2017年2月21日発売
「ひさしや、ミミズク」今日も座敷牢の暗がりでツナは微笑む。山中の屋敷に住まう下半身不随の女の子が、ぼくの秘密の友達だ。彼女と会うには奇妙な条件があった。「怖い話」を聞かせるというその求めに応じるため、ぼくはもう十年、怪談蒐集に励んでいるのだが…。ツナとぼく、夢と現、彼岸と此岸が恐怖によって繋がるとき、驚天動地のビジョンがせかいを変容させるー。
富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。富の谷にある巨大な岩を穿って造られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実存の物語。
中年探偵・佐藤秀之進から「相棒になろうぜ」と勧誘されて埼玉県警を辞め、新宿のバー兼探偵事務所で働き始めた佐藤龍二は、警視庁キャリア・八木が持ち込んだ依頼から、殺しを愉しむ「悪魔」の周辺を探ることになりー。探偵事務所「ダブルシュガー」最初の事件!
日本列島を震撼させた「歌舞伎町封鎖事件」から七年。伝説となった犯罪者“ジウ”に自らを重ねる新たな怪物“ダムド”が現れた。吹き荒れる殺戮の嵐、再び動き出す「新世界秩序」の陰謀、新宿署の東弘樹警部補に迫る危険…謎の男と対峙するのは、アナーキーなダークヒーロー“歌舞伎町セブン”!
旅姿の侍が内藤新宿で殺された。北町奉行所同心・河上惣三郎が探索を進めると、重兵衛の住む白金村へ向かう途中だったらしい。一方、堀井道場の師範代である左馬助は、訪ねてきた若侍の腕前に瞠目していた。その天才の名は、松山輔之進。兄の仇を討つために江戸へ出て来たというー。因縁に結ばれし男たちが江戸を奔る、人気シリーズ第三弾。
芸術家の卵が集う帝都芸術大学剣道部。部長の壮介は、道場に現れた金髪の天才画家・唯の指導をすることになる。有名ギャラリーとの契約を賭け、「半年で初段を取りたい!」と語る唯。彼女の笑顔の裏には、悲しい過去が秘められていたー。アート系剣士たちの恋と友情、そして夢が交錯する。芸術×武士道青春小説!『藍のエチュード』を改題。
ヤマトの大王の想われびと、女鳥姫と恋におちた隼別王子は大王の宮殿を襲う。愛と権力を賭けた血なまぐさい叛乱の夢は、大王の前にあっけなく破れるが…。「日本書紀」「古事記」の世界を舞台に紡がれる、恋と陰謀と幻想が渦巻く濃密な物語。
心を閉ざしていたわたしをあなたは天文部に引き入れてくれた。そこで起こった「いくつかの事件」を経験して、わたしは、あたたかな世界のあることをふたたび知ることができた。ずっとこのままでいたい。でも、わたしはひとつ、大きな嘘をついていた…