する堅四郎。だが、否応なく観に行かされた恋之介の芝居に大感激し、一転弟子入りを志願する。国惑する恋之介は無理難題をふっかけるがー!?前代未聞の凸凹師弟が、お江戸の難事件を鮮やかに解決!ドラマ『猫侍』で注目の黒木久勝が放つ痛快デビュー作。
時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国、外館藩西根通大平村が舞台。大平村には、60歳になると全ての役割を解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは食い扶持を減らす為の姥捨ての旅とも囁かれていた。一方、代官所は、どんな飢饉の年でも、きちんと年貢米を納める大平村に不審を抱く。老人の口減らしだけで、重い年貢を納めることができるのか、もしや「隠田」を開墾しているのではないか…。隠田は死罪に当たる時代、真実を暴きたい代官所と村人との攻防戦が始まる。老人達の知恵と勇気が、役人達を翻弄、果たして大平村の運命やいかに…?痛快!幕末老人エンタテインメント。
どうして母は自殺したのか?娘である著者はその謎を追い求める。子ども時代、高級ファッションブランドのモデルとして国民的なスターだった母が、成人して狂気に襲われる。どうして母は精神に異常をきたしたのかという疑問、同じ病に自分も襲われるかもしれないという不安が、その錯乱を目の当たりにした作者につねにつきまとう。母の生きた軌跡をたどると、次々と闇の部分が明らかになっていく。母の生きた軌跡を描ききることで、著者の魂は救われるのだろうか。
1931年夏、日本人監督の近藤兵太郎率いる嘉義農林学校野球部員たちは、あこがれの甲子園の舞台に立っていた。守りの日本人、打撃の台湾人(漢人)、そして俊足揃いの台湾原住民ー三つの民族からなる混成チームは近藤から授かった“不屈の精神”を武器につぎつぎと勝ち上がっていく。そして、超満員の観衆が見守る中、決勝戦のサイレンが鳴ったー。
人気作家、リザ・スコットラインが選んだ、マイクル・コナリー、クラーク・ハワード、ジョイス・キャロル・オーツ…。世界最高レベルのミステリ20編を収録。
時は安永、徳川幕府第十代将軍・家治の御世。顔は不細工だが心は錦の腕利き同心・釜口右衛門は悪徳与力から無理難題を押しつけられる。多くの上つ方を集めて催される真剣試合の出場者として凄腕の人斬りを捜せー。暗黒街のつてを頼って、釜口は美貌の剣鬼・朽縄真蔵と出会う。蝦蟇と大蛇の邂逅が、華のお江戸に悪を滅する嵐を起こす!
江戸城大奥で火災が発生した後、旗本が行方不明となった。御台所の側に仕える大奥女中のお静は、高位の人物からの極秘の依頼で、行方不明の旗本の捜索を開始するが…。訳あって江戸城の大奥で働くお静が、権力に囚われし男女を凛として裁く!