2016年10月発売
予備校講師にしてミステリー作家の矢崎には、同じく作家を志す兄がいたが、ある日忽然と姿を消してしまう。折しも世間では二組の夫婦の失踪事件が注目を集めていた。犯人の手がかりとして不審人物が残した声が公開されたが、それは矢崎の兄のものだった!事件の裏で蠢く偽刑事の影。すべての謎が一つに収束するとき人間の歪んだ本性が明らかとなる、サスペンス長編!
平凡なサラリーマンであった西村靖彦が突然消息を絶った。弟の直行は、真相を探るうちに兄が殺されたという疑念をもつ。義姉の純子を疑いながらも翻弄されるなか、高知の放火殺人事件の知らせが入る。高知と東京を結ぶ事件の迷路を彷徨いながら辿りついた衝撃の真相とはー。これぞ、まさに連城マジックの極み!耽美ミステリーの名手が遺した渾身の傑作。
この男、警視庁捜査一課の係長なのに、事件を解決する気、まったくなし!思いつきで部下をこき使い、暴言と居眠り三昧。それでいてなぜか検挙率100%の大〓見(おおべしみ)警部。下ネタ大好き、ブルドッグのような容姿の「警視庁最悪の警部」が、“本格ミステリーのお約束”を薙ぎ倒し、踏み躙りながら難事件を次々解決!?著者のミステリーへの愛と造詣に満ち溢れた抱腹絶倒の連作集!
ゲーム誌ライターの柵馬は、新たな記事を書くために、日夜奔走する。動くキノコを求めて奥多摩へ。共にゲームに明け暮れた初恋の人が抱えていた秘密。尊敬する先輩ライターが残したメッセージの意味は?憧憬は現実に直面し、諦観に押し潰されそうな日々に、俺たちはどんな希望を抱けるのか?往年の名作ゲームを題材に描く、シニカルでほろ苦い五編の青春ミステリー。
ありふれた雑居ビルで繰り広げられるいくつもの人間模様。シングルマザーのマッサージ師が踏み出す一歩、喘息持ちのカフェバー店長の恋、理想の男から逃れられないOLの決意…。思うようにいかないことばかりだけれど、かすかな光を求めてまた立ち上がる。もがき、傷つき、それでも前を向く人々の切実な思いが胸を震わせる、明日に向かうための五編の短編集。
片山兄妹はヨーロッパを歴訪中。もちろん、ホームズ、石津も一緒だ。スイスの観光地・ユングフラウヨッホの展望台で、日本人女性観光客が氷河へ滑落!義太郎と石津が決死の救出劇を演じる。その女性・多田靖子は、姉が自殺し、傷心旅行中だった。ところが、靖子は、このヨーロッパで、姉を自殺に追い込んだ男を目撃して…。そこから、次々と事件が!
鮎哲の『黒いトランク』や清張の『点と線』の中で、刑事たちは長距離列車に乗って遥かな地へ捜査の旅に赴いていた。その後、交通機関や通信手段の発達で犯罪捜査は大きく変わったが、鉄道の特殊な空間はミステリーの恰好の舞台であり、人々の旅への郷愁はいささかも変わらない。本書はヴァラエティにとんだ名探偵たちの鉄道の旅を八編収録した傑作集!
縁切り寺「慶光寺」に来て半月のおきよの亭主竹次郎が亡くなった。亭主の死で離縁が叶ったおきよだが、寺を出た彼女に悪い噂が立つ。慶光寺御用宿「橘屋」の塙十四郎は、おきよの周辺を調べ出したが、おきよの知られざる過去を知る。そして、待っていたのはやるせない結末だったー。(「冬の鴬」)涙なくしては読めない心に響く作品が揃った待望のシリーズ第六弾!
南町奉行所の元定町廻り同心で、いまは船頭として生計を立てる沢村伝次郎は、旧知の本所身廻り同心・広瀬小一郎から人探しを頼まれる。その広瀬が襲われた。襲った男の行方を追う伝次郎の前に現れたのは「蓮華党」なる集団だった。その正体は、そして、伝次郎と一味との死闘の結末はー。ド迫力の剣戟と仄かな恋物語を満載した、待望のシリーズ第十五弾。
駿河国江崎藩の隠目付を務める釣宿の亭主海野洋之介のところへ、近所で斬り合いがあったと知らせが入る。斬られた武士は江崎藩士で、下手人は国元で目付組頭を斬った「鬼首」なる太刀の遣い手とわかる。江戸家老の依頼で、下手人の始末に動く洋之介の前に現れたのは元介錯人の手練。甲源一刀流の秘剣が江崎藩を揺るがす陰謀を断つ。待望の新シリーズ第二弾。
ショパンの名曲『革命のエチュード』が、日本とポーランドを繋ぐ!それは、遠き国の友との約束。第二次世界大戦勃発。ナチス・ドイツに蹂躙される欧州で、“真実”を見た日本人外務書記生はいかなる“道”を選ぶのか?
解読せよ。真実はそこにあるー東京大学で特任教授を務める歴史作家・浅野迦羅守を訪ねてきた美女・小笠原伊万里。何者かに殺害された彼女の父が、祖父から預かっていた謎の地図と暗号文を解読してほしいと言う。彼女の祖父が戦後史の闇に君臨した亜細亜産業とGHQ、そしてフリーメイソンに繋がる人物だったことが判明した時、戦時中“金属類回収令”によって集められ、消えた膨大な金塊の存在が浮上した!迦羅守は数学の天才“ギャンブラー”と元CIAのエージェント南部正宗の協力を得て、その行方を追うが…。
愛されたいのに、消えてほしい。お母さん、いい娘になれなくてごめんね。私はもう、あなたの“人形”にはなれない。絆か、呪縛かー赦し合えない母と娘の葛藤を描く作品集。
鉄道ファンに人気の信州・姨捨駅で、休暇中の亀井刑事が奇妙な服装の男を目撃して驚愕する。東京・麹町ミスキャンパス殺人事件の容疑者中西がアリバイを証明する存在として挙げた男と瓜二つだったのだ。だが、男は見つからず、中西は送検された。冤罪なのか?十津川警部は大々的な男捜しを開始するが…!?(「姨捨駅の証人」より)四つの難事件に十津川が挑む傑作推理集。
新宿署一の嫌われ者百面鬼竜一は、管内の暴力団から金品をたかり、押収品の麻薬や銃を横流しする小悪党の刑事だった。だが、捜査で知り合い、関係を結んだ能塚亜由を拉致され、犯人に難民救援活動家の暗殺を命じられる。百面鬼は五輪の候補に選ばれるほどのライフルの名手だった。苦悩の末に狙撃を実行した百面鬼。ところが、見えざる敵はさらなる暗殺を要求し…。
十七歳の洋子は佐久間という工員の青年と恋に落ちる。だが仲間二名が殺害される事件が起き、犯人と疑われた彼は姿を消す。洋子は佐久間を追って故郷である東北の寒村を訪ねると、かつて東京で彼が飼っていた三毛猫を見つける。村人らは佐久間はいないと口を閉ざし、洋子を監視しはじめた。恋人との再会を信じる洋子を待っていたのは、あまりにも残酷な衝撃の結末だった。
武州忍田は幕府の台所を支える最重要拠点である。年の瀬、公儀御鳥見役とその手下が斬殺された。領主の阿部家は追剥ぎ強盗の仕業とするが、公儀目付役は疑念を隠さなかった。同じ頃、唐木市兵衛は俳諧の宗匠を訪ねていた。彼は阿部家の元家士で、忍田までの旅の供を依頼される。破格の給金を訝しんだ市兵衛が真意を問うや、捕らえられた友の救出に向かうと…。
榎本釜次郎武揚。日本最大最強の軍艦「開陽」を擁して箱館戦争を起こした男。旗本出身ではあるが、海軍伝習所に学び、三年半ものオランダ留学を経験した男。科学者であり、技術者であり、万国公法に通じた法学者ー幕末から維新を駆け抜けた、「武士の鑑」か「武士の風上にも置けぬ」裏切り者か。真にあるべき「新しい日本」を唯一捕りに行った、不屈の挑戦の物語!