2016年6月18日発売
ある夜、ジャングルで人食い虎“シア・カーン”に追われ、オオカミの洞穴に迷いこんだ男の子。モーグリと名付けられ、オオカミの家族に育てられる。熊や黒ヒョウに見守られながら、ジャングルでの生きていく掟を学んでいく。月日は流れ、オオカミの長となるべく、自分を襲った仇敵“シア・カーン”に復讐を誓う彼だったがー。世界を飛び回った著者が、ジャングルに棲む動物たちの生活を通して、秩序と正義を描いた名作。
雑誌の副編集長をしている「わたし」。柄に合わない上司と部下の調整役、パートナーや友人との別れ…日々の出来事に心を擦り減らしていた時、山の魅力に出会った。四季折々の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会。一人で黙々と足を動かす時間。山登りは、わたしの心を開いてくれる。そんなある日、わたしは思いがけない知らせを耳にして…。日常の困難と向き合う勇気をくれる、山と「わたし」の特別な数日間。
皆川美海は平凡な高校生だった。あの女が、現れるまでは…。幼い弟の事故死以来、沈んだ空気に満ちていた皆川家の玄関を、弟と同じ名前の少年が訪れた。行き場のない彼を、美海の母は家に入れてしまう。後日、白ずくめの衣裳に厚塗りの化粧をした異様な女が現れる。彼女は少年の母だと言い、皆川家に“寄生”し始め…。洗脳され壊れてゆく家族の姿におののく美海。恐怖の果てに彼女を待つ驚きの結末とは…。傑作ミステリ。
ダイヤが原因で滅びてしまった一家。夫が妻に語ったある夏の出来事。後輩に対して威圧的な振舞いを続けた男の末路。混線した電話から小さく聞こえる誰かの会話。欲望に支配された人の心の闇は深い。その闇が引き起こすさまざまな怪異におののくと同時に、同じような業に自分自身が囚われていることにふと気づかされる…。善悪の行為が因となり、その報いが身に降りかかる!恐怖がふつふつと臓腑に涌く現代怪談第8弾!
加賀藩腰物奉行で剣の達人でもある若杉兵庫は、藩主・前田斉泰から極秘の主命を受けた。それはかつての情人の探索。だが彼女はすでに亡くなっており、斉泰との子・千鶴が出生の秘密を知らずに、町人として音羽町の長屋で暮らしていることを突き止めた。千鶴を秘かに護れ、と命じられた兵庫は長屋の近くに住んで用心棒となる。凶盗・夜烏組、そして斉泰の正室・溶姫の魔の手から、加賀百万石の姫を護る日々が始まった…。
女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師の娘・小波がモデルだった。やがて萩原は、小波と父親の秘密を知ってしまう…。(「アカイツタ」)大手家電メーカーに勤める耀は、年上の澪と同棲していた。その言動に不安を抱いた耀が彼女を尾行すると、そこには意外な人物がいた…。(「イヌガン」)過去を背負った女と、囚われる男たち。2つの物語が繋がるとき、隠された真実が浮かび上がる。
1615年、大坂夏の陣。真田信繁の傍らに、真紅の鎧を纏う若武者の姿があった。彼の名は佐助。摂津国の鳶田の集落から大坂の地へやってきた彼には、倒さなければならない仇敵がいたーかつて母親ら家族を徳川に惨殺された佐助は、ただひとり生き延び、貧しい集落に流れ着いたのだ。「真田丸」での鍛錬で、強さを身につけた佐助は、信繁とともに徳川との決戦に挑むが…。史実を丹念に紡いで描いた、新たなる真田戦記。
若き天才発掘師・西原無量が陸前高田の古い神社跡で掘り当てた、指が3本しかない右手の骨。地元民は「鬼の手ではないか」と噂する。一方、亀石発掘派遣事務所の忍が訪れた平泉の遺跡発掘センターでは、出土品の盗難事件が発生。現場には毘沙門天像が描かれた札と“悪路王参上”の文字が残されていた。犯人の「犯行声明」が意味するものとは。そして更なる事件が起こり…!?大人気シリーズ第4弾、文庫書き下ろしで登場!
高校生の夏生が、4年前に巻き込まれた集団記憶喪失事件。「記憶屋」の関与を疑う新聞記者の猪瀬に頼まれ、夏生は記憶屋探しに協力していた。だが、手掛かりとして接触した料理人の男性の記憶が消えてしまい、猪瀬は夏生の親友・芽衣子への疑いを強めることに。夏生はこれ以上記憶屋に近づきたくないと訴えるが、その矢先に猪瀬と一緒にいるのを芽衣子に見られてしまい…。記憶屋をめぐる、衝撃の真実がついに明かされる。