2017年12月20日発売
温泉むすめーーそれは日本各地の温泉地にいる、見た目は人と変わらない神様。その一人である高校生の草津結衣奈は、地元の草津温泉にふわさしい神様になるために「温泉むすめ師範学校」に入学しようとするが……。
東京大学主席卒業、元ミス・オブ・ミスキャンパス・グランプリ、そして彼氏は政治家一家の御曹司。 性格“以外は”パーフェクトな宝石美輝(たからいしみき)が、政界のプリンス・裕雅にまさかの失恋。 恋も仕事も失った、美輝が決めた恋のリベンジは、「元カレと同じ選挙区から出馬して、蹴落とす」ことだった。 ひょんなことから美輝を手伝うことになった俊也(としや)、暗い過去を持つ元・大物政治家秘書の入内(いりうち)と挑む 選挙の行方は? そしてリベンジから始まった、新たな恋の行方は?
多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書。そこには、命を軽視し玉砕に向かうという野蛮な日本人観を変え、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が示されていた。1943年、北の最果て・キスカ島に残された軍人五千人の救出劇を知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵と、日本人の英知を身で知った米軍諜報員。不可能と思われた大規模撤退作戦を圧倒的筆致で描く。 1943年、北の最果て・キスカ島ー忘れられた救出劇。 迫真の筆致! 窮地において人道を貫き、歴史を変えた人々の信念に心震わされる。 ー冲方丁(作家) 本書のテーマは、戦時下における命の尊さに他ならない。毎年、八月十五日が来るたびに新しい読者によって読み継がれていってもらいたい。 ー縄田一男(文芸評論家) 太平洋戦争の戦記を読む。日本人にとっては辛いことだ。だがこの作品には、まさに爽やかな「風」を感じた。さらに、意外な「あの人」がからむ終戦時の秘史まで明かされるとは! 驚愕と感動が融合した稀有な一冊だ。 ー内田俊明(八重洲ブックセンター) 多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書。そこには、命を軽視し玉砕に向かうという野蛮な日本人観を変え、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が示されていた。1943年、北の最果て・キスカ島に残された軍人五千人の救出劇を知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵と、日本人の英知を身で知った米軍諜報員。不可能と思われた大規模撤退作戦を圧倒的筆致で描く感動の物語。
★柴田元幸氏がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。 ●オリジナル・イラスト174点収録 ●訳者 柴田元幸氏の作品解題付き(2017年、第6回早稲田大学坪内逍遙大賞受賞) 「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。 それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。 ーーマーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より
穢れの町は炎に包まれ、堆塵館は崩壊した。生き延びたアイアマンガー一族は館の地下から汽車に乗り、命からがらロンドンに逃れた。だが、その頃ロンドンでは奇怪な現象が頻発していた。住人が、いきなり跡形もなく消え失せてしまうのだ。人々に何が起きているのか? アイアマンガー一族に反発するクロッド。そしてひとり難を逃れたルーシー。物語はいかなる想像も凌駕する驚天動地の結末を迎える。アイアマンガー三部作堂々完結。
妻は末期癌、夫はアルツハイマーの老夫婦。これ以上の治療は望まず、自分の死後の夫の身を案じている妻が下した決断は、愛用のキャンピングカーで2人、かつて子供たちを連れて旅したルート66をたどる旅に出ることだった。運転する夫の記憶は突然戻ったり、消え去ったり。 二人は愛し合い、強盗に対峙し、そして……! 無駄のない、ひねりのきいた文章の軽快な老人ロードノベルだが最後の最後で人生を、夫婦を考えさせる傑作。2018年1月26日より原作映画公開予定。
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がタラの学問所に入学したときに出合った最初の事件「化粧ポウチ」、学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィの資格を得、修道女になってからの事件、死を告げるバンシーの声の正体を暴く「バンシー」、ローマ第七軍団の鷹の謎に挑む「消えた鷹」など全六編を収録。若き日のフィデルマに会える、大人気シリーズの日本オリジナル短編集第四弾!
ダーラが経営する書店にコーヒー・バーができて四か月。店員のロバートが淹れるラテが好評だ。さらに、ダーラが企画した地域のお祭りの準備も着々と進行中。一方で、書店のマスコット猫のハムレットは相変わらず店の好きなところで寝たり、店内を堂々と闊歩したり。そしてお祭り当日、イベントが無事に終了するかと思いきや、コーヒー・ショップの店主の妻が死体で見つかった! 黒猫探偵の推理が冴える、楽しいコージー・ミステリ!
戦中の台湾、本島人の邸の庭で起きた日本軍人の決闘騒ぎ。一方は銃殺され、一方は頭部を殴られ意識不明の状態で発見された。単純な事件と思われたが、現場に残された二挺の拳銃はどちらも指紋が拭われていた。現場の庭は三方を壁と扉に囲まれ、残る一方を闇の幕で隔てられた一種の密室であり、謎は次第に混迷の色を深くしてゆく……。推理と恋愛と幻想が混然一体となった、戦後を代表する本格推理の逸品を創元推理文庫に収録する。
ユルスナール没後30年記念 ユルスナール(1903-87)が「自作」と認めた最初の作品である『アレクシス』と、36歳のときに刊行された『とどめの一撃』。作家が『ハドリアヌス帝の回想』で世界的な名声を得る以前の、初期の代表作2篇をセレクトした。 ボヘミアの若い音楽家であるアレクシスが、「せめて自分自身の道徳には悖らぬよう」生きるべく、妻モニックのもとを去るために書き残した手紙の形をとった『アレクシス』。ユルスナールはこの中篇について後年のインタビューで、リルケの強い影響のもとで書かれたと語っている。いっぽうの『とどめの一撃』は、ロシア革命と大戦によって孤立したバルト海沿岸の片田舎を舞台に、三つ子のような三者による愛の悲劇を描いたものだが、実際に起こった出来事に着想を得たという。 物語はいずれも主人公の声で語られるが、その「意志的に抑制した語調とほとんど抽象的な文体」は微妙なほのめかしに満ちており、須賀敦子氏はこれを『ユルスナールの靴』のなかで、「木陰のような、深い陰翳の気配がある」と評した。 ユルスナール・セレクション3に収められた堀江敏幸氏のエッセイを巻末に再録。略年譜付き。
「(事件現場から)帰れと言われたので帰ります」 刑事部長の息子で高校生の霧島智鶴はどんな事件でも解決できる天才だが、最大の欠点は、究極に「無気力」なこと。 高校二年の夏をだらだらと過ごしていた彼のもとに、刑事の熱海や同級生の揚羽、女の子に間違えられる後輩の柚季らが次々と事件を持ち込む。 つながりのありそうな二件の殺人事件、豪邸に届いた怪盗からの予告状、ある作家の謎の自殺、さらには赤い紐を使った連続殺人……。 なぜか智鶴に敵愾心を持つエリート警部・上諏訪と対立しつつ、しぶしぶ事件解決に挑むがー? 無気力ミステリー、待望の第二弾!
“本屋さん”への想いに揺れる家政婦・宵子の昭和レトロ浪漫譚 商店街のはずれにある「山下古書店」。 新米家政婦・宵子(よいこ)の努力により、 廃業同然だった店にも最近はちらほら客が入る。 一人前を目指して今日も立ち働く宵子には実は、 男やもめで無精者の店主・一生(かずお)との間に秘密があってーー。 意地っ張りでおせっかい、そしてとびきり一途な宵子と、 年の分だけ臆病になった一生が、 人情あふれる下町を舞台に繰り広げる、 懐かしくてちょっぴり切ない年の差純情恋物語。 黄昏古書店の家政婦さん 春夏秋冬下町恋話 ■目次 牡丹の影 緑水亭事件 反復恋習 あとがき