2016年8月発売
アナは旅の途中で所持金を盗まれ、働き口をさがしていた。ようやくある屋敷の家庭教師の職を見つけ、面接に行く途中、アナは海で溺れた少女を救い、そのまま意識を失ってしまう。気づくと、彼女は豪奢な屋敷で寝かされていた。そばで当主のリチャードが、娘の命の恩人である彼女に冷ややかな目を向けている。アナは、はっと気づいた。彼とは先日、偶然出会っている。しかも、キスまで奪われて……。この人は、私が愛人志願で現れたとでも思いこんでいるんだわ。なんて傲慢なの! 私は家庭教師になりたいだけなのに。
シーラは大きなお腹を抱え、9カ月前の運命の夜に思いを馳せていた。とあるパーティで、高級なタキシードを着こなす男性と出会った。スレイドと名乗る彼は世界を股にかけて仕事をしており、ハンサムな容姿もさることながら、知性とユーモアで彼女を魅了した。たちまち惹かれ合い、月明かりの下で情熱的に結ばれたのもつかの間、夜明けとともに彼は旅立っていったーー彼女の身に、小さな命を残して。でも、スレイドは永遠の関係や子どもを望むタイプじゃないわ。シーラは彼に妊娠を知らせず、独りで産み育てる決意をした。それなのに今、なんの前触れ
両親亡き後、アンは鬼のような大伯母のもとで家政婦同然にこき使われ、20歳になった今、好きでもない男性と結婚させられそうになっていた。もう我慢できない……。アンは古い車に乗って家を飛び出し、カリフォルニアに向かおうとしたが、途中で車が故障してしまった。窮地を救ってくれたのは、ローリーとアンジェラの若夫婦。学生結婚した二人は夫婦で初めてローリーの実家へ行くところだという。二人の車に同乗してほっとした矢先、衝突事故に巻き込まれ、アンは病院のベッドの上で意識を取り戻した。そばにいたローリーの兄マットの言葉で、驚き
和平のため敵対するマッキントッシュの城を訪れた族長の娘ベラは、花婿候補として、2人の男に引き合わされた。寡黙で野性味溢れるブローディ。女あしらいの上手い美男子ケイラン。氏族同士の争いに終止符を打つには、どちらかと結婚しなければならない。だが翌朝、ベラの弟が殺害され、犯人と断罪されたブローディは即刻追放、ケイランが次期後継者に指名された。4カ月後、ケイランとの婚礼を翌日に控えた嵐の夜、突然、ベラの寝室に侵入者がーー!暗く険しいブローディの視線に瞳をとらえられた次の瞬間、ベラはたくましい腕で軽々と抱えあげられ
10年前、富豪の一人娘エミリアは、アポロ像のようにハンサムでエレガントなドミニクに恋をした。太っていて不器量なエミリアに、彼はとても優しくしてくれた。だが、ドミニクに求婚されたとき、彼女は断ったーーそれが財産目当てと知ったから。その後、父親が破産して自殺。エミリアの人生は一変した。今は痩せて、見違えるほど美しい女性に生まれ変わり、エマという名で家庭教師をしている。そして今度の雇い主は……伯爵となったドミニク!変貌したわたしを見て、彼は過去を思い出すだろうか?
パーティ会場で男に言い寄られ、困り果てているジュリアを、サイラス・カボット・カーターは思惑ありげに見つめていた。彼は近い将来、爵位と広大な領地を受け継ぐ名家の御曹司で、常に絶対の自信を持ち、大勢の女性に取り囲まれている。ジュリアが幼い頃から憧れながら、反発も感じていた年上の男性だ。サイラスは「きみもあの男に気があるんだろう?」などと言って軽蔑をあらわにし、違うというなら証明してみせろとたたみかけた。「いったいどうやって?」ジュリアが憤慨して問うと、サイラスは平然と彼女の腰に手をまわし、こんな提案をした。「僕の恋人を演じて、あの男を追い払えばいい」
地中海の島国アルマの王女ベラは落胆していた。父に強いられた、石油王の御曹司ウィリアムとの政略結婚。兄たちのように恋におちた相手と幸せになれたらよかったのに……。そんなときベラは、浜辺で偶然でくわした魅惑的な男性が、驚くことにほかならぬ許婚ウィリアムだと気づく。たくましい体。きらめくアクアブルーの瞳。写真で見た、ハンサムだけれど真面目そうな印象の彼とはまるで違う。なんて快活でセクシーな人なのかしら。にわかに胸躍らせるベラだったが、すぐにそれが勘違いだとわかる。彼の名はジェームズーー父が決めた結婚相手の双子の
アイルランドの美しい古城のホテルで働くアーニャは、ホテルを買収した新オーナーのブレイディに呼びだされ、カリフォルニアを訪れた。出迎えにも来ないブレイディに腹をたてるが、やがて現れた彼をひと目見るなり、その野性的な魅力に圧倒されてしまった。人を寄せつけない謎めいたまなざしーアーニャは魔法にかかったように、彼に誘われるままベッドをともにした。だがその直後、ブレイディの言葉に凍りつく。「昇給は約束する。もうアイルランドに帰るといい」2ヵ月後…アーニャのおなかには新しい命が宿っていた。
「夏のふれあい」ノーラ・ロバーツ/ニューヨークで働くグウェンは、母の手紙にルークという男性の名がよく出てくるのを不審に思い帰省する。「愛していると伝えたい」リンダ・ハワード/ボスのサクソンの愛人となる道を選んで2年。彼の子を妊娠したアンナは、どんなしがらみも拒む彼に涙をのんで別れを告げた。「恋人たちのシエスタ」リンダ・ラエル・ミラー/オリヴィアはメキシコで仕事中、砂漠の山賊に誘拐され意識を失う。だが目覚めるとそこは海辺の邸宅で、謎めいた美しい男性がいた。
トレシーは金持ちの伯父一家と、南フランスへやってきた。わがままな従姉の、休暇中の世話係として雇われたのだ。実は伯父たちにはバカンス以上の大事な目的があり、従姉が未来の花婿として狙いを定め熱を上げている大富豪、クリスピン・フォクスの豪華クルーザーの後を追ってきたのだった。生粋の上流階級の男性クリスピンを目の当たりにしたトレシーは、そのゴージャスなオーラに圧倒され、つい従姉に同情した。あのような男性には、とても相手にされないのでは…。予想に反して、クリスピンは度々訪ねてくるようになる。だが彼の目的は着飾った従姉ではなく、世話係のトレシーだった。
北海道の釧路から田代彩乃、九州から下条香織も同じく、東京の看護学校にやって来た。 二人は仲良しで、学業に頑張ったが、卒業と同時に彩乃は自分の顔を整形して、綺麗に成ろうとして、先輩の児玉愛子に勧められてデリヘルのバイトを始めた。 お金が貯まると整形をして病院を変わる彩乃、看護学校時代とは見違える容姿に変貌していた。 しばらくして、下条の誘いで彩乃はKTT病院に来た。 驚く香織、二人の年齢は三十歳、結婚を焦る二人の前に上場企業の御曹司加納敏也が、スキーの怪我で入院して彩乃を好きに成る。 敏也の家庭は、真面目一筋の家庭で、風俗で働いていた事が暴露されると、破談に成る彩乃は隠すが、デリヘル時代から交際が続いていた橘郁夫とは、バイトを辞めても付き合って六年が経過していた。 露見を恐れた彩乃は、郁夫と決別して敏也と結ばれるが、嫉妬に狂う香織は彩乃の過去を暴こうとする。 その香織の行動に疑問を持った旅館の仲居吉永富子と息子明夫が、知ってしまった事が過去の事件を呼び起こす。 静岡県警、佐山次郎、野平一平、美優の活躍シリーズ
月面WWSA基地を占拠され、その最後通牒に示された刻まで僅か数時間。さらに地球防衛軍の母体“アーク”までもが反乱軍により席捲されつつあった。地球存亡の鍵を握る尖兵となるべき、みづちの若長・多一郎も既に侵略者の手に堕ちていた。安西、そして加賀率いる地球軍は、巨大なエネルギー変動に乗じて、錯綜する時空の結界をつき抜け反撃に打ち出る。安西は“アーク”奪回へ。加賀は先住者次元・高千穂の宮へ。しかし、そこには…。大河小説の第14弾。第二部「地球聖戦編」の第3作目。
人間の奥深い内部で不気味に蠢き、内側から揺さぶり崩そうとする見えざる“暗黒意識”を主題に書かれた『冥府』『深淵』『夜の時間』からなる三部作。特に「僕は既に死んだ人間だ。これは比喩的にいうのでも、寓意的にいうのでもない。僕は既に死んだ」と始まる『冥府』は、死後の世界を舞台にした幻想的な作品で、いずれも福永武彦の死生観が滲み出た作品群であるが、ストーリー展開に直接のつながりはない。
“罪喰い”という魔の言葉に取り憑かれた新進建築家の彷徨を描く表題作に、一年中、花の香りが絶えることのない妖かしの庭に魅せられた若い庭師を描く「花夜叉殺し」他、著者初期の代表的短編「獣林寺妖変」、「ライオンの中庭」、「赤姫」、「サーカスの花鎮」を収録。芸能や工芸の世界を舞台とし、耽美的かつ伝奇的な作風で知られる赤江瀑の幻想の世界が広がっていく…。解説は幻想文学研究の第一人者・東雅夫氏。
5階A田、6階B野、4階C川、7階D山、10階E木…似ているけれどどこか違う人々が各フロアで働いているオフィスビルー女とは、男とは、会社とは、家族とは…同調圧力に溢れる社会で、それぞれの『武器』を手に不条理と戦う『わたしたち』を描いた、著者初の小説集。文庫本書き下ろし短篇「タッパー」を収録。第4回Twitter文学賞(国内部門)第1位。キノベス!2014第3位。
異星文明が残したワームホールゲートの発見で、人類第二の故郷・火星は戦争の時代を迎えようとしていた。日本人の末裔、葦船彰人と大島麻理沙のふたりは出会い、恋に落ち、火星の歴史が動く。「彰人くんが選ぶなら、それが運命だったんだよーわたしたちの」。壮大な物語世界が立ち上がるSF恋愛小説。
未来を震撼させる巨星アルトーのテクスト群に「比類なき仕方で君臨する」(ドゥルーズ)名著『ヘリオガバルス』を第一人者が新訳。十四歳で即位して十八歳で惨殺されたローマ少年皇帝の運命に究極のアナーキーを見出し、血塗られた歴史の深部に非有機的生命=「器官なき身体」の輝きを開示する稀代の奇書にして傑作が新たな訳文によってよみがえる。
准男爵令嬢ベラは、考古学者である父親に連れられて、中近東で育った。父が病に倒れ、「エイルウィンを探しだせ。地図を見つけるんだ。半分はおまえのもの……ファラオの宝」と言い残し、この世を去ったのは1年前。やっとの思いで英国へ帰郷したが、エイルウィンなる人物は見つからず、弟妹を学校に通わせるためお金を稼がねばと職さがしをするも、英国式のマナーが身についていないためうまくいかない。 意気消沈して過ごしていたある日、ベラの家に亡き父の古い知り合いだという貴婦人レディ・ミルフォードが訪ねてきた。そしてエイルウィンは父の考古学仲間で、かつて発掘場所で墓荒らしに襲われて亡くなったと知らされる。また、エイルウィン公爵の息子、五代目公爵マイルズがエジプト学者になっており、資料を整理するキュレーターを必要としているので志願してはどうかと勧めてくれ、面接用のドレスときれいな赤い靴を持たせてくれた。 こうしてロンドンの公爵邸を訪ねたベラは、社交嫌いで気難しいマイルズに最初は追い返されそうになるが、彼は幼いころ彼女と出会っていたことを思いだした。また、父の死についてベラがなにか手がかりを持っているのではと考えて雇うことを決める。ベラは公爵邸で住み込みで仕事をしながら、ファラオの宝の地図を探そうとするのだが……果たして地図は見つかるのか? マイルズはベラに心を開くのか?大好評、《シンデレラの赤い靴》シリーズ第四弾。