2016年9月27日発売
オライオン飛行オライオン飛行
1936年、九州帝国大学付属病院の看護婦・久美子は、墜落して重傷を負った飛行士アンドレ・ジャピーと出会う。言葉も通じないふたりの間に燃えあがる短くも激しい恋、そして別れ。80年後、久美子の血を引く26歳のあやめは、ふたりをめぐる不可解な物語を知る。残された古い時計を手掛かりに日本からフランスへ、恋の謎をたどるなかで、あやめが見つけた真実とはー。みずみずしくも濃密に描かれる恋の切なさ、闇に彩られた歴史のロマン。高樹のぶ子の新たな代表作!
氷の轍氷の轍
北海道釧路市の千代ノ浦海岸で男性の他殺死体が発見された。被害者は札幌市の元タクシー乗務員滝川信夫、八十歳。北海道警釧路方面本部刑事第一課の大門真由は、滝川の自宅で北原白秋の詩集『白金之獨樂』を発見する。滝川は青森市出身。八戸市の歓楽街で働いた後、札幌に移住した。生涯独身で、身寄りもなかったという。真由は、最後の最後に「ひとり」が苦しく心細くなった滝川の縋ろうとした縁を、わずかな糸から紐解いてゆく。
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