2016年12月24日発売
「勇者なんて、最低のクズがやる商売だ」改造手術を受けたヤクザが魔王となり、それを狩る職業が勇者として合法化した現代。金に困り勇者志願の女子高生3人の家庭教師となったチンピラ勇者ヤシロは、魔王の事務所へのカチコミ、勇者養成学校への不法侵入、死んだ勇者の遺品漁りなど落ちこぼれの少女たちを『指導』するうち、身体強化薬“E3”を巡る陰謀に巻き込まれー!?第1回カクヨムWeb小説コンテスト現代アクション部門大賞作!
改築工事を繰り返す“横浜駅”が、ついに自己増殖を開始。それから数百年ーJR北日本・JR福岡2社が独自技術で防衛戦を続けるものの、日本は本州の99%が横浜駅化した。脳に埋め込まれたSuikaで人間が管理されるエキナカ社会。その外側で暮らす非Suika住民のヒロトは、駅への反逆で追放された男から『18きっぷ』と、ある使命を託された。はたして、横浜駅には何があるのか。人類の未来を懸けた、横浜駅構内5日間400キロの旅がはじまるー。
「お兄ちゃん!起きて」微睡みの中、僕を起こそうとゆさぶる手、愛しい声。-だが、僕は気づいてしまう。目の前で嬉しそうに微笑んでいる妹は、ずっと前に死んだはずだということを…。その日を境に、僕の日常は信じがたい恐怖に塗り替えられていく。歪んでいく常識。蔓延する殺人鬼の噂。そして悪夢の中、僕は吐き気がするほどの絶望を突きつけられるー。第1回カクヨムWeb小説コンテストホラー部門大賞受賞作!
静かなる野、モーヌップ。坂東から移り住んできた豪族の圧政に、エミシの民は苦しめられていた。憤りを覚えた青年マサリキンは、女奴隷となる運命のチキランケを奪い、馬で逃亡を試みる。さらにマサリキンの黒馬が敵将の愛息を噛み殺したことで、二人は窮地に立たされた。豪族への敵対は、帝への叛乱。マサリキンは鎮所を牛耳るウェイサンペどものお尋ね者となるが、はぐれたチキランケは囚われ、按察使の寝所に召し出されてしまう。運命はマサリキンに反乱軍への参入を促していたー。税と圧政に苦しむ東北の民と、奴隷となる運命の恋人を救うため、青年は刀を手にとった。壮大な古代史ファンタジー!
囚われのチキランケを鎮所まで追ってきたマサリキンだったが、自らも牢に入れられた上に、反乱軍との関係を疑われ、死罪が下されてしまう。一方按察使は、モーヌップの地から蛮族と叛徒を一掃し、王化政策を進めようと企てるが、農民の逃散は止まらなかった。悲劇的な運命に翻弄されるチキランケが歌う、『風の歌』は人々の心を打ち、いつしか鎮所の誰もが口ずさむ歌になっていた。その頃、遠く離れたタンネタイの森には、エミシの反乱軍・ヌペッコルクルが今にも集結しつつあった。
魔王を倒すために異界から召喚された聖勇者、藤堂直継。彼のサポートを命じられた僧侶アレスは、パーティメンバーを見て愕然とする。火系統しか使えない魔導士リミス。流派を変えたばかりの剣士アリア。そして肝心の聖勇者は、女性ばかりをそばに置き、無謀な行動を繰り返すー。どうやって倒すんだよ魔王。色物集めてんじゃねえぞ。アレスはそこで、自分のレベルを隠して裏からフォローするのだが…。これは、ハイ・プリーストであるアレスが、聖勇者を英雄に導くまでの物語。
房総半島の海辺にある小さな街で生きる場所を探し、立ちつくす男と女。元海女、異国の女、新築に独り暮らす主婦、孤独なジャズピアニスト。離婚後に癌を発症した女は自分で自分を取り戻す覚悟を決め、ヌードモデルのアルバイトを始めた郵便局の女は、夜の街を疾走する…。しがらみ、未練、思うようにならない人生。それでも人には、一瞬の輝きが訪れる。珠玉としか言いようのない13篇。
父の死因とは一体何だったのか?食い違う医師・看護師の証言。真相を求め、息子はさまよう(「病院の中」)。多額の募金を得て渡米、心臓移植を受けた怠け者の男と支援者たちが巻き起こす悲喜劇(「他生門」)。芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出会ったとき(「極楽変」)。芥川龍之介の名短篇に触発された、前代未聞の医療エンタテインメント。黒いユーモアに河童も嗤う全七篇。
おまえを主人公にしてやろうか!これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語ー。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた…。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。
深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は…。表題作「透明な迷宮」のほか、事故で恋人を失い、九死に一生を得た劇作家の奇妙な時間体験を描いた「Re:依田氏からの依頼」など、孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で結晶化した傑作短編集。
1年前に離婚した大槇辰男は、息子・俊也との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜー。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が…。薬物、写真、地下水路。昏い迷宮を彷徨い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!
証券会社のNY本部で多忙をきわめていた高澤は、妻との関係が壊れ離婚。会社も破綻する。再就職先で直面した、華やかなキャリアなど通用しない中堅損保の厳しい現実。再び転職した地方の無名大学で、都落ちの寂寥感に沈む高澤の前に現れたのは、学部長秘書の清楚な女性だった…。低迷する日本経済を背景に、もがきながら生きるビジネスマンの仕事と家族を鮮烈に描き、万感胸に迫る傑作。
築三十三年、木造二階建て。臨死状態の古びた商店街にひっそりと佇む「小暮写眞館」。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この写真館に住むことになる。そして、弟を含めた家族四人の暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真をめぐる謎に、英一自身も関わることになり…。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。
高校の先輩に呼び出された花菱英一は、当事者に話を聞くことなく、三年前に撮影された写真の謎を解明するよう言い渡される。困惑する英一だったが、親友の店子力や同級生の寺内千春の助力を得て、当時の出来事を調べ始める。唐突に破棄された婚約。父親の病死。涙を流す家族。一枚の写真に隠された物語とは?現代を生きる人の温もりと優しさを描き出す、宮部ミステリーの真骨頂。
幼い女子を次々と拐す「黒い魔物」が、団員・篠崎始の妹と小林少年を拉致。溺死寸前の二人を少年らの機転で救い出したものの、魔物は首尾よく姿をくらませてしまう。それから二日、帰京したばかりの明智小五郎が講釈する「探偵学」に耳を傾けるうち、小林少年は世にも恐ろしい仮説に辿りつくー。史上最高の名探偵vs.世紀の大悪党、華麗なる推理合戦の行方をしかと見届けよ!