2016年1月29日発売
今晩和、親愛なる地平線の旅人よ。これは朝とも夜ともつかない地平で目覚める君の為の物語(Roman)だ。傷つき敗れ、失う者達の物語(Roman)だ。それでも空を仰ぎ、彷徨い続ける者達の物語(Roman)だ。嗚呼、僕達は生まれて来る。そして、死んで行く。廻り続ける風車のように。これはそこにある物語(Roman)だ。どこにでもある特別な物語(Roman)だ。さあ、詩を灯そう。詠い続けよう。いずれ聖夜(ノエル)に生まれいづる彼のように。
ねえ、神様。あんたにやってもらいたいことがある。世界を正しいあり方に戻すんだ。阪神大震災を予言し、信者を増やす淡路島の新興宗教。教祖Sはイザナキ、イザナミの国生みの地で、新たな世界創世を説いていた。ある日、アメリカ西海岸の秘密組織から男たちが訪ねてくる。彼らは何を企んでいるのか。すべてを見通す僕とは、いったい何者か? 世界のひずみが臨界点に達したとき、それは起きたーー。大注目の芥川賞候補作。
ここではないどこか、誰も書いたことがない世界を書きたいーー気鋭の作家の新感覚小説! 失踪した音楽家の父を捜すため、西海岸の難関音楽学校を受験する脩。そこで遭遇する連鎖殺人ーー「アメリカ最初の実験」とは? ピアニストの脩が体感する〈音楽の神秘〉。才能に、理想に、家族に、愛にーー傷ついた者たちが荒野の果てで摑むものはーー西海岸の風をまとって、音楽が響き渡る……著者新境地のサスペンス長編。
私は母国より、あなたを選んだ……大ヒット「あん」の著者が描く日韓のロミオとジュリエット! 孤独の街で、二人は出逢った。ミュージシャンとして成功を夢見る拓人と脚本家となり夢の物語を紡ごうとするユナ。互いの心の隙間を埋め合った二人は、日本人と韓国人の障壁も乗り越え世界を共有していく。だが拓人の道が開けかけた時、運命の日が訪れたーー9・11 を体験した作家が描く、心がちぎれるほど切ないラブストーリー。
古い絵はがきに綴られた十行の詩。細くながく結ばれてゆく幻の「詩人」との縁を描く待望の長篇。留学生時代、古物市で見つけた一九三八年の消印のある古い絵はがき。廃屋としか見えない建物と朽ち果てた四輪馬車の写真の裏には、流麗な筆記体による一篇の詩が記されていた。やがて、一枚また一枚と、この会計検査官にして「詩人」であった人物の絵はがきが手元に舞い込んでくるーー。二十数年にわたる縁を描く待望の長篇。
内戦終結後、出所した劇作家を迎えて十数年ぶりに再結成された小劇団は、山あいの町をまわる公演旅行に出発する。しかし、役者たちの胸にくすぶる失われた家族、叶わぬ夢、愛しい人をめぐる痛みの記憶は、小さな嘘をきっかけに波紋が広がるように彼らの人生を狂わせ、次第に追いつめていくー。鮮やかな語りと、息をのむ意外な展開。ペルー系の俊英がさらなる飛躍を見せる、渾身の長篇小説。
母を亡くし、施設に引き取られてきた少女・志場崎安那。彼女は持ち前の明るさで、辛い経験を持つ仲間たちを盛り上げていく。十五年後ー。突然のニュースが舞いこむ。アンナが男を刺して逮捕された、と。何がアンナにあったのか。彼女と出会い、かけがえのない時をすごした仲間が集まり、奔走をはじめる。やがて、アンナがひた隠しにしていた過去が見えてくる…。著者自身も愛読した名作へのオマージュをこめた、感動の物語。
ルアイン軍を撃退し、歓喜に沸くエヴラール城。だがキアラは、人を殺したことに対する罪悪感と怯えに苛まれる。仲間達との交流を通じて気持ちに折り合いをつけたキアラは、みんなを守るために戦うことを決意。自軍を勝利へと導いていく。激しさを増す戦いの中で、王子レジー、そして騎士カインからの思わせぶりなアプローチを受け、心が休まるヒマもない!?一方ルアインでは、レジーの命を奪おうと暗躍する影が…。激化する戦い、暗殺者の魔の手、新たな仲間、気になるアプローチ…!?心が揺れる、第2巻。
大学生の花沢多摩子は書道が恋人の変わり者。祖母の部屋で古びた簪を見つけたその夜、春風と名乗る花魁の幽霊が現れる。多摩子に花魁は笑いながら「本物の恋を見ることができれば成仏するかもしれないよ」と告げる。自分に取り憑いた幽霊の言葉を信じ、多摩子の体を貸して、悩める人の恋を手練手管で成就させることに。かくして妖艶で口の悪い花魁と地味で無口な書道ガールによる「最強の恋愛アドバイザー・春風さん」が誕生した! 恋模様は十人十色。泣いて空まわりして打ちのめされても、好きって無敵。あなたの恋を、二人が全力で応援します! 文庫書き下ろし連作短編集。
動乱の幕末維新。若き薩摩藩士・五代才助ーのちの五代友厚は、藩の命を受けて長崎海軍伝習所に学び、世界を知った。勝海舟、坂本龍馬、高杉晋作、貿易商のグラバーらと知己を得、薩英戦争後に若き留学生を連れて渡欧。自国に西洋社会の豊かさをもたらすべく、維新後は武士を捨て、士魂を持つ実業家として活躍を始める。大阪を“東洋のマンチェスター”にする夢を描き、大阪商法会議所などを設立し、日本経済の基盤を築いた風雲児の豪快な人生を描いた傑作歴史小説『士魂商才 五代友厚』を改題し、装いも新たに刊行!