2016年8月11日発売
ブルームーン(六月十五日)。妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。-山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。
水死体の第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾の荒川河口で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。解剖医と鑑識は、絞殺後に川に捨てられたものと推定するが、赤堀は全く別の見解を打ち出す。付着したウジと微物から割り出した、思いもよらぬ真相とは?
『僕はーヒトゴロシ』。謎の詩を残して姿を消した桜井京介は、久遠アレクセイの名に戻り、14歳まで育った屋敷にいた。神代宗の話を聞いた蒼は、京介を捜し歩き、20年前の忌まわしき事件を知る。久遠家のルーツが明らかになった時、父グレゴリの狂気が京介を襲う!「建築ミステリ」の金字塔、ついに完結!
彩は三十四歳、アルバイトで独身。伊藤さんは二十歳年上の給食調理補助員。古くて狭いアパートでの気ままな同棲暮らしは彩の父の登場によって破られる。居座る父とのぎこちない共同生活は続くのか?誰にも必ず思い当たる家族問題を笑いと緊張の絶妙なタッチで描く、選考委員絶賛の小説現代長編新人賞受賞作。
宿敵・善住坊を倒した後、戦国時代から現代に帰還した慶一郎が目の当たりにしたのは、歴史が改変され、存亡の危機にさらされた別の日本だった。歴史修復のミッションを託された慶一郎は再びタイムスリップ、歴史に介入するが、仲間が一人また一人と消されていく。大人気「戦スナ」シリーズ、驚愕の最終章!
転校生の修司は、風変わりな司書・馬渡に、奇妙な試験「霊感検定」を無理やり受けさせられる。結果は三級。バイト代につられた彼は、霊と対話できる準一級の霊感の持ち主であるクラスメイト・空たちとともに、馬渡の心霊調査を手伝うことになるが…。霊感のある高校生たちの織りなす、癒し系青春ホラー。
岡山には珍しい大雪の翌日、美貌の音楽教師の服毒死体が発見される。しかし、その手に抱かれたフルートは、なぜか左右の構えが逆になっていた。警察が「自殺」で幕引きを図る中、今度はその婚約者が溺死体となって川に浮かぶ。音大移設を巡る汚職と、交錯する愛憎が招いた殺人に、浅見光彦の名推理が冴える!
人の運は紙一重。切所を見極め、悔いなく生きよー今川、武田、織田と強大な勢力が重石のようにのしかかる三河。部下にも呆れられる凡庸な武将家康には、越えるべき峠がいくつもあった。家康はなぜ天下人になれたのか?本能寺の衝撃の真相とは?剛腕・伊東潤が家康生涯最大の切所「伊賀越え」に挑む!
16年前に画家の屋敷から消えた少女を捜してほしいー。霊感ゼロの喫茶店店主・佐貴のもとに舞い込んだ依頼は、友人にして由緒正しき霊媒師・アーネストへのものだった。年に一度の紫陽花観賞会に招かれた二人が見たものは、屋敷内の奇妙な回廊と、奥にあるいわく付きの人形。そこへ不可思議な殺人が起こる!
新宿の無認可保育園「にこにこ園」園長兼探偵の花咲慎一郎。彼の携帯に城島から調査依頼が入った。洋菓子店『若草』の職人・内野の身辺調査をしてほしいと。一方、にこにこ園で大事件が起こる。並木浩太郎の父親が路上で襲われ意識不明となったのだ。父子家庭の浩太郎のため、花咲は失踪した母親を探しにいくが。
支援員・村野秋生の電話から聞こえた被害者家族の名前に、隣の松木優里は衝撃を受けた。青木那奈ーそれは支援課に赴任した頃に担当した少女の名だった。八年前に父を殺された少女が、義父の死体を発見した。こんなことが二度起こるのか?涙を見せない少女に疑惑の目が向けられていく。
豊臣秀吉を倒し、“絆の力”で日の本を統一せんと願い、ついに動き始めた徳川家康。彼は雑賀孫市の力を借り、戦国最強・本多忠勝と共に関ヶ原を目指す。群雄割拠する乱世の天に、彼の祈りは届くのか!?人気沸騰のスタイリッシュ英雄(HERO)アクションゲーム・ノベルが文庫化!4ヵ月連続刊行最終巻!
この中に「日本」が封印されているー。ゲーム「蓬莱」の発売中止を迫る不可解な恫喝。なぜ圧力がかかるのか、ゲームに何らかの秘密が隠されているのか!?混乱の中、製作スタッフが変死する。だが事件に関わる人々と安積警部補は謎と苦闘し続ける。今野敏警察小説の原型となった不朽の傑作、新装版。
孤児院育ちの美女から生家を探してほしいとの依頼を受けた弁護士・川路。唯一の手がかりは、20年前の殺人と蘇るミイラについて書かれた異様な日記のみ。友人・那珂の助けを借りてついに家を突き止めるが、そこは江戸時代から存続する曰く付きの屋敷だった。そして新たな殺人が…。謎とトリック2倍増しミステリ!
出発点となったリサイクルショップ“チープグッズ”に戻った凛田莉子。ムンクの絵画「叫び」の盗難事件を機に、過去最難関の謎へと導かれる。事件を追ううち、探偵になった小笠原悠斗との心のすれちがいにも真意が見えはじめ…。人の死なないミステリ「万能鑑定士Q」シリーズ、遂にここに完結。
しがない蕎麦屋を営む銀太、秀次の兄弟と、北町奉行所・吟味方与力助役の貫三郎は幼馴染。吟味で腑に落ちないことがあると、貫三郎は身分を隠して二人に知恵を借りに来る。そんな三人が、江戸中を騒がす連続辻斬り事件に巻き込まれた。真相を暴くため、銀太は…。傑作時代ミステリー誕生!
人は人生で4度、殺意を覚えるーー。芥川賞受賞作家、村田沙耶香の最大の衝撃作はコレだ!--今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。 祝!芥川賞受賞 村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ! 10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。 今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。 殺人出産 トリプル 清潔な結婚 余命
弱小球団・カープの帽子が赤に変わった1975年、原爆の傷痕が生々しく残る広島に、中学一年生のマナブが転校してきた。「よそモン」マナブは、野球少年ヤスと新聞記者志望のユキオに出会い、街に少しずつ馴染んでいく。一方、カープは悲願のリーグ初優勝に向かって、真っ赤な奇跡を起こしつつあったー。
孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留孤児の兄が永住帰国した際、失明していた和久はその姿を視認できなかったのだ。驚愕の真相が待ち受ける江戸川乱歩賞受賞作。
大欧州からの渡米船を一目見に、物見高い大江戸っ子はこぞって港に集まった。記者・雀は人ごみの中で可憐な少年に出会う。初花が強面の同心の妹とも知らずー。二人が食に芝居見物と、天下泰平な大江戸を愉しんでいる頃、秘かに犬族の間である奇病が広がっていた。「魔狼の災厄」と呼ばれる病の正体とは。