2016年1月18日発売
長野オリンピックから18年。今こそ語ろう。あの開会式で何があったのか。ライフル射撃のオリンピック特別訓練員としてモスクワ五輪をめざしていた長野県警所属の神稲貴之。テルアビブ空港乱射事件の被疑者として逮捕され、釈放後、地元の自動車整備工場に勤め、逼塞した生活を送っている荻窪克巳。ふたりの運命は、戦後の混乱期の謎をめぐって、奇妙に交錯し始めるー。平和の象徴オリンピックが始まる日、昭和の闇のひとつが、清算されようとしていた。
1930年1月、霧深きロンドン。米英仏伊、そして日本の五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしていた。世界恐慌が吹き荒れ、緊縮財政と戦争回避が叫ばれているなかではあったが、各国それぞれの思惑と輿論を抱え、妥協点を見出すのは容易ではない。日本の全権団長は若槻礼次郎。随員には雑賀潤外務省情報部長がいた。難航を極める交渉の果て、雑賀は起死回生の案を捻り出すがー。誇り高き外交官の活躍と、統帥権干犯問題の複雑な経緯を、精緻かつ情熱的に描ききった、今こそ読まれるべき傑作。
ここから出て生きていける可能性があるなら、それが藁だとわかっていても、俺はすがるしかないんだ。犯罪性向を持つ邪悪な人間「欠落者」を選別できるようになった社会ー。欠落者は脱出不能の人工島に隔離されている。BDことセイもその一人。だがセイは、自分が残虐極まりない欠落者たちとは違うことを知っている。なぜこんなことに?どうすれば、分かってもらえる?自由とひきかえに得た特異な能力で、島に逃げ込んだ凶悪犯を狩るセイに、密命が持ち込まれる。報酬は言い値。そればかりか恩赦で島を出られるというのだがー。
中学3年生の緒方櫂は、従兄妹の未来を奪った加害者に復讐を誓った。自分の左目は見た者を石にする“邪眼”だと称する高橋文稀は、15歳の誕生日に自殺する計画を立てた。夜の公園で出逢った二人は、文稀が死ぬまでの間、櫂の復讐に協力する契約を結ぶ。予行演習として、少年法に守られ罰せられない犯罪者たちを一人ずつ襲っていくが、彼らの制裁は次第にエスカレートしていきー。復讐の意味を問いかける衝撃作。
荷ほどき、付録組み、棚作り、ポップ描きにもちろんレジ。お客さまの目当ての本を探したら、返本作業に会計、バイトのシフト。万引き犯に目を光らせて、近刊のゲラを読んで、サイン会の手配をして…、書店員って、いったいいつ寝るの?力仕事でアイディア仕事で客商売。書店員は日夜てんてこ舞い。しかも、彼らは探偵という特殊業務まで楽しげにこなしてしまうのです。渇いた現代社会の知のオアシス、本屋さんにようこそ!
「ミステリ・ウィークエンド」と銘打たれた冬の観光ツアー。その滞在先で客が死体で発見された。そこへあらわれたあやしげな振る舞いと不可解な言動を繰り返す“自称”夫婦。事件の謎がさらに深まるなか、新たな死体が発見される…巧みなストーリーテリングで読者を翻弄させる名人ワイルドの処女ミステリ長編!P.モーラン・シリーズ未邦訳短編も収録!
仲のいい近所同士のホームパーティは、たがいの「恋愛問題」がもつれて気まずい形でお開きとなった。その夜、「問題」の主役となったコナー夫妻のことが気になったナンシーが様子を見に家に行くと、この寝苦しい夜なのに窓は閉じられエアコンもついていない。すでに妻は殺され、さらに夫も死んでいたことがわかった。マスターズ警部補が目を付けた「容疑者」には堅固なアリバイが…
家康を怯えさせた真田幸村の激烈な生涯!「六文銭をなびかせて戦えない。それだけが心残りだ。もう一度、六文銭はためくもとに兵を集めたかった」そう言い残して、幽閉されたまま亡くなった父・昌幸。父の言葉を受けて、大坂冬の陣の真田丸、夏の陣の家康への突撃!そのとき幸村になにが起こったか?そして、幸村の息子・大助は最期に…。戦国時代の最後を生き抜いた真田親子の人生、そして家来や忍者との絆を描いた歴史小説。