2016年5月12日発売
父親が亡くなり天涯孤独の身となったおきみは、後ろ足の先だけ白い黒猫が出る夢を見るようになる。すると夢と同じ出来事が実際に起こるのだ。残された借金返済のため根付を売りに皆塵堂へ行ったおきみだったが、たいした金額にはならず、女郎屋に売られることに。皆塵堂・主人の伊平次は一計を案じるのだが…。そしておきみが夢で見た黒い子猫は何者なのか?面白さ抜群の「人情怪談騒動記」ついに完結!!
陰鬱な屋敷に旧友を訪ねた私。神経を病んで衰弱した友と過ごすうち、恐るべき事件は起こる…。ゴシックホラーの名作「アッシャー家の崩壊」、名探偵デュパンの類稀な洞察力が発揮される「盗まれた手紙」、暗号解読と宝探しが痛快な「黄金虫」など、ポーの代表的短篇7篇と詩2篇を収録。
クラシックのコンサート中、ついまどろんでしまった貴之の前に、妖艶な姿を現したコンサートミストレス。貴之を虜にした、その正体とはいったい何者か…(表題作「ミストレス」)。ミステリーあり、ホラーあり、社会派作品あり、官能あり…。甘く官能的でいながらも、全編を通して人の生について深く抉った珠玉の短編五編を収録した贅沢な一冊。
日本海の隠岐島。討幕の二人の天皇が流された勤王の地。尊王攘夷派の若き庄屋・井上甃介は、幕末、農民三千人を集めて武装蜂起。幕府寄りの松江藩を島から追放し、世界初の自治政府を立てた。王政復古と維新に、夢をかけた男たち。だがその理想は、新政府に裏切られる。大いなる志を胸に闘い、倒れた若き志士たちの青春と復讐、再起を描く、激動の幕末維新ロマン!
真以は恋人の南野刑事との久しぶりのデートに心をときめかせていた。やっと予約がとれた人気のレストランには、奇妙なことに空席が目立っていた。なぜか、突然お客が減ったらしいのだが…。その謎を、名探偵ハルお婆ちゃんが解き明かしてゆく(「予約のとりやすい店の問題」)。ミステリー史上もっとも可愛い探偵が活躍する、ユーモラスでちょっぴりほろ苦い連作集。
海外の仕事で華々しい成果を挙げた流葉爽太郎。彼の功績に目をつけた警察庁は、危険ドラッグ撲滅キャンペーンのためのCF制作を依頼。はじめは乗り気でなかったが、タッグを組むこととなる美しき警視・圭子の過去を知り、引きうけることを決意する。ふたりは心に傷を抱える者同士だったのだ。その制作のさなか、迫り来る危険!時にクールに、時に熱く、流葉は戦う!
飲めばどんな願いも叶うというウドブノ。アンナ、ヨーコ、ノア、神宮前情報社の三人の元に伝説の飲み物が転がり込んできた。三人は、ロシアの売人から五千万円で購入するはずだったヤクザと、丁々発止のやりとりを繰り広げる。元刑事の絵図師、ロシアの殺し屋チョルトも加わって、ウドブノを巡る大争奪戦が始まった!
犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていたー。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。
並木響子は娘を死に追いやった男を殺す機会をついに得た。復讐を遂げ、放心状態で立ち尽くしていたとき、見知らぬ若い女・道田ユミに手を引かれ、その場から逃げ出すことに。数奇な過去を抱えた響子とユミ。ふたりの息つく間もない逃亡劇の終着点は、いったいどこなのかー。著者の新境地を開拓した傑作クライム・ロマンが、新装版として生まれ変わる!
グラハム・ベルが電話機を発明してから一四〇年の歳月が流れたが、とりわけ、この十数年の進歩は、黒電話からスマホへと、目まぐるしいばかり。ミステリーにおいても電話は、時計やカメラと並んでアリバイ・トリックなどに頻繁に使われてきた重要アイテムである。本書は、そんな電話をテーマにした実力派作家たちのえりすぐりの傑作を収めたアンソロジー!
蛇王ザッハークの再臨を阻むべく、アルスラーンは魔の山デマヴァントの封鎖を命じる。だが、それに呼応するかのように、王都エクバターナでも、蛇王の眷属である怪物たちが不気味な動きを見せていた。一方、トゥラーン人の戦士たちを率いるヒルメスは、ミスル国を手中に収めるべく、策謀を巡らせるのだが…。来たるべく大変動を予感させる人気シリーズ第十弾!
船頭として生計をたてる南町奉行所元定町廻り同心の沢村伝次郎は、親しくしている「川政」の船頭・左久次が死体で見つかったと知らされる。町方は水死と睨んでいるが、左久次の親方である政五郎は死因に不審を抱く。政五郎、そして、同様に不審死を遂げた松倉屋伊右衛門の息子からも探索を依頼された伝次郎は調べ始めるが…。絶好調シリーズ、待望の第十四弾。
江戸の北端、小塚原にある築安寺には、千里眼を持った和尚がいると評判だ。だが、その正体は、食いつめ者の偽坊主。幼なじみの三太と弥吉は、和尚と寺男に扮し、相談に来る者から謝礼をせしめていた。亡き師匠の娘と所帯を持つはずだった噺家が、許嫁が急に心変わりしたと泣きついてきた。(表題作)厄介事を、いかさま千里眼で珍妙に解決。人情味溢れる傑作時代小説。
表の顔は小普請組旗本、裏の顔は御側衆の隠密。能登川清兵衛は、相次ぐ公儀隠密の失踪が、南朝の皇統にあたる上月家の改易騒動に絡んでいると聞き、探り始める。近頃江戸を賑わせる六重の見世物小屋・天空楼に興じる江戸庶民を横目に、やんごとなき上月家の隠し財宝「錦の御旗」をめぐる争奪戦が始まる。清兵衛は道具を駆使し、陰謀を斬る!好評シリーズ、完結編。
駿河国汐崎藩の御刀番、左京之介は「長曾禰虎徹」を汐崎藩堀田家の菩提寺天慶寺の住職が求めていると聞いて訝る。やがて京之介の耳に汐崎藩が「虎徹」を購うという話が。背後に潜む奸計、それを阻止せんとする京之介。そして、京之介に暇が出される。左霞流の遣い手、京之介が、小者の佐助、元裏柳生の女忍び楓と藩を揺るがす輩に立ち向かう。大好評シリーズ第四弾!
俊英と謳われた豊後羽根藩の伊吹櫂蔵は、役目をしくじりお役御免、いまや“襤褸蔵”と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。弟を救えなかった櫂蔵は、死の際まで己を苛む。直後、なぜか藩から出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がるが…。“再起”を描く、『蜩ノ記』に続く羽根藩シリーズ第二弾!
僕と宗介は半年前、街で偶然再会した。学生時代からの友人は、仕事を辞めて行くあてもないらしい。仕方なく一晩だけ泊めてやるつもりだったのが、今ではすっかり居着いてしまっている。そんな彼は、僕の周辺で起きた事件を素人探偵となって次々と解決していくのだが…。それぞれ暗い過去を持つ青年、勇吾と宗介。彼らに訪れる出会いと別れを描き、爽やかな余韻を残す連作短編集。