2016年7月13日発売
「魔獣には人を狂わせる力がある」 “魔獣”--その身体に“人”に酷似した部分を持つ獣が存在する世界。 人々が鑑賞・性愛の目的で雌型の魔獣を嗜好、盲愛して狂気に堕ち、世間には様々な事件が充ち満ちていた。 帝都最高の魔獣調教師『絢爛なる万華鏡』ゴヴァン卿の不可解な死とともに彼の全てを継承した青年ーーツカイ。 とある【魔獣愛好倶楽部】でツカイの友人となった上代ウヅキは、帝都最高峰の魔獣調教師【獣の王】として 名声を高めていく彼に纏わる魔獣絡みの事件に遭遇していき……やがてその地位に関する陰惨な真実に触れることとなる。 「運命の敵も、親愛なる友も、私にとっては同じことだ」 人間の業と罪過が妖華絢爛に綴られる、至高の王の残酷なる事件録。
王も国も意味を失って崩壊した世界。かつて国を為した組織は経済集団と定義され「圏<エスティズ>」と呼ばれるようになっていた。東にあるヒウモト圏の継承第二位のレイロウは自らその権利を放棄したにもかかわらず、頭脳の冴えゆえに、第一位主である兄からは却って疑われてしまい、暗殺を避けてロキオルス圏に亡命していた。しかし、ロキオルス圏位主官の娘マリエイラを房中術でもてなしながら隠遁生活を過ごすレイロウの下には、いまだ兄の殺意が貿易商の形となって伸びてくる。ある日、レイロウはマリエイラから、圏が侵略の危機にさらされる前にと、ヒウモトとの外交補佐を頼まれることになるのだがーー。「無事に解決してもらえれば報告も不要。私は“何も知らない”のですから」「面白い。軍勢のいない戦争だ、これは。--引き受けましょう、その話」神なき、経済的駆け引きの世界で織りなされる異質無比ファンタジー登場。
秘密裏に進められていた不死化の研究の失敗で“死の行進”と呼ばれる災厄が起き、死者の街と化した東京・渋谷。封鎖された渋谷から、災いが世界にばらまかれ街を死者が歩き、意思を持つ死者ーー“屍人”が暗躍する。“屍人”犯罪を抑止、解決するために設立された警視庁刑事部埋葬係の埋葬官・切牙鷹はかつて“死の行進”に巻き込まれた恋人を探すため、襲い来る“屍人”たちを薙ぎ払い、命を燃やして戦い続ける。 そして、いつか、死者と化した君を、撃つーーーー
あっと驚く希代未聞のショートショート小説 「王様のブランチ」で紹介された『家族スクランブル』がたちまち重版、さらには「海酒」が又吉直樹主演で映画化されるなど、今最も注目されているショートショート作家。今回刊行される『ショートショート千夜一夜』でも、多魔坂神社の祭りを舞台に珠玉のショートストーリーを紡ぎ出す。 <<内容>> 欲しいと念じたものが出てくるヒモくじ屋、そこに現れたゴロツキどもが引いたヒモの先には……?(「ヒモくじ屋」)、夜店ですくった人魚がどんどん成長して(「人魚すくい」)、モデルにスカウトされたエリカが行方不明に(「ラムネーゼ」)、降り注ぐ優しい雨を、自分のものにする方法(「雨ドーム」)他、全20編。 読み出したら止まらない! たった5分であなたを魅惑と幻想の世界へと誘います。
北海道絶景の地の実話も元にした奇跡の物語 大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。 北海道を舞台に数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話を元にした渾身の作品。
ランチワゴンは疾走する。 危険な中学生アイドルを乗せて。 街をワゴンで駆けながら、料理を売って生計を立てる女性・夏都(なつ)。 偶然にも芸能界を揺るがすスキャンダルを知ってしまった彼女は、 その流出を防ぐため、緑色の髪をしたアイドル・カグヤと協力することに。 ある女性の携帯電話に残されたメールを削除するという、 難しくないミッションのはずだったのだがーー。 想像をはるかに超えたラストで話題騒然となった「週刊文春」連載作。
二年前、二つの銀行がしぶしぶ合併して誕生した第七明和銀行。旧第七銀行出身である会長の権藤幾太郎は、専務の綾小路英麻呂を使い、旧明和銀行出身の勢力を排除すべく陰謀を巡らせていた。そんな折、雑用を担当する庶務行員の多加賀主水が、同銀行高田通り支店に配属される。彼の真の目的は、ある男からの命令を受け、極秘裏に支店内の動向を調査することだった!
葉太は九歳の小学生。ある日家に帰ると、母がいなくなっていた。代わりに滅多に家にいない録音技師の父が一緒に夏休みを過ごすという。最初は父を拒絶していた葉太。だが、土鍋で炊いたごはん、まっすぐ進む遊び、「雪の音」をつくる手伝いなど、経験したことのない日々に葉太は夢中になっていく。このまま一緒にいたいと思っていたけれど…。父と息子のひと夏の物語。
息子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、堅実な職業に就いてと娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、子供の進路…。時にふと思う。私の人生、このまま終わるの?誰かのために生きてきた女性の新たな出発を描く物語。
母と通うカルチャーセンターに、『源氏物語』を教える大橋征一がいた。王朝の愛憎劇を読み解く老講師は、教室の外でも、光源氏のごとく女たちの求めに応えているらしいー母もその一人だった。私は大橋と二人きりで会った。半ば、興味本位に。どんな風に誘うのか、偽源氏が織りなす倒錯の世界を、垣間見たい思いもあった。
走り出した恋心を加速させたあの旋律、会えなくなった友だちが大好きだったバンド、どうしようもなく淋しい夜に味方をしてくれた歌声、誰にも言えなかった気持ちを重ねて口ずさんだフレーズ…。音楽と共に刻まれた記憶は決して色褪せない。一瞬であの頃の君と私が蘇る、忘れられないメロディーと物語がここに。15作の名曲から広がる、切なさ響くショートストーリー集。
「売れるためには、落語以外の何かでマスコミに斬り込むンだ!」人気落語家の師匠の教えに従い“飛び道具”としてボクシングを始めた橘家小龍。過酷なトレーニングも何のその、次第にジムの面々や橘家一門も巻き込んで、本気でボクシングに打ち込んでゆく。目指すはチャンピオン!だが、その前に不敗のバンタム級王者が立ちふさがる!爽快にして痛快、青春小説の傑作。
“区外”のIT財閥二代目月島やしきが魔界都市“新宿”で姿を消した。捜索を依頼された人捜し屋秋せつらの前に、やしきの婚約者で絶世の美女滝王真奈と彼女の本当の婚約者を名乗る森童子識名が現われる。彼らは各々東北で覇を競った名家出身であり、“力”でせつらを排除し、自らやしきを捕まえるというのだが…。古から継がれる血の力と“新宿”の化身との戦いが始まる!
生まれ故郷の大坂からの帰途、秋月栄三郎は平塚に“喧嘩屋”の異名を持つ力士くずれの用心棒を訪ねた。五年前、栄三も無為な生活をおくっていた頃の親友で、怖いもの知らずの好漢だった。ともに足を洗っての再会を誓っていたのだ。旧交を温めるのも束の間、終始、笑顔を絶やさない喧嘩屋の変貌ぶりに驚いた栄三は…男伊達が胸を打ち涙を誘う、痛快長編時代小説!
破落戸に殴られていた老人弥平を助けた素浪人矢吹平八郎。その弥平が後から平八郎を尾けてきた。不審に思った平八郎が理由を尋ねると、盗人の自分を手伝ってほしいと言う!よくよく聞くと押し込み先を皆殺しにする同業の悪党“不動の政五郎”一味をお縄にかけたいらしいのだが、ただの義侠心からでもなく…。老盗人と素浪人の心意気が胸に沁みる、人情時代小説。
佃島の海に男の骸があがった。役人が正視できないほどの撲殺であった。仏は石川島の人足寄場を出たばかりの無宿人と見られたが、成り変わりと判明。探索の結果、三年前に起きた未解決の妙な押しこみ事件が浮上し、ひとりの風鈴を愛する妾の関わりが疑われるーやがて、すべての真実がひもとかれたとき、北町奉行所平同心・日暮龍平の豪剣がうなりをあげた!
幕府の切支丹弾圧の首魁である天海が江戸から消えた。天草四郎から力を授かった聖騎士であり、江戸の長屋で庭師として暮らす寅太郎は、天海を追い、安芸広島藩へと旅立った。そこで、古からの海の力を伝える少女と出会い、天下の名庭・縮景園では新たな平和な世を思い描く。だがその前に“三種の神器”を飲み込んだ天海が立ちはだかる!大河伝奇、最高潮へ。
戦国時代。下剋上の世にあって、大内・尼子の強国間で知略謀略を尽くして大大名となった毛利元就(「調略」)。伸長してくる後輩秀吉に、複雑な心境に陥る丹羽長秀(「腹中の敵」)。家康に重用された父のあとを継ぎ、幕府で権勢をふるった本多正純(「戦国権謀」)など、乱世を生きた様々な武将を描いた珠玉の10編。待望の新シリーズ刊行開始。