2017年1月31日発売
隻眼の女子高生、火野坂暁が迷い込んだのは、真っ暗な異世界だった。窮地を救ってくれた英国紳士のミニ・クーパーや“良い飴屋”と名乗る男が率いるヒガシ町の男達と共に、自分の命を執拗に狙うニシ町と戦うことになった暁。決して明けぬ夜空の下に渦巻くのは、“ニシ町”の男達の欲望、“ヒガシ町”の男達の哀しみ、そして途方もない“絶望”の影。やがて、この国で唯一の女ー『天照』の本当の役割を教えられた時、彼女はある決断をするー。
行き倒れ寸前の10歳の少女リーゼロッテと愛犬ダシバの前に突如現れた、見目麗しい金髪のイケメンと屈強な黒服の軍人たち。なんとリーゼは彼らの国の王族の最後の生き残りで、恐るべき嗅覚でその所在を突き止めたのだという。彼女が連れていかれたのは人間と犬の姿を持つ「犬人」たちのケンネル王国だった。イケメン宰相や精悍な軍人公爵や美少年護衛やナイスミドルな騎士団員たちが「新しいご主人様」の元に押し寄せるが、みんな中身は「わんこ」!ご主人様の「愛」を競って決闘どころか他国の侵略までする始末。でもそれもこれもすべては「ご主人様」に褒めてほしいから!?そんな折、リーゼの愛する駄犬ダシバが何者かに誘拐され!?はたしてリーゼは暴走しがちなわんこたちをきちんと躾け、犬人たちの女王様になれるのか!?
貴族に生まれながら、劣等生として不遇の日々を送っていた少年・カムイ。自ら死を望む彼の眼前に現れたのはー漆黒の剣を携えた妖艶な魔族だった。元・魔王領“ノルトエンデ”を統治する貴族からの誘い。のちに“四柱臣”と呼ばれる孤児院の仲間たちとの誓い。“黄金の世代”と称えられる皇国学院生たちとの出逢い。「腐敗する皇国に改革を」-運命はカムイを、覇道へと導いていく。
高校生の夏木林太郎は、祖父を突然亡くした。祖父が営んでいた古書店『夏木書店』をたたみ、叔母に引き取られることになった林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れる。21世紀版『銀河鉄道の夜』!
私と母の間には、何があったのかー。父の不在。愛犬の死。実家の片付け。そしてカセットテープの謎。母とその娘との繊細な関係を丁寧に描き出す気鋭の作家の注目作。第155回芥川賞候補作「短冊流し」を併録。
新潮新人賞受賞、芥川賞候補作!長崎の島の漁村の家の一族をめぐる四世代の来歴。語り合うことで持ち寄る記憶の断片を縫いあわせて結実するものがたりは、意識の流れを縦横に編み込んで人生の彩りを織りなす。「過去に、記憶に、声に、まっすぐ向き合っていきたい」新鋭の話題作。