2016年5月発売
常に現場主義で,図書館の発展,司書の育成に尽力してきた著者の経験がつまったストーリー集。後進への愛情あふれる一冊。 1 図書館は、利用者の秘密を守る 2 委託司書を導入する 3 貸出無制限が生まれるまで 4 資料の汚損・破損の弁償は? 5 『ピノキオの冒険』 6 移動図書館車の車検 7 「対面朗読」と「読書の秘密」 8 この本はどうする? 9 未成年者の利用カード 10 煩雑極まる図書館業務 11 中原、大学の助教授になる 12 図書館業務の法的根拠 13 関係業者との契約問題 14 「指定管理者制度」と公立図書館の関係を考える
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第7巻「牙が閃く時」は、西村寿行の動物パニック小説の名作「滅びの笛」を中心に、心あたたまる友情から戦慄を禁じ得ない極限の対決まで、幅広い分野にわたる動物小説の傑作16編を網羅! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 動物小説の巻である。 一貫して「動物」にこだわり続けた作家は戸川幸夫と椋鳩十の二人くらいか。 ここにパニック小説にくくられていた「滅びの笛」を投入させていただいた。 西村寿行は常に変わり続けた作家であり、どの作品を選ぶか最も悩んだ作家の一人である。 編集委員の方々に解説の希望巻をつのったところ、全員がこの巻を挙げられたことを是非申し添えておきたい。 [収録作] 【長編】 西村寿行「滅びの笛」 【短編】 宮沢賢治「猫の事務所」 岡本綺堂「虎」 椋鳩十「片耳の大シカ」 新田次郎「おとし穴」 戸川幸夫「咬ませ犬」 宇能鴻一郎「鯨神」 豊田有恒「火星で最後の……」 藤原審爾「狼よ、はなやかに翔べ」 井上ひさし「冷し馬」 中島らも「クロウリング・キング・スネイク」 【掌編】 広津和郎「狸」 嵐山光三郎「岡野の蛙」 北杜夫「推奨株」 川田弥一郎「青い軌跡」 星新一「不満」
アイヌの母と和人の間に生まれ、幼くして孤児となったチカップ。17世紀を舞台に、キリシタン一行と共に海を渡った女性の一生を描いた叙事小説。津島文学の集大成であり、最後の長編小説。遺作。
10歳で母と死別し、伯父に引き取られたグレイスは、伯母と従姉に虐げられ、みじめな暮らしを送ってきた。あるとき、従姉に無理やり連れだされてトルコへ赴いたグレイスは、ギリシア大富豪レオと運命的な出会いを果たす。そして、レオの完璧なエスコートで豪華なヨットに誘われ、身分差に臆しながらも、その魅力に抗えず一夜を過ごすことに。これはたった一度きりの逢瀬。もう二度と会うこともないわ。ところが帰国後、グレイスは妊娠に気づいて衝撃を受ける。しかもそこへ、すべてを察知したかのようにレオが現れて…。
決して甘美な再会を望んだわけではない。でもこれは酷すぎる。メイドのベラは朝食を運んだスイートルームで凍りついた。マッテオが女性とベッドにいる!5年前に別れた恋人が…。故郷のシチリアを出た彼は、今や実業家として名を轟かせている。ベラが働くこのホテルも彼が買収するらしいと、もっぱらの噂だ。18歳のあの日、どんな気持ちでベラが純潔を捧げたのか、なぜ一緒に行かなかったのか、マッテオは知る由もないだろう。動揺のあまり、ベラはトレーの料理をすべてぶちまけてしまうが、すぐに飛び起きた彼に鋭く睨みつけられ、責め立てられて…。
妊婦のスターリングは、慌てて自宅から逃げだした。おなかの子の父親であるオマールは、1週間前に交通事故で帰らぬ人となった。そしてたった今、彼の厳格な兄、バクリ国王のリハドがこちらへ向かっているとの情報を耳にしたのだ。目的は明白だ。王家の血を引くこの子を奪うつもりでしょう?未婚の母から生まれた王位継承者をリハドが認めるはずがない。そもそも彼は信じないだろう。弟が生涯隠し通した秘密も、スターリングが清らかなバージンであるということも。
結婚式の直前、アテナは衝撃的な光景を目にした。じきに夫となる相手が、よりによって男性とベッドにいたのだ。両親が喜ぶ顔を見たいがために受けた縁談だったけれど、やっぱり私が間違っていたんだわ……。耐えきれずに逃げだしたアテナは偶然、意外な男性にでくわす。姉の結婚式で花婿付添人をしていた、ルカ・デ・ロッシ──巨万の富と数多の美女に愛されているイタリア人億万長者だ。彼はアテナを匿ってくれたが、翌朝、驚くべき提案を切りだす。「百万ポンドと引き替えに、1年間僕の妻にならないか?」
やむなき事情から人工授精で匿名者の子を身ごもったハリエットは、人里離れた浜辺を一人で歩いているときに産気づいてしまった。たまたま通りかかった外科医の男性に救われるも、母子ともに命の危険にさらされた状況で意識が混濁し、ハリエットはそのときのことを覚えていなかったーー命の恩人であるそのハンサムなドクターの顔さえも。彼は駆けつけた救急隊に母子を託し、名乗りもせずに立ち去った。2年後、ハリエットは看護師として復帰し、同僚に温かく迎えられるが、ただ一人、新しい外科医長のパトリックだけはつらくあたるのだった。いったい
幼くして最愛の両親を亡くし、祖父母に育てられたレイナは、20歳で結婚したものの卑劣な夫に傷つけられて離婚を経験した。以来、もう二度と傲慢な男性にはかかわらないと心に誓っていた。あるとき、親友の結婚披露宴のためにギリシアを訪れ、神話に登場する黒髪の美しき男神を思わせる男性に出会うーーギリシア屈指の大実業家、アキス・ジアノポウロス。気を引こうと躍起な女性には目もくれずレイナをダンスに誘う彼は、まるでシンデレラの義理の姉たちを避ける王子のようだ。けれど、どれほど彼が魅力的でも、また恋に落ちたら傷つくだけ……。み
フェリシティは良家に生まれながらも、一生結婚せずに世のために身を尽くすつもりでいた。華やかな母や姉と違い“見劣りする娘”と囁かれる彼女は、母たちのように愛に溺れ、愛に裏切られる人生を望んでいなかった。ところが母が再婚し、義父にいじめられる日々が始まると、彼女は家を出たい一心でやむなくお見合いをしたいと願い出る。持ち上がった縁談の相手は、スタントン伯爵リチャードーー社交界随一の花婿候補で、フェリシティが心密かに慕っていた男性。跡継ぎをもうけるための便宜結婚を望む伯爵に、彼女の心は揺れた。私はきっと彼を愛して
地中海を渡る途中、イングランド貴族の令嬢エレナの乗った船が海賊に襲われた。父を失い、弟と生き別れて、あろうことか彼女はオスマン帝国のハーレムへ売り飛ばされてしまった!ハーレムの主スレイマンは、イングランド貴族を母に持つ男。異教徒など野蛮だと思っていたエレナから見ても、彼は知的で洗練された美丈夫だった。しかし、国へ帰してほしいと懇願するエレナに、スレイマンは非情にも言い放った。「決してここからは出られない。おまえは私のものだ」
ウエディング会社で働くグレッチェンのもとへ、奇妙な依頼が舞いこんだ。来週末の結婚式で、ある招待客の恋人役を演じてほしいというのだ。男の人は苦手だし、地味で太っちょなわたしにうまくやれるかしら……。彼女はおそるおそる、教えられたホテルのスイートルームを訪れた。出てきたのはなんと、とびきりハンサムな億万長者ジュリアン・クーパー。鍛えぬかれた身体、青緑色の瞳ーーああ、いったいどうしたらいいの?同じ部屋にいるだけで手が震えるのに、彼の恋人のふりだなんて!「きみがぼくの恋人役だって?」やっぱり、彼はがっかりしている