2016年4月23日発売
麻薬王アダン・バレーラが脱獄した。30年にわたる血と暴力の果てにもぎとった静寂も束の間、身を潜めるDEA捜査官アート・ケラーの首には法外な賞金が賭けられた。玉座に返り咲いた麻薬王は、血なまぐさい抗争を続けるカルテルをまとめあげるべく動きはじめる。一方、アメリカもバレーラを徹底撲滅すべく精鋭部隊を送り込み、壮絶な闘いの幕が上がるー数奇な運命に導かれた2人の宿命の対決、再び。『犬の力』、待望の続篇。
捜査陣の中に、裏切り者がいる。選び抜かれたメンバーの誰が?密かに調査を進めたケラーは、驚愕の事実に対峙する。そんな中、バレーラが次なる狙いと定めたシウダドフアレスでは、対立する勢力が衝突し、狂気と混沌が街を支配していた。家族が引き裂かれ、命と尊厳が蹂躙される。この戦争は、誰のためのものなのか。圧倒的な怒りの熱量で、読む者を容赦なく打ちのめす。21世紀クライム・サーガの最高傑作。
長野県内で発見された男の遺体。品川区役所に勤める直子は、死んだ男・岡根から一カ月前に「長野県人の義務」として謎の角封筒を託されていたことを思い出す。そこに入っていたのは、長野のパンドラの箱。困り果てた直子は、夫の学生時代の同期である浅見光彦に相談をするが…。一方長野県では殺人事件の捜査を“信濃のコロンボ”竹村警部が取り仕切っていた。何故、男は殺されたのか。信濃を巡る巨悪に、浅見と竹村が挑む!
顧客はVIP、けれど窮地にある人には手を差し伸べるのが信条の会員制医院「神酒クリニック」。ある日顧客から、意識のない女性の診察依頼が。全身ずぶ濡れの彼女はなんと記憶喪失。けれど突然「爆弾が爆発する」と呟き…。天才的な洞察力で人の心を見抜く精神科医の天久翼は、彼女・美鈴の記憶を取り戻すことに。彼女と、相次ぐビル爆破との関係は。そして翼の遅すぎる初恋は…。痛快すぎる医師達のノンストップエンタメ!
走哉にとって初めての公式戦は、散々な成績で終わったが、同じ大会で皆の注目を集めたランナーがいた。一か月後、同じ学年に転校してきたのが、そのランナーだと知り、早速陸や部長の田村は彼(一心)を陸上部に勧誘するが「走るのはやめた」と取り付く島もない。前の学校で、才能ゆえにコーチから特別扱いされ部の中で孤立していた一心は、幼馴染が貧困から犯した万引きの罪を被ったことで、学校中の誤解を受け、走る意欲を無くしていた。「なぜあんなに才能があるのに走らないんだ」事情を知らない走哉に、陸は一心とは通じるものがありいいライバルになる、というが意味が解らない。少しでも一心に近づきたいと、部活後自主トレを続けるが、走り過ぎて貧血を起こしてしまう。それを助け起こしたのは、一心だった。近所で偶然、走哉の自主トレを見かけて目を離せずにいたのだ。陸上の基礎力の話をして、走り過ぎてもダメなんだと話す一心。翌日、陸が一心を部活に誘うが田村たちと衝突してしまう。帰り道が一緒になった走哉に、一心は「おまえには他のスポーツの方が向いてる」というと、走哉は一心の目を強く見つめ、「走るのが好きだっていう気持ちは、誰にも負けない」と語るのだ。 ・デビュー戦(走也) ・デビュー戦(一心) ・ライバル
旧制中学の伝統が色濃く残る辰川高校。上田ひろみは、学校全体を覆う居心地の悪さを感じていた。合唱祭で指揮者を務めた美少女有理と出会ってからは更におかしな事が起き始める。学園祭の準備に追われる生徒会へ届いた脅迫状、放火騒ぎ、そして、演劇で主役を演じた有理が…!樹上におかれたゆりかごのような不安定な存在「学校」。そこで過ごす刹那を描いた学園小説の名作が、書き下ろしの短編を収録して新たに登場。
緑豊かな郊外に建つマンション“アーバンハイツ歌川”。住人の静かな日常は、「大家さんのペットを捜しています」とチャイムを鳴らす訪問者により、一変する。事故のため、お笑い芸人の道を諦めた青年、結婚詐欺容疑で妻が失踪中の男、美貌の教育カウンセラー…いつも笑顔のあやさんは、さりげない世間話から、住人たちの意外な“秘密”を見抜いてしまう。ありふれた日常がガラリと変わって見える、痛快な連作ユーモア・ミステリ。
江戸は深川の古道具屋兼損料屋「出雲屋」には、つくもがみという妖怪と化した古道具がたくさんいる。主夫婦の一人息子、十夜は、幼なじみと一緒に、かれらと遊ぶのが大好き。ある日、新たに絵双六のつくもがみ“そう六”がやってきた。いたずらばかりの十夜たちに、そう六が勝負を挑む。双六に勝った方の望みを叶えるというのだ。やんちゃな子供たちの成長と、次々と起こる謎や怪異を描く、ゆかいで温かなファンタジー。
「代わりましょうか?」仕事に疲れ果てていた私は、居酒屋で謎の男に声をかけられ、ヤケクソで「代われるもんならね」と応えてしまう。気がつくと本当に男と入れ替わり、毎朝“地獄”に出勤するはめにー「地獄工場」。片足を異常な長さに改造されてしまった男が見た世界とは?-「怪人村」。死者を漬けると数日後に蘇るという瓶に、女の子の死体を漬けこんだ僕ー「女瓶」ほか、不条理の天才が描く、世にも奇妙な5つの恐怖。
茶室・妖〓(き)庵の主は、隻眼にして美貌の洗足伊織。ヒトと僅かに違うDNAを持つ妖人だ。家令の夷、家事手伝いのマメと共に静かに暮らしていたが、“鬼”の属性を持つ青目にマメが襲われて以来、危機感を強めていた。そんな折、妖〓(き)庵を訪れた“貘”から「妖人というだけで差別され、妻子が苦しんでいる」と相談を受ける。一方、子供のように無垢なマメには、過去からの脅威が近づき…。大人気シリーズ第5弾、文庫書き下ろし。
多摩川の河川敷で臓器を抜き取られた猟奇死体が発見された。警視庁捜査第一課の警部補・鏑木率いる4人の特別捜査班は、現場に残されたトンボのネックレスを手掛かりに群馬県の奥地の村へ向かう。やがて被害者は村出身の青年・遊介と判明。20年前に起きた夫婦殺害、ダム建設反対運動、巨大トンボ伝説など、事件との関連が次々と明らかになり混迷を極めていく。鏑木班は遊介の幼馴染みである泉美と建のふたりに事情を聴くが…。
部下の不祥事の責任を取って退職した証券マンは、チョコレート職人への転身を目指し単身スイスで修業を始める(『エリートの転身』)。派閥争いに巻き込まれ、些細な理由で会社から懲戒解雇にすると脅されたサラリーマンが、重役と刺し違える覚悟で会社に闘いを挑む(『エリートの反乱』)。転機を迎えたサラリーマンの生き方を、厳しくも温かい眼差しで描いた珠玉の4編。組織で働く全ての人たちへの応援歌。著者によるあとがき解説収録。
学校で執拗ないじめにあい、絶望から身を守るために歪んだ独り遊びを作り出した美幸。悲惨な学生時代を経てOLとなってからも存在を消すようにして暮らしてきたが、ある男に自分と同じ境遇を感じて無償の愛を捧げることを誓う。美幸は彼を悲しませるすべての要因を排除していくが、やがてその愛はエスカレートし、あらぬ方向へと狂い出す…。心震える意外な結末に息を呑む、人気放送作家が本気で挑んだ究極の愛の物語。
御城彼方は、大学2年生になった。生身の人間ながら、人ならざるものが住む常世の町「幽落町」に下宿して、2年目の春。のんびりキャンパスを歩いていたら、突然ハーレーに乗った都築によって、江東区の古い病院へ連れ去られてしまう。彼方を人質にして「幽落町」から水脈さんを呼び出した都築は、桐箱に入った、「枕」を見せるのだった…。レトロな町並みで展開される、ほっこり懐かしい、謎とき物語。大人気シリーズ!
江戸時代中期、儒学の世界を根底から覆した学者、荻生徂徠。幼い頃から書物に親しみ、父の江戸追放で上総に逼塞するも、独学で学問を身につける。その才と学識の深さから柳沢吉保に取り立てられ、徳川吉宗の政治にも影響を与えた。貧困、学者らからの無視、妬み交じりの反撥…どんな苦境にも学問への情熱を絶やさず、近代思想の礎を築いた不屈の天才。彼が追い求めた思想と、その生き様を描いた歴史小説の金字塔。
思いがけぬ安吾賞受賞を契機に、かつての破滅的な恋が胸によみがえる「デスマスク」。戦時下の北京で運命的に出会った恩人との思い出、その邂逅と別れとを描く「絆」。およそ四十年前、心密かに準備してきた得度を目前にして揺れた女心と、師僧の言葉を初めて明かす「そういう一日」-。激動の半生をもとに、胸に深く刻まれた体験と道ならぬ情愛の記憶を渾身の筆でつづる、珠玉の自伝的短編小説集。第39回泉鏡花文学賞受賞作。