2017年10月11日発売
脳疾患で入院中の老人・糸島末彦が失踪した。彼の年若い恋人・大谷深美から捜索を依頼された旅行作家・茶屋次郎は、糸島の訛を手掛かりに福岡に飛んだ。糸島は元警官で、定年目前に退職、その後地縁もない山口の岩国や京都を経て上京したことが判明する。なぜ彼は定年を待たず退職し、居を転々と移したのか?横槍を入れてくる県警を尻目に、やがて茶屋がその陰に、一人娘の痴漢被害があり、それが揉み消されたことを掴んだ時、博多で警官殺しが続発した!九州一の繁華街・中洲に消された謎を追う、傑作旅情推理。
出っ歯の透きっ歯で極端な縮れ毛ー。上杉家当主・景勝の前に現れた真田家の人質・弁丸(後の幸村)は大変な醜男であった。その上、美男の兄・源三郎(後の信之)では気に入らないだろうと言い放つ。景勝と跡目を争った義兄弟・三郎景虎が美男で名高かったからだ。手討ちになるかと思いきや、その明るい人柄で気難しい景勝に気に入られる。秀吉の出陣命令にも、時勢を読んだ的確な助言をし、武将としての厚い信頼も得る。上杉家中での存在感を増していく中、弁丸は父の名代として秀吉に謁見することになるが…。真田幸村を描いた「ぶさいく弁丸」他、自ら作った薬で家臣団との絆を強めた徳川家康、高貴な身分と偽った豊臣秀吉、北条早雲、武田信玄、上杉謙信、織田信長ら、天下に名を轟かせた七武将の知られざる“初陣”を鮮やかに描く!
大学の物理学研究室で発生した爆破事件の現場に急行していた警視庁捜査一課の入間祐希は、同じ管内で発生した大手電気通信企業の超高層ビル立て籠もり現場に行き先を変更した。犯人は元傭兵の斉東克也、手製の武器で武装し五名を惨殺していた。イルマも斉東の攻撃に遭い負傷するが、身柄確保に成功。しかし、イルマは同時に発生した二つの事件の関連を疑う。直後、科学系出版社の編集部で第二の爆発が。犯人に繋がる唯一の手掛かりは、爆発物の送り状の末尾に記された“ex”という文字のみ。“狼のような”イルマだけが犯人の足跡を嗅ぎ取り、追走を開始するが…。
戦争に翻弄されつつも、数奇な運命に導かれ、鮮やかに輝いた青春があったー。東京大空襲からわずか三週間後の昭和二十年四月一日。上京した十四歳の美代子は、新宿の看護婦養成所に入学した。「お国のために働きたい」と勉学に励む美代子だったが、激化する空襲に、現場はたちまち野戦病院と化していく。同じ頃、二十三歳の隆作は、通信兵として大陸を転戦していた。だが、壮絶な行軍の末、体調に異変を来してしまう…。
彼女は重力を無視するかのように、ふわりと僕の前に降り立ったー「屋上へ何をしに来たの?」それが白兎のマスクを被った君との、初めての出逢いだった…。ひりつく痛みと愛おしさが沁み渡る青春恋愛ミステリー。
“神戸発釜山行き、豪華客船レインボー号で行く魅惑のショートクルーズ”-五日間の休暇がとれた銀座第一消防署の消防士・神谷夏美と柳雅代は、贅沢な船旅を張り込んだ。全長三百メートル、十一階建ての威容に圧倒されるも、非常設備の不備や通路の狭さなどに不安を覚える。一方、船長の山野辺は、経営難の会社から、種子島にカジノを誘致する計画の第一人者・民自党の石倉代議士を接待し、新航路を獲得するよう厳命されていた。山野辺は、支援者のために洋上で花火を打ち上げたいという石倉の希望に添うべく種子島沖へ航路を変更。だが、数時間後、異音と共に排水が逆流し船が傾斜。その上、南洋にあった巨大台風が大きく進路を変え、後方に迫り始めていた…。21世紀の『ポセイドン・アドベンチャー』、ここに誕生!