2017年11月21日発売
ブルの操縦で月から帰還した“スターダスト”は中国軍のミサイルで破壊され、ローダンたちはさらに劣勢に追い込まれていた。一方アイルランドの小島では、マーシャルたち異能者の集団が、心に傷を受け眠り続けるシドを目覚めさせるため彼の精神へのコンタクトを試みる。それは、彼の過酷な幼少期の記憶の追体験だった。クリフォードに連れ去られた療養中のクレストは、自らとローダンらの窮地を認識し苦悩するのだった。
時は21世紀半ば、世界はワルシャワを中心とする共産主義体制とヨーロッパ・アメリカ合衆国とに完全に二極化されていた。USEAで絶大な権力を握る美貌の大統領夫人ニコル・ティボドーは、タイムトラベル装置を使って秘かにゲーリング元帥を呼び寄せ、恐るべき計画を実行しようとするが…模造人間、超小型違法宇宙船、火星生物などのガジェットを満載、現在の世界を照射するテーマ性を持った異色の長篇、待望の新訳版。
十二月三十日、その年のG1優勝者や賞金王など九人の選手が、最速の称号と賞金一億円をかけて争う「KEIRINグランプリ」が開催される。過酷な自転車トラックレース、競輪に人生をかける男たちが挑む、年に一度の決戦への道を迫真の筆致で描き、読む者の血をたぎらせる自転車競技小説の傑作!妻への愛、友との友情、息子への想い、仲間との連帯を心に、男たちは熱き血を躍動させ、ただひたすら、ゴールへと走る!
時は人類を過保護すぎるほど守ろうとした機械知性“太母”が“涅槃”へと旅立ったあとの時代。中央星域の大商家の若旦那マルスは、人柄はよいもののだまされやすく、勘当されて辺境の宇宙港へと流れてきた。行き倒れた若旦那を救ったのは、祖父の食堂“このみ屋”を再開させようとがんばる少女コノミ。ふたりは食材の不足、単調なメニュー、サイボーグや異星人という奇天烈な客にめげず、創意工夫でお腹と心を満たしていく!
リトアニア人娼婦のリディアは売春斡旋業者から激しい暴行を受け病院へと搬送された。意識を取り戻した彼女はある行動に出る。医師を人質に取り、地階の遺体安置所に立てこもったのだ。同院内で薬物依存患者の殺人事件を捜査していたグレーンス警部は、現場で指揮を執ることになるが…。果たしてリディアの目的は?そして事件の深部に秘められた、あまりにも重い真相とは何か?スウェーデン警察小説シリーズ第二弾。
スマイリーの愛弟子として幾多の諜報戦を戦ってきたピーター・ギラムは、老齢となり、フランスの片田舎で引退生活を送っていた。ある日、彼は英国情報部から呼び出され、警くべきことを知らされる。冷戦のさなか、“ウィンドフォール”作戦の任務についていた英国情報部員アレック・リーマスは、その恋人エリザベスとともに、ベルリンの壁で東ドイツ側に射殺された。そのリーマスの息子とエリザベスの娘が、親の死亡した原因は英国情報部にあるとして訴訟を起こそうとしているというのだ。ギラムとスマイリーの責任も問う構えだという。現情報部は“ウィンドフォール”作戦について調べようとしたが、資料は消えていた。スマイリーの行方も杳として知れない。厳しい追及を受け、ギラムはやむなく隠した資料を引き渡すが…。やがて明かされる衝撃の事実とは?そして、訴訟の行方は?魅惑的な設定で描く『寒い国から帰ってきたスパイ』『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の続篇!
心療内科に通う短大生の相沢ふたばは、治療所で大学生の湯本守に出逢う。守をもっと知りたいと思うふたば。が、彼は姿を消した。看護師に守の行方を訊くが、「そんな名前の患者は知らない」との答えがー壁紙販売会社の社長・藤倉一博は、数年来探し求めていた幻の油絵、“六本の腕のある女”をようやく見つけ出す。だが、まもなくそれが贋作ではとの可能性が浮上しー不動産業の連城美和子は、喫茶店を始める長谷部悠のため、最良の物件を紹介した。だが、かつて喫茶店の店主をしていた悠の父が、三十年も隠していた哀しい出来事を知りー免許の更新に行った御通川進は、警察から「御通川進に行方不明人捜索願が出されている」と知らされる。誰が、何のために自分の名を騙って家出をしたというのか?-ひとつの街で、四つの物語が静かにひそやかに重なり合ってゆきーその先に見えるものとは…鮮やかな色彩の新・日常系ミステリ。第7回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
二〇八四年、人類が、植物の生理機能を演算に応用する技術“フロラ”を生み出した未来。東京は、二十三区全体を取り囲む環状緑地帯によって世界でも群を抜く計算資源都市となっていた。フロラ開発設計企業に勤める青年・砂山淵彦は、多摩川中流で発生したグリーンベルトの事故調査のなかで、天才植物学者・折口鶲と出逢う。首筋につける“角”-ウムヴェルトと呼ばれる装置を介してフロラの情報処理を脳に描出する淵彦は、鶲との仕事の最中に突如意識を失ってしまう。混濁する意識の中で思い出される、藤袴嗣実という少年と過ごした優しき日々。未来都市に生きる三人の若者たちを通して描かれる、植物と人類の新たなる共生のヴィジョンとは?二五歳の現役東大院生による、第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
たった5分でひっくり返る28の“超”短編小説。ミニマルな構成にシャープな風刺と驚きの結末が仕掛けられた注目の作詞家が描く“ことば”のエンターテイメント。
時は天平。藤原四兄弟をはじめ、寧楽の人々を死に至らしめた天然痘。疫病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たちー。生と死の狭間で繰り広げられる壮大な人間絵巻。