2016年12月15日発売
時効成立を待っての自首。法によって裁かれない殺人犯は、世間を騒がせた後、何者かに殺害されたー。警察は当の平成七年一家惨殺事件において一人生き残った、小岩井薫に疑いの目を向けた。一方、妻を殺され、自身も被害者遺族である原村俊介は、気にかける薫の心の奥底が見えず、行動を起こす。それが更に己を苦しめるとも知らず…。妻を巡る真相のみならず、予想外の衝撃が俊介を襲う。遺された者の生き様が、熱くせつなく肺腑を衝く劇的ミステリー。
社会的に厳しい境遇にある隆志は、仕事で集金した金を持って同じような身の上の久美子と死出の旅に出た。どうせ死ぬのだからと贅沢な旅行を続ける二人の前に、ある中年の夫婦が現れる。落ち着いていて、品のあるその夫婦を見ているうちに、こういう生き方もあるのかと感じ入る隆志。そして遂に、最初からやり直そうと…(「拐帯行」)。シリーズ最終巻は著者の代名詞とも言える社会派ミステリ。掉尾を飾るにふさわしい傑作群を、どうぞ最後までお楽しみください!
六七歳の柴田一郎は、独り暮らしの無聊を慰めるべく、自分史を書きはじめる(「自分史」)。病院帰りに立ち寄ったビルの名店街で渡された腕時計のようなものは、自分がどのくらい嫌われているかわかるというアイテムだった(「嫌われ度メーター」)など、人生の黄昏時を迎えた者たちに訪れる奇妙であやしい出来事。全編書き下ろしで贈る、珠玉の二十の物語。
ついにお互いの気持ちを伝え、付き合いだした清貴と葵。ある日、京都では名の通った鑑定士や収集家の家から、仏教関係の美術品が盗まれる事件が頻発しているという報せが、二人のもとに入る。さらに、吉田山荘事件で知り合った探偵の小松が、行方不明の娘を捜してほしいと『蔵』にやって来た。二つの事件は巧妙に絡み合い、さらなる謎へとー大ヒット・キャラクター小説第6弾!
経理課に入社した新入社員は、32歳の未亡人。街で偶然出会った下条正巳に「匂いって、なんだかエッチですよね」と微笑みかけてくる(「匂いの女」)。生活に疲れきっていた恩田忠司の前に、幼馴染みでかつてバージンを奪った北白川雛子が現れる(「初めての女」)。など、初恋の女、憧れていた年上の女、思いがけない出会いなど、過去と現在が交錯しつつ紡がれる、書き下ろし作品1点を加えた8つの逢瀬を描いた短編を収録。
越後屋の向かいに妙な店が出現した。なんと家の屋根から壁まで、すべて真っ黄色に塗りたくられているのだ。いったい誰が、どういう目的でこんなことをしたのか。しかも、いつまで経っても、店を開ける気配するない。不審に思った愛坂桃太郎が調べを進めていくと、これまで越後屋に数々の嫌がらせを仕掛けてきた張本人の存在が浮かび上がってきた。大人気シリーズ第六弾!
菅井紋太夫が武家の若い娘・きよに勝負を挑まれる。居合の達人に父親を殺された娘は、菅井を下手人だと思い込んでいたのだ。それが人違いだと知ったきよは、仇討ちのための剣術指南を菅井に願い出る。そんな折、娘とともに三人の武士がはぐれ長屋を訪れ、源九郎たちに、きよの父親を殺した下手人を探って欲しいと依頼してくる。大好評シリーズ第三十八弾!
婚礼直前に屋敷を逃げ出した竜子姫を助け、石川島で大捕物を仕掛けた“若様”奥山右京之介。まんまとせしめた大金を仲間に配り、風のように江戸から消えた。そして季節が秋から初冬へと移る頃、若様は姫が嫁ぐはずだった播磨国仙崎藩にフラリと姿を現す。此度の狙いはなんと、豊臣秀吉が多田銀山に隠したと伝わる四億両もの埋蔵金。仙崎藩のお家騒動に便乗し、若様は仰天の秘策を打つ。芥川賞作家、入魂の書き下ろし。
材木問屋の奉公人が刺殺され、凶器の脇差が腹に刺さったまま残されていた。与力の北山は豊之助の助力を得て探索を始めたのだったが、脇差の持ち主は中西道場の弟弟子だった!弟弟子の無実を祈りつつ探索を続けた豊之助だったが、はたして真相はいかに!?好評シリーズ第四弾!
南新堀の廻船問屋『渡海屋』の若旦那である巳之吉は、家業には目もくれず、遊興三昧。気ままな日々を過ごしていたが、業を煮やした祖父の儀右衛門から、見聞を広げるため東海道を一人で旅するよう命じられる。そんなのはごめんだと拒否した巳之吉だが、とある事情から、泣く泣く江戸を離れざるを得なくなりー。愛嬌たっぷりの若旦那が繰り広げる、笑いと涙の珍道中!時代劇界の超大物脚本家が贈る、期待のシリーズ第一弾!
焼き魚、チキン南蛮、トンカツ、コロッケ、おでん、オムライス、ポテトサラダ、中華風冷や奴…。佃にある「はじめ食堂」は、昼は定食屋、夜は居酒屋を兼ねており、姑の一子と嫁の二三が、仲良く店を切り盛りしている。心と身体と財布に優しい「はじめ食堂」でお腹一杯になれば、明日の元気がわいてくる。テレビ・雑誌などの各メディアで話題となり、続々重版した、元・食堂のおばちゃんが描く、人情食堂小説(著者によるレシピ付き)。
山東京伝や恋川春町らで世を沸かせ、歌麿を磨きあげ写楽を産み落とした江戸随一の出版人・蔦屋重三郎(蔦重)。 出版者であり編集者であり流通業者であると同時に、流行を仕掛け情報を発信する辣腕メディアプロデューサーでもある。 そして何より、新しい才能を見出し育てあげて世に出し、江戸の日本の文化を変えた巨大な創造者でもあった。 時に為政者の弾圧にあいつつ「世をひっくり返す」作品を問いつづけた稀代の男の波乱の生涯を、江戸の粋と穿ちが息づく文体で描き切った渾身の時代小説! <主な登場人物> 蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)=蔦重(つたじゅう) 寛延三年〜寛政九年(1750-1797) 江戸の名物本屋。話題作を連発する一方、才能発掘や価値創造にも卓越した冴えをみせた。 喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ/うたまる) 宝暦三年〜文化三年(1753-1806) 天才的浮世絵師。重三郎との出逢いで美人画に開眼、抜群の才を誇った。春画でも卓越。 山東京伝(さんとう・きょうでん) 宝暦十一年〜文化十三年(1761-1816) 江戸を代表する戯作者。絵師として出発し流行作家となる。長きにわたり絶大な人気を得た。 恋川春町(こいかわ・はるまち) 延享元年〜寛政元年(1744-1789) 黄表紙なる江戸文芸の新分野を拓く。文ばかりか絵も洒脱で滑稽味に溢れる多彩多芸の人。 朋誠堂喜三二(ほうせいどう・きさんじ) 享保二十年〜文化十年(1735-1813) 人気戯作者。黄表紙を中心に作品多数。表の顔は武士で、出羽国久保田藩の江戸留守居役。 北尾重政(きたお・しげまさ) 元文四年〜文政三年(1739-1820) 浮世絵師。親分肌で京伝や政美を育てただけでなく歌麿、鳥居清長にも強い影響を与えた。 大田南畝(おおた・なんぽ) 寛延二年〜文政六年(1749-1823) 狂歌壇の領袖。早熟の文人で天明期に圧倒的な存在感を示した。蜀山人、四方赤良は別名。 葛飾北斎(かつしか・ほくさい)=勝川春朗(かつかわ・しゅんろう)/北斎宗理(ほくさい・そうり) 宝暦十年〜嘉永二年(1760-1849) 浮世絵師。駆け出し時代に蔦重の知遇を得る。後に偉才を存分に発揮、絵師として大成する。 曲亭馬琴(きょくてい・ばきん)=滝沢瑣吉(たきざわ・さきち) 明和四年〜嘉永元年(1767-1848) 読本作家。京伝の紹介で蔦屋に寄宿。寛政期から著作に専念、読本で随一の物書きとなる。 十返舎一九(じっぺんしゃ・いっく)=重田幾五郎(しげた・いくごろう) 明和二年〜天保二年(1765-1831) 戯作者。瑣吉と入れ替わるようにして蔦屋へ。『東海道中膝栗毛』の大成功は享和期のこと。 東洲斎写楽(とうしゅうさい・しゃらく) ?年〜?年 あまりに衝撃的な大首絵で突如現れ、消えていった謎の浮世絵師。その正体は? 納得の結論が!
旅の魔女イレイナが紡ぐ、少し可笑しくてほんのり悲しい不思議な短編集 別れの物語はまだまだ続くのですーー 書き下ろしエピソード14編 話題の第三弾 あるところに旅する魔女がいました。名前はイレイナ。 彼女の一人旅は、まだまだ続きます。 今回出会うのは、夢に現れる悪魔、ブドウ踏みの乙女、新米の旅人、 妻の帰りを待ち続ける男、捨てられた道具たち、自称・狼男(?)、 時を遡る「菫衣の魔女」、切り裂き魔を追う「夜闇の魔女」、 そして懐かしい人との再会、未知なる灰色の魔女たちとの邂逅……。 様々な国を訪れるたびに、ヘンテコな人と出会ったり、 厄介なトラブルや悲しい事件に次々と巻き込まれるのです。 「次はあの国ですねーー」 相も変わらず、イレイナの旅は淡々と紡がれてゆきます。 新たな別れと出会うために。
『ユニークスキル:【創造】が発揮されました。あなたの記憶にあるものを物質化します』 「おめでとう。新たな魔王の誕生を私は歓迎する」 数多の魔王がダンジョンを造り出し、人間の感情を糧とする異世界。新たに生まれた魔王プロケルは先輩魔王に対し、自分は全く新しい方法で人間たちと共存していくことを宣言する。手始めに自身のスキル【創造】を使い、配下の魔物を生み出したプロケルの前に現れたのは、Sランククラスの魔物「天狐」の少女だった。 プロケルの知略と配下に集う最強の魔物たちによって、異世界の常識は大きく変わろうとしていた。これは、味方には優しく敵対するものには冷酷な、変わり者魔王の物語。