2017年12月7日発売
南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らす主婦コンスタンスは男のふりをして戦争に参加する。訥々とした女語りの雄弁さ、死と痛みに浸された世界、色彩たっぷりの自然描写、静かで容赦ない声。ポール・オースターが絶賛した長篇を柴田元幸の見事な訳でおくる。
突然の爆発による壊滅から、奇跡の復興を遂げた超近代化都市“聖華街”。そこに設立された聖華女学園には、仮面を使って巨大な人型兵器を操る少女たちが集められていた。その一人、沢村未来は、己の内に宿った黒い力に抗いつつ、仲間と共に運命に挑んでいく…。「聖刻」新シリーズ第1弾!
立てこもり犯が連れてくるよう要求した女性は、既に3週間前に自殺していたことが判明。籠城事件を起こした犯人の本当の狙いを探りあてた右京が、亘とともに巨悪に挑む「声なき者」、初老男性の凄惨な監禁現場を映し世間を騒がせている投稿動画は虚構なのか犯罪なのか、特命係が鋭く切りこむ「ラストワーク」など5篇を収録。連続ドラマ第15シーズンの第13話〜第18話。
「明治の五大監獄」を造ったおれのじいさん、山下啓次郎。そこから始まるルーツ探しは、幕末明治の薩摩魂しゃばどび大騒ぎ。ローヤも造れば国も造る、時空を超えた大ジャムセッション、轟くは三十一億五千三百六十万秒の霹靂!-文壇をも席捲した超絶小説。幕末明治のヒーロー全員集結!西郷が叩き、大久保が弾き、川路が吹きまくる怒涛のセッション、明治国家はこうして生まれた。超ド級展開、伝説的傑作小説が奇跡の復活。
指定暴力団員の家宅捜索で発見された有毒な絶滅危惧生物。女刑事の星野美咲と、生物学者兼獣医の相棒・鷹木晴人が販売ルートを追う中、事件関係者が相次いで不審な死を遂げる。二人は、遺留品のハンカチに残った未知の血液に着目するが…。書き下ろしシリーズ第二弾!書き下ろし。
明治の世。能楽の家に生まれた綾は、女ながら能楽師になりたいと志すかたわら女子英学塾にも学び、たぐいまれな審美眼をもつ才媛へと成長する。そんな折、綾は親友同士である魅力的な二人の学生と知り合う。二松學舎に学ぶ重光伊織と、帝大に通う高見友則。三人での輝くような青春の日々が過ぎ、やがて綾は伊織と友則、どちらかを選ばねばならない時がくる…。あくまでも自分らしく美を追い求めた、花精のごとき女性の生涯!
世界を変えるのはいつだって、ひたむきな努力と果てしない情熱だ!中堅製薬会社で事務職を務める水田恵輔は、祖父が入居する老人ホームで出会った女性・滝宮千夏に一目惚れする。しかし、彼女は治療困難な難病に侵されていた。彼女のために何かできないのか。悩んだ恵輔は、自ら治療薬を創ればいいと思い立つ。同期の研究員・綾川理沙を巻き込み準備を始める恵輔だったが、素人の思いつきに対する周囲の風当たりは強く…。次々と立ちはだかる困難、進行する病魔、恵輔の恋と情熱の結末はー。
将来を嘱望された良家の子弟デ・グリュは、街で出会った美少女マノンに心奪われ、駆け落ちを決意する。夫婦同然の新たな生活は愛に満ちていたが、マノンが他の男と通じていると知り…引き離されるたびに愛を確かめあいながらも、破滅の道を歩んでしまう二人を描いた不滅の恋愛悲劇。
学校の体育館裏からアスランの国に入り込んだユースティスとジルは、アスランから、カスピアン航海王の息子リリアン王子を見つけ出す任務を与えられナルニアへ向かう。沼地に住む“ヌマヒョロリ”族のパドルグラムの協力を得て北を目指すが、行く手には思わぬ罠が待ち受けていた!
十人の男女を殺害し、六人の女と共に集団自殺を遂げた木裏健三。彼は老舗旅館に取り入ったのち売春宿に変貌させ、一家のみならず無数の人間を絶望に陥れた。過去に大学の助教授でもあった者が、非道な行為に及ぶ過程には何があったのか!?センセーショナルな「木裏事件」の全貌と共に、謎に満ちた男の内奥に綿密な取材で迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー!
しがない私立探偵の“おれ”にとって最重要の顧客「山藤組」組長の山虎が、いきなり引退して堅気になると言い出した。本当なら事務所が潰れかねない大事だ。だが、案の定その裏には、とんでもない魂胆があるようでー。(表題作)ゴリラまがいの悪徳刑事に、金と女に目がない生臭坊主…個性的な面々とのやり取りも楽しい、ユーモラスで痛快な連作ミステリー!
東京のAMラジオ局で、朝の帯番組のパーソナリティを務める久世遼太郎は、木曜日の新しいゲストに、山崎ぶたぶたという人物(?)を迎えることになった。ぶたぶたの悩み相談コーナーは、一味違う答えがもらえる、とすぐ大人気に。今日もラジオに耳を澄ませると、ぶたぶたの渋い声が聞こえてくる。それだけで、不思議と心が落ち着くんだな。胸に響く三編を収録。
無職宿ナシの亀谷幸慈は、秋葉原でカツアゲされていた記憶喪失の青年を助ける。元天使だと自称する彼を利用して小金稼ぎをもくろんだ幸慈だが、失敗して絶体絶命の窮地に。そこに、一人の女性が救いの手を差し伸べてくれた。彼女の家「猫の森」で始まった六人の共同生活。それは不思議なやすらぎに満ちたものだったのだが…。コミカルにして哀切な傑作長編!
花の街として知られる地方都市・光咲市。花屋「あかり」を経営する榊竜は、客たちから花に詳しい少女・美咲の噂を耳にする。三つ編みの可憐な少女は謎解き名人で、花にまつわるトラブルを必ず解決するというが…。ある科学者が植物に対する画期的な研究を進める中、花に導かれ、少女と人々が絆を結んでいく。切なさと感動が溢れるファンタジー&ミステリー。
青い海に面し、間断なく波の音が運ばれてくる架空の町。そこの大学予備校に通う榊山は新学期の教室で奔放な情熱家の鵜飼、静脈の浮かぶ巨きな頭の吉良と知り合う。十代の男女の愛と友情が交錯し、燃焼する青春の饗宴「花筐」。戦後の混乱期に破滅へと傾く誇り高い男を描く「元帥」、『火宅の人』へと連なる「誕生」など“浪漫的放浪者”檀一雄の特質を伝える短編集。
「魔の海」と恐れられる小笠原諸島沖で、行方を絶っていた大型クルーザーが発見された。船には九名が乗っていたはずだが、船内は無人で荒らされた様子もなかった。用意された人数分の朝食と不気味に切り刻まれた後方マスト…。やがてクルーザーを発見したヨットマンたちが、次々と変死をとげていく。十津川警部が海の怪事件の謎に挑む傑作海洋ミステリー!
将軍家慶の側に仕える御小姓頭取が乱心した。事件の責任をとって、小姓を束ねる立場の御小姓組番頭・橘右近は逼塞処分に。将軍の毒味役を務める矢背蔵人介は、この乱心が、橘を陥れる策謀だと見抜き、背後の敵を探り始めた。しかし、橘と蔵人介は命を狙われ、矢背家にも討手が向かう。そして、橘は、幕閣の糾弾に命をかけた訴えに出たがー。滂沱の第二十三弾。文庫書下ろし長編時代小説。
江戸の町奉行の手が届かない関八州は、悪党の逃避先。そこで彼らを江戸に引き戻すための賞金稼ぎー追い首たちがいた。旗本三男の白光新三郎もその一人だが、出世欲にまみれた長男に金を巻き上げられてばかり。それでもめげずに、無愛想で魁偉の大黒主水、追い首の元締めに仕える利吉と共に、関八州を駆け巡る!個性豊かな三人が繰り広げる痛快無比の時代小説。