2016年12月24日発売
ヤクザが魔王と化し、彼らを殺す商売が勇者として合法化した現代。チンピラ勇者・ヤシロは、目先の金に目がくらみ勇者志願の女子高生たちの家庭教師を引き受けたことから、ロクでもない事件に巻き込まれていく!
日本は自己増殖する<横浜駅>に支配されていた。脳に埋め込んだSuikaで管理されるエキナカ社会。その外で廃棄物を頼りに暮らすヒロトは、エキナカを追放されたある男から人類の未来を担う“使命”を課され……
ある朝、彼は誰かに起こされる感覚を覚えた。だが彼は気づいてしまう。微睡みの中、嬉しそうに微笑むのは死んだはずの妹だということをーー。その日を境に、暁人の日常は信じがたい恐怖に塗り替えられていく……。
静かなる野、モーヌップの大地。バンドー(坂東)から移り住んできた豪族による、「米一石借りたら返す時は二石」という掟に、エミシの民は苦しめられていた。エミシを騙して得た毛皮や海産物を売り大儲けしていたウェイサンペの連中に、青年マサリキンは怒りを覚える。さらに美女・チキランケが女奴隷として召し出されると訊き、憤慨したマサリキンは、一目で恋に落ちたチキランケと共に馬で逃亡を試みる。追っ手に囲まれたマサリキンが「邪悪な心、恥を知れ!」と怒りを放つと、彼の馬トーロロハンロクが、襲いかかる相手を噛み殺してしまう。逃げ切ったマサキリンだったが、訪れた集落で出会った長老から、「不正を見て怒らないのは怠けの罪」だが、マルコ党への敵対は帝への反乱者と見なされると諫められる。愛馬が殺したのは、敵将の愛息だった。運命はマサリキンに反乱軍への参入を促すが、マサリキンとはぐれたチキランケは再び囚われ、鎮所で按察使の愛人になることを命じられるがーー。
静かなる野、モーヌップの大地。エミシの民を苦しめるウェイサンペの苛政に憤りを覚えた青年マサリキンは、一目で恋に落ちたチキランケを女奴隷となる運命から救うため、馬で逃亡を試みた。しかしその最中に敵将の愛息を殺し、追われる身となってしまう。マサリキンとはぐれたチキランケは、鎮所に連行されたが、按察使の寵愛を拒み、深く自分に閉じこもった。追っ手を交わしながら鎮所に近付いたマサリキンだが、叛徒としてウェイサンペの手下に捕らえられ、過酷な責め苦を負うことに。陰陽師はチキランケに凶兆が現れていると按察使に忠告、マサリキンは処刑場に連行されるが、そこに叛乱軍ヌペックコルクルが現れ、マサリキンを奪還した! 怒濤の展開、圧巻の歴史ファンタジー!
魔王を倒すために異界から召喚された聖勇者、藤堂直継。彼のサポートを命じられた僧侶アレスは、パーティメンバーを見て愕然とする。火系統しか使えない魔導士リミス。流派を変えたばかりの剣士アリア。そして肝心の聖勇者は、女性ばかりをそばに置き、無謀な行動を繰り返すー。どうやって倒すんだよ魔王。色物集めてんじゃねえぞ。アレスはそこで、自分のレベルを隠して裏からフォローするのだが…。これは、ハイ・プリーストであるアレスが、聖勇者を英雄に導くまでの物語。
房総半島の海辺にある小さな街で生きる居場所を探し立ちつくす男と女。元海女、異国の女、新築に独り暮らす主婦、孤独なジャズピアニスト。離婚後に癌を発症した女は自分で自分を取り戻す覚悟を決め、ヌードモデルのアルバイトを始めた郵便局の女は、夜の街を疾走する……。しがらみ、未練、思うようにならない人生。それでも人には、一瞬の輝きが訪れる。珠玉としか言いようのない13篇。
父の死因とは一体何だったのか?食い違う医師・看護師の証言。真相を求め、息子はさまよう(「病院の中」)。多額の募金を得て渡米、心臓移植を受けた怠け者の男と支援者たちが巻き起こす悲喜劇(「他生門」)。芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出会ったとき(「極楽変」)。芥川龍之介の名短篇に触発された、前代未聞の医療エンタテインメント。黒いユーモアに河童も嗤う全七篇。
おまえを主人公にしてやろうか! これこそ、万城目学がずっと描きたかった物語ーー。勇猛な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた……。中国古典の世界を縦横無尽に跳び、人生で最も強烈な“一瞬”を照らす五編。
深夜のブタペストで監禁された初対面の男女。見世物として「愛し合う」ことを強いられた彼らは、その後、悲劇の記憶を「真の愛」で上書きしようと懸命に互いを求め合う。その意外な顛末は……。表題作「透明な迷宮」のほか、事故で恋人を失い、九死に一生を得た劇作家の奇妙な時間体験を描いた「Re:依田氏からの依頼」など、孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で結晶化した傑作短編集。
一年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜーー。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が……。薬物、写真、地下水路。昏い迷宮を彷徨(さまよ)い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!
証券会社のNY本部で多忙をきわめていた高澤は、妻との関係が壊れ離婚。会社も破綻する。再就職先で直面した、華やかなキャリアなど通用しない中堅損保の厳しい現実。再び転職した地方の無名大学で、都落ちの寂寥感に沈む高澤の前に現れたのは、学部長秘書の清楚な女性だった……。低迷する日本経済を背景に、もがきながら生きるビジネスマンの「仕事と家族」を鮮烈に描き、万感胸に迫る傑作
築三十三年、木造二階建て。臨死状態の古びた商店街にひっそりと佇む「小暮写眞館」。都立三雲高校に通う花菱英一は、両親の趣味により、この写真館に住むことになる。そして、弟を含めた家族四人の暮らしが始まった矢先、ひとりの女子高生が持ち込んだ不思議な写真をめぐる謎に、英一自身も関わることになり…。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。
写真の謎、君に解ける? 高校の先輩に呼び出された花菱英一は、当事者に話を聞くことなく、三年前に撮影された写真の謎を解明するよう言い渡される。困惑する英一だったが、親友の店子力や同級生の寺内千春の助力を得て、当時の出来事を調べ始める。唐突に破棄された婚約。父親の病死。涙を流す家族。一枚の写真に隠された物語とは? 現代を生きる人の温もりと優しさを描き出す、宮部ミステリーの真骨頂。
幼い女子を次々と拐(かどわか)す「黒い魔物」が、団員・篠崎始の妹と小林少年を拉致。溺死寸前の二人を少年らの機転で救い出すものの、魔物は首尾よく姿をくらませてしまう。それから二日、帰京したばかりの明智小五郎が講釈する「探偵学」に耳を傾けるうち、小林少年は世にも恐ろしい仮説に辿りつくーー。史上最高の名探偵vs.世紀の大悪党、華麗なる推理合戦の行方をしかと見届けよ!