2016年3月9日発売
夏を迎えてにぎわうエーランド島。しかし訪れた人々の中には、暗い決意を秘めた人物もいて……。そして起きる事件に、老船長イェルロフはどう動くのか。エーランド島四部作、感動の最終巻登場!
岡山発ひかり九八号が東京駅に到着。車掌長の安田は、グリーン車の洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられているのに気づいた。翌日、持ち主と思われる田島久一郎の他殺体が発見され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の妻・亜木子は田島の女癖の悪さに悩んで自殺していたのだ。続いて田島の浮気相手と思われる女の他殺体が阿武隈川の河原で発見され、容疑者が浮上するが、鉄壁のアリバイが…。(「ゆうづる5号殺人事件」)他、寝代特急富士、北斗星等を舞台に描いた傑作短篇5篇!!
主人公・恭一郎には、七人の叔母がいる。 昭和を舞台に、時代に流されず、したたかに生きる八人姉妹。 彼女たちとその周囲で起きる様々な日常を、『東京バンドワゴン』シリーズなどで人気の著者が描き上げる。
気分屋で無気力な父親が、セキコは大嫌いだった。彼がいる家にはいたくない。塾の宿題は重く、母親はうざく、妹はテキトー。1週間以上ある長い盆休みをいったいどう過ごせばいいのか。怒れる中学3年生のひと夏を描く表題作のほか、セキコの同級生いつみの物語「サバイブ」を収録。14歳の目から見た不穏な日常から、大人と子供それぞれの事情と心情が浮かび上がる。
「でもわたしは美しい死体にはなりたくない」-“美しき死”へ少女たちを塗りこめ、観賞用の素材に変えようとするこの世界のあまたの罠から逃れるために、窓の外へと飛びだした“わたし”の行く末はいかにー。ことばの力で生きのびていく少女たちのためのもうひとつの“聖書”。著者の代表作にして性と生と聖をめぐる少女小説の傑作が、あらたに書き下ろされた外伝「声のおとずれ」を伴って、いま蘇る!
未発表の珠玉作品「美しい手」「“青”を売るお店」をはじめとする名短篇15篇を厳選。男たちが商店街でくりひろげる「日の出通り商店街いきいきデー」、椰子の実を40年頭上にのせる高僧の話「ココナッツ・クラッシュ」、ロックファンならずとも感涙の「ねたのよい」、親子の情愛を描く「お父さんのバックドロップ」など笑いとホラーと抒情の傑作集!
すべては、一人の男が失踪したことから始まった。-関東の裏社会を二分する十四会の会長・今切の足取りが外出先が途絶えた。若頭補佐の君島から捜索の移頼を受けた裏社会専門の探偵・時園は、今切の行方を追う。会長・今切の失踪で得をするのは誰か。関係者らを洗う時園に「今切のものと思われる小指が十四会に届いた」との一報が入った。-男たちの矜持と憎悪、そして哀しき過去が激しく交錯する長編小説。
あれは、そういうことだったのか…。なぜか鮮明に刻まれたこどもの頃の記憶。大人になった今だからこそ、本当の意味に気づくことがある。-三歳の私は、なぜ欲しくもない「特急こだま号」の玩具をねだったのか。六歳の時の夏休み、「あの崖」の近くで過ごした情景は、たのしい記憶のはずなのになぜ私を苦しくするのか。まだ洗練されていなかった昭和と現在が交錯する短編集。
昭和の新宿。「雨の日だけ営業」と噂される、元神主・水上櫂の探偵社をめぐる物語ー。幼馴染の慎吾が「近ごろ、会社に間違って届く郵便物が多くて、受付の女性が困っている」と櫂に相談した数日後、その女性は失踪して…(表題作)。◎友の死を悼みつづける女の真意を見抜く「沈澄池のほとり」。◎破格の待遇で募集されたカメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など、四作品を収録した連作短篇推理小説。
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのかー。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事の信念がぶつかる連作ミステリー。文庫書き下ろし。