2016年10月20日発売
反ファシズム活動の罪で政治囚として一僻村に流刑に処された作者=主人公カルロ・レーヴィ(1902-75)が目のあたりにした、南イタリアの苛烈な現実。現代文明から隔絶した、呪術や神話が息づく寒村での生活を透徹した視線で描きだす、戦後のイタリア文学を代表する傑作。
かつて人類は突如出現した「黒き獣」との戦いを余儀なくされた。その圧倒的な力により人類が滅びるのも時間の問題と思われていた。その時、六人の英傑が現れた。彼らは古の力「魔術」を人類に伝え、人々はそれに科学を融合させ、万能の力「術式」を完成させた。新たなる力を得た人類は、六人の英傑と共に黒き獣に対し反撃を開始し、激しい戦いの果て、ついに黒き獣を打ち倒した。後にこの戦いは「第一次魔道大戦」と呼ばれ、彼ら六人は「六英雄」として語り継がれる存在となった。この大戦で術式を行使するために大量に作製された「魔道書」を管理する「世界虚空情報統制機構(統制機構)」という組織が結成された。世界は統制機構による統治のもと、人類は新たに手に入れた力を用い、あらゆる分野で急激な発展を遂げた。そうして復興した世界は、大戦前とは大きく様相を変えていた。統制機構による独裁統治の開始から数十年の時が流れ、術式主体となった世界は個人の能力による大きな格差を生んだ。世界各地の不満はつのり、ついには統制機構からの離反を企てた「イカルガ連邦」による「第二次魔道大戦(イカルガ内戦)」が勃発した。これは人類同士による術式を用いた初めての戦争であったー。
過去の世界のマーキス島でしばらく暮らす決意をした遊馬のもとに、宰相フランシスから“『女神の狗』が現れた”との知らせが届く。城下で変死体が発見され、王の治世に不満を持った女神が国を滅ぼすために遣わすという伝説の狗の仕業だとの噂が広がっているのだ。ロデリック王の善政を信じる遊馬たちは急ぎ帰国し、死体を検分するが、そこに隠されていた真実とは…!?
雪弥が花月香房と香乃の前から姿を消した。バイトも辞め、連絡も取れなくなってしまったのだ。真意を知りたい香乃だが、積極的に動くこともできず落ち込んでいた。友人たちによると、雪弥は顔色も悪く、思い詰めている様子だという。それを知り、戻ってきてもらうために行動しようと決意した香乃は、原因は雪弥が過去に起こした事件によるものだと知って…?
卯ノ花家に、月一族の血を引く少女・彩芽がやってきた。お母さんを亡くしたうえ、月一族の秘密を知らされて混乱している彩芽を元気づけるため、若葉たちが作った料理とは…?朱璃の育ての親の辰巳も帰国してにぎやかになった卯ノ花家。でもそれは悲しい別れを予感させていて…。それぞれが未来に向かって進んでゆく、せつなくてあったかい家族の物語。
女子高生の百は、双子の弟そっくりの男っぽい外見を気にしている。ある日新しい洋菓子店を見つけるが、若い男性店主はなぜか百に冷たい。どうやらその店は、女性客お断りの「男性限定パティスリー」らしい。店主の小林に邪険にされながらも、店が気になる百。百は、小さい頃母親が自分だけに作った「おいしくないバースデーケーキ」のことがひっかかっていて…。
高校生の菓奈は人前で喋るのが苦手。だって、言葉がうまく言えない「吃音」があるから。そんな菓奈が密かに好意を寄せる真雪は、お菓子作りが得意な究極のスイーツ男子。ある日、真雪が保健室登校を続ける「保健室の眠り姫」こと悠姫子のために作ったチョコが紛失して…。鋭い推理をつまりながらも懸命に伝える菓奈。次第に彼女は、大切なものを手に入れていく。スイートな連作ミステリー。
来月からお前の所属はブルーインパルスだ。ファイターパイロットの敵役として第一線で空を飛び続けた浜名はそう言い渡された。戦いの場から演技の世界へ。突然の辞令に納得のいかない浜名は承諾に苦しむ。しかしその一方で、彼の異動にはある男の強い願いがあったー。そのほか、救難ヘリの新米パイロット菜緒の成長譚と、教官時代について取材を受ける大松のストーリーを収録した天神外伝。
恋愛経験ゼロ。冴えない理系大学院生の森は、ある日突然恋に落ちた。相手は、卒業研究をするためにきた、黒髪メガネの年下リケジョ・羽生さん。ところが、好みド直球な彼女にはある重大な秘密が!妄想と現実に身悶えながら、あの手この手でアプローチを仕掛けるが、ひたすら空回り。それでも諦めきれない…。どこまでも不器用で、思わず応援したくなる、歯がゆさ満載の青春ストーリー!
警視庁に特別捜査支援室が新設された。マル暴から異動した小向がそこで出会ったのは、究極の“鼻”を持つ男だった。コンサルタントとして雇われたという華岡は、匂いを嗅ぐだけで現場の状況をつぶさに言い当ててしまう。犯人の特徴、凶器、そして動機ー。全ての手掛かりは残された匂いにある。連続殺人事件に隠された謎を解け!叩き上げ刑事と“鼻男”による異色コンビ、ここに誕生。
ひょんなことから白猫となった旗本の跡取り・宗太郎は、善行を積めば人の姿に戻れると信じ、裏長屋で「猫の手」を貸すよろず請け負い稼業を営んでいる。忍法ならぬ「にゃん法」の秘密を探ったり、猫の駕籠かきと遭遇したり。そんな宗太郎の前に人の姿だった頃の許嫁がやって来てー。それがしは猫ではにゃい。風体はもののけでも、心はもののふ。大人気あやかし時代小説、猫の手屋繁盛記シリーズ。
「あたしに勝てる男がいれば、結婚してやる!」最強無敵、天下無双。生まれる時代を間違えた大英雄レイラ・カーリー。数多の縁談を跳ね除け戦場を暴れ回っていた彼女が、自分より滅茶苦茶弱いアントン・レイルノートに恋をした。最強無敵の力と、頼れる部下のアドバイスを武器にレイラはアントンを「惚れさせる」ため奮闘するのだがー。
その探偵事務所は広島・鷹野橋にあった。職員は所長の瀧澤優作とアルバイトの荊木元気の二人きり。探偵事務所の仕事の定番・浮気調査に余念のない日々をすごす瀧澤だったが、ある日、立て続けに風変わりな依頼が続く。すでに亡くなった夫の素行調査に、終わってしまったらしいストーカーの犯人捜し。どうして今ごろ?と首を傾げる事件ばかり。広島の風景の中、春から夏にかけて捜査は進み、意外な結末を迎える。広島を舞台にしたハートフルミステリー。本作は日本エンタメ小説大賞の最終選考作を大幅に改稿した。
詐欺で貯金を失ってしまった父が暮らす家を訪ねる娘。父の暮らしの中に見つける深い愛に気づく「父の家で」。期待の家庭教師がやってきた。ところが母の前ではいい顔をするくせに、ちっとも勉強を教えてくれない。不思議な家庭教師が大事なことを教えてくれる「なりそこない2号」。その夫婦は今日、妻の再検診の結果を聞きにきた。やさしい涙がとまらない「一生のお願い」。やさしい涙がこころにしみる15篇の短篇小説集。
十六歳のぼくを置いて、母は逝った。研究者だった母は、現政権の思想教育の要となっている宮沢賢治作品ーとりわけ『銀河鉄道の夜』を熱心に研究し、政府が否定する「第四次改稿版」の存在を主張していた。遺言に従い、遺灰を携え花巻へ行ったぼくは、ふと気がつくと土砂降りの中、賢治が亡くなった昭和八年九月二十一日の二日前に転移していた。いまなら彼の死を阻止できるかも知れないーその一念で辿り着いた賢治の家でぼくを迎えたのは、早逝したはずの宮沢トシと、彼女の娘「さそり」だった…永遠に改稿され続ける小説、花巻を闊歩する賢治作品の登場人物ー時間と物語の枠を超えた傑作長編SF!
シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンーミステリ史に名を刻む両巨頭の知られざる冒険譚から、赤穂浪士の討ちいりのさなか吉良邸で起こった雪の密室殺人、シャーロキアンのアドルフ・ヒトラーが戦局を左右しかねない事件に挑む狂気の推理劇、小泉八雲が次々と解き明かす“怪談”の真相までー在非在の著名人たちが名探偵となって競演する、奇想天外な本格ミステリ短編集。
ニーナはある早朝、ウクライナ語でわめきながらやってきた老婆にいきなり注射を打たれ、携帯電話を奪われそうになった。そのまま意識を失うが、携帯に録音されていたウクライナ語を手がかりに元FBIのアーロとともに事情を探ると、老婆は亡き母の親友の科学者で、ニーナが打たれた薬剤を巡って政界をも巻き込んだ争奪戦が起きていることを知る。そして、3日以内に解毒剤を打たなければ、自分の命が尽きることも…。解毒剤を探すニーナとアーロに刻一刻と時間は迫りー大好評官能サスペンス第9弾!