2016年発売
芝の伊皿子坂にある料理屋・夢屋のおかみ、おたね。ひとり娘を大地震で亡くした悲しみはまだ癒えないが、ある日、浜辺に置き捨てられていた幼い男の子を夢屋に連れて帰る。母親を懸命に探すおたねと夢屋の面々だったが…。やがて夢屋の料理が、母と息子の再びの絆を作っていく。辛い境遇を乗り越えて歩き出す市井の人々を温かく描く、感動の好評シリーズ第三弾。
多くの昔話や稲荷信仰にたとえられるように、狐は古くから人に親しくも、とても神秘的な動物だった。そんな超自然の力を持つ狐に守護された若き武士が、激動の乱世を生き抜いていく不思議な物語「狐武者」をはじめ、深窓の女子学生失踪事件をめぐる男女の愛憎劇をサスペンス溢れる筆致で綴った中編「うす雪」など、七編すべてが文庫初収録となる幻の傑作集!
読売屋を営む水月天一郎たちの元へ、南町奉行所の同心が読売の種をもってきた。吉原の遣手で「鬼婆あ」と恐れられるお稲が病に倒れ、武家に里子に出した息子に会いたがっているという話だった。「鬼の目にも涙」という読売種を調べ出したが、とんでもない悪事が発覚。天一郎たちは、吉原に巣くう闇と対峙する。江戸情緒と爽やかさ満点の人気シリーズ第六弾!
不動産会社の営業で訪れた家の主人が、小学生の頃の自分を知っているという。驚いた自分にその元教師が語ったのは、なぜか二十年前に起きた拉致事件の真相を巡る推理だった。当時の記憶が鮮やかに蘇る…(「沙羅の実」)。長い日々を経て分かる、あの出来事の意味。記憶を遡れば、過去の罪と後悔と、感動が訪れる。謎が仕組まれた、極上の「記憶」を五つ届けます。
中国統一を成し遂げた英傑は「永遠の君臨」を望んだー。紀元前二五九年、七つの国がひしめく中国・戦国時代。質子として趙の都・邯鄲で生まれた趙正(始皇帝)は、大商人の呂不韋に見いだされた父・子楚が秦の王となったことで運命が変わる。子楚の急死により十三歳で王に即位した趙正。呂不韋の補佐を受けながら国を治めていたが、新たな側近・李斯が唱える「天下一統」の構想に衝撃を受けるー。
幕末の京都で出会った「世話のやける弟」のような男・坂本龍馬と結婚したおりょう。夫を呼び捨てにし、酒を浴びるほど飲み、勝海舟にも食ってかかる「妻らしからぬ」振る舞いに、龍馬の周囲からは離縁を迫られる始末だった。しかし寺田屋事件で龍馬の命を救ったおりょうの名はとどろき、二人は仲むつまじく薩摩から長崎へ。その旅は、ハネムーンなのか、戦場への門出なのか。いつのまにか英雄になってしまった夫に、自分は何をしてやれるだろう。どんな世話がやけるだろうー龍馬に惚れながらも自立した魂が輝く「門井版おりょう」の物語。最旬エンタテインメント歴史長編!
罪を犯した者に、被害者が体験した記憶を追体験させることができる機械、「0号」。死刑に代わるシステムとして開発されるが、被験者たち自身の精神状態が影響して、なかなか成果が上がらない。その最中、開発者、佐田博士が私的な目的で使ったために研究所から放逐される事態に。研究は、部下の江波はるかが密かに引き継ぐことになったが……。人の心の機微を描くことに定評のある著者が、近未来を舞台に描く、渾身のヒューマン・ドラマ。
周次郎の女房おきみが失踪した。実家の大店の質屋『甲州屋』の差金だと考えた周次郎は、亡父の今際の際の言葉を手がかりに、甲府へ女房捜しに向かう。だが、旅の途中、謎の刺客に襲われる。一方、悪質な金貸し妹尾別当を探る青柳剣一郎は、妹尾と『甲州屋』の関係を語る家訓に違和感を覚えていた。やがて江戸で起きた破落戸の連続殺しが、新たな事件の始まりとなる。
刺客の魔手から逃れた周次郎だったが、辿り着いた甲府で再び命を狙われる。誰が何のために?青柳剣一郎と縁ある旗本高岡弥之助の手助けで、おきみを捜し、亡父の遺した“言葉”の謎を追う周次郎は、『甲州屋』の誕生に黒い利権が渦巻いているのを知る…。その頃、江戸で金貸し妹尾別当の素性を洗っていた剣一郎は、江戸と甲府で暗躍する、闇の組織に立ち向かう!
モーニングスターブックス創刊タイトル第1弾! 大魔王の娘ルシルによって異世界に召喚され、世界に散らばる七十二財宝を集める仕事を任された、収集癖のある男子高校生・火神光磨(コーマ)。壺に入っていた大魔王の魂をうっかり呑み込んだことで、アイテム創造能力〈アイテムクリエイト〉を身に付けたコーマは、人間が住む町ラビスシティーに向かい、残念美少女な勇者の従者を務めながらアイテム販売店を経営することに。異世界でのコレクター生活は順調にスタートしたようにみえたが……!? 小説家になろう発、第4回「ネット小説大賞」受賞作!
第13魔王としてこの世界に誕生して早3ヶ月。元は日本人の新米魔王キアスは、魔大陸の端にある“魔王の血涙”に加え、倒した第11魔王コションの広大な支配地域も治める事になり、人手不足でお悩み中。有望な人材を確保しようと新人スカウトの旅に出たキアスは、隠れ里に住むグリフォンの長に紹介され、有能な配下を持つという第4魔王オールの宮殿へ向かう事に。そこでキアスは、肉食系でド変態美女な夜の魔王に“子作り”を迫られてー!?「小説家になろう」発、「なろうコン大賞」受賞作待望の第4巻!
ケセラテ自然公園につきまとう“地下遺跡”の噂。 オミテックからの依頼で公園を訪れたフォロンを迎えたのは、 今まさに発掘されつつある遺跡と、そこに埋まっている『コア』と、コーティカルテのつぶやき。 ートルバスが『神曲の都』として栄えたのには、理由があるー 本来なら、事務所の晴れがましい仕事となるはずだったコアの移送。 新調した制服に身を固め、報道陣の前に立つ事務所の面々。 晴れやかなムードの中、すべては順調に進むはず、だった。 だがなぞめいたコーティのセリフを裏付けるように、 『天国変』と『地獄変』を使いこなす謎の敵が現われ、 コアを強奪。激しい追撃戦とバトルのなかでコーティの身体に異変が……!? 絶好調シリーズ第三弾!
事故死したジンタが目を覚ましたのは、女神リーファの前だった。お悔やみの言葉を告げるリーファに、「これで社畜生活とオサラバだー!!」と歓喜の雄叫びを上げたジンタは、ガチャありの剣と魔法のファンタジー世界へ転生する。だが、直後ジンタのステータスの異常が判明。運の最大値は未来「99」のはずが、ジンタの数値は「999999」になっていた!抜群の強運でガチャを回し「神話級の最強兵器」を当てたジンタは、あらゆるものをガチャで入手し、リーファや仲間たちと楽しい異世界ライフを送ることになるのだが…!?圧倒的ガチャ運で始める超余裕な異世界ライフ、開幕!!
落雷によって命を落としたコウタは、ある魔道書の力によって異世界に転生した。その際にコウタが獲得したのは、寝て起きるだけであらゆる魔法を覚えられる『ログインボーナス』という能力だった!毎日寝て起きるだけで指折りの戦力を持つことになったコウタはーしかし、田舎の街でただ気ままに暮らすことを選ぶ。魔法を覚えることが困難なその世界において貴重な魔法をどんどん覚えながらも、嫁を名乗る魔道書の少女・ソラスや街の仲間とともに、楽しく自由に過ごすコウタは、やがて異世界において、その名を上げていくことになり…!?寝て起きるだけで成り上がる物語、ここに開幕!!
関西の田舎町に住む、富田豊は嫁絹子と一人息子の隆史と幸せな生活を送っていたが、高校生の時に突然発病した隆史の難病の為、家族は離ればなれの生活を余儀なくされる。 やがて一人の生活に成った親子、東京に住む息子の将来を心配する豊、豊の楽しみは毎晩のお酒だった。 妻絹子は看病の心労で他界して寂しい豊、東京から田舎町に人探しに来る老舗和菓子屋の娘、静香に興味を持った。 誰もが認める超美人、静香は豊、隆史に興味を抱く、哀れみはやがて愛情へと変化してゆくのだった。 父と息子を同時に愛してしまう静香の葛藤、行政の不備に苦しむ家族を軸に物語は進みます。 ※難病指定が最近少し緩和されている様です。 主人公が病気に成ったのが、この物語では二〇一四年より約十年前の設定に成っています。
澄みわたった青空の夏休み初日、北国のある町はずれに廃墟の未来都市のような鉄屑の山を見つけた三人の少年たち。その奇怪で謎めいた空間にすっかり魅了された少年たちは、そこに秘密基地を作り始めるが…。日本のブルース/ルーツミュージックシーンを席巻する音楽家町田謙介がみずみずしい感性で綴る、’70年代初頭を舞台にしたファンタジーYA小説。
ブルームーン(六月十五日)。妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。--山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。 ブルームーン(六月十五日)。 妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。-- 山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。 子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。 晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。 星に願いを あとがき 単行本 庄野潤三
水死体からも「虫の声」は聞こえるのか!?第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾の荒川河口で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。岩楯警部補はじめ、捜査本部は被害者の所持品から、赤堀はウジと微物から、それぞれの捜査が開始された! 第一発見者は、法医昆虫学者の赤堀涼子本人。東京湾・荒川河口の中州で彼女が見つけた遺体は、虫や動物による損傷が激しく、身元特定は困難を極めた。絞殺後に川に捨てられたものと、解剖医と鑑識は推定。が、赤堀はまったく別の見解を打ち出した。捜査本部の岩楯警部補と鰐川は、被害者の所持品の割柄ドライバーや上腕に彫られた変った刺青から、捜査を開始。まず江戸川区の整備工場を徹底して当たることになる。他方赤堀は自分の見解を裏付けるべく、ウジの成長から解析を始め、また科研から手に入れた微物「虫の前脚や棘」によって推理を重ねていった。岩楯たちの捜査と赤堀の推理、二つの交わるところに被害者の残像が見え隠れする! 第一章 夏からの知らせ 第二章 刺青が招いた街 第三章 シングルマザーの決意表明 第四章 水底の毛虫たち 第五章 O型の幸運
『僕はーヒトゴロシ』。謎の詩を残して姿を消した桜井京介は、久遠アレクセイの名に戻り、14歳まで育った屋敷にいた。神代宗の話を聞いた蒼は、京介を捜し歩き、20年前の忌まわしき事件を知る。久遠家のルーツが明らかになった時、父グレゴリの狂気が京介を襲う!「建築ミステリ」の金字塔、ついに完結!
34歳のフリーター・彩はバツイチの54歳・伊藤さんと同棲している。ある日、彩のもとに兄から「お父さんを引き取ってくれないか」との依頼が。彩は申し出を拒むが、74歳の父は身の回りの荷物を持って、部屋にやってきてしまった。父は「この家に住む」と譲らない。その日から六畳と四畳半のボロアパートでぎこちない共同生活が始まった。誰にでも起こりうる家族問題を、笑いと緊張の絶妙なタッチで描く傑作。 上野樹里主演、タナダユキ監督で2016年秋映画公開! 34歳のフリーター、彩はバツイチの54歳・伊藤さんと同棲している。ある日、彩のもとに兄から「お父さんを引き取ってくれないか」との依頼が。彩は申し出を拒むが、74歳の父は身の回りの荷物を持って、部屋にやってきてしまった。 伊藤さんの存在を知り、驚く父。それでも「この家に住む」と譲らない。その日から六畳と四畳半のボロアパートでぎこちない共同生活が始まった。ところが父にはある重大な秘密が……。 誰にでも起こりうる家族問題を、笑いと緊張の絶妙なタッチで描く傑作。 第8回小説現代長編新人賞受賞作。 選考委員を満場一致でうならせた「家族小説」。 思わず家とは何かを考えさせられた。角田光代 台詞の上手さは出色。石田衣良 安心して読める文章力。伊集院静 登場人物の体温を感じた。杉本章子 テンポよく読めた。花村萬月