2017年2月発売
石川県庁の金融調査部で相談員として働く百瀬良太は、会社の経営難に苦しむ兄が、株取引の天才、黒女神こと二礼茜に大金を依頼する場に同席した。金と引き換えに依頼人の“もっとも大切なもの”を要求する茜は、対価として良太を助手に指名する。依頼人に応える茜の活躍を見守る良太。彼女を追いかける者の影。やがて二人は、日本と中国の間で起こる、国家レベルの壮絶な経済バトルに巻き込まれていく。
捜査一課の敏腕女刑事・橘川七海は、事件で負った重傷による長い昏睡を経て、霊の姿や声を認識できる特異体質に目覚めた。難航する未解決事案を捜査する「重大事案対策班」の班長となった七海は、被害者が行方不明のまま犯人が事故死した誘拐事件をはじめ、死者のみが手がかりを知る事件に立ち向かうー。生者と死者の両者を救う、この世でただ一人の刑事が繰り広げる霊感サスペンス。
上泉伊勢守から無刀取りの会得を託され、艱難辛苦の末、奥義を受け継いだ石舟斎。徳川将軍家兵法指南役となり天下に新陰流の名を轟かせた宗矩。廻国修行で己の剣を磨き流派の深化に務めた十兵衛。偉大なる剣客三代を余すところなく活写!
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある短編小説・講演・随筆を中心にした夏目漱石の作品集。教科書に準じた注と図版がついて、読みやすく分かりやすい。解説として「夢十夜」を読むうえで必読の名評論も収録。あわせて読むといっそう味わい深い。
酒浸りの生活を送るコペンハーゲン警察の捜査官トマス・ラウンスホルト、通称ラウン。ある事情で休職中の彼は、友人から頼みごとを持ちかけられる。二年前から行方不明になっているリトアニア出身の女性マーシャを探してほしいというのだ。家出か、それとも事件か?気が進まないながらも引き受けたラウンは、尋ね歩くうちに彼女の失踪に国際的な犯罪組織が絡んでいるのではないかと疑いはじめる。一方そのころ、若い女性だけを狙う猟奇殺人者が獲物を求めて街をさまよっていた…デンマークの人気サスペンス!
あのドラマチックな夜会から半年。白夜の季節の到来とともに、相続の手続きを終えたムイシキン公爵がモスクワに戻ってくる。炎の友ロゴージンと再会したとき、愛のトライアングルが形を変えはじめた。謎の女性ナスターシャはどこに?絶世の美少女アグラーヤの不思議な思惑は…。
水野忠邦の天保の改革を支えた鳥居耀蔵は、南町奉行の座を追われ、讃岐国にお預けの身である。奢侈禁止令で庶民に圧政を強いた鳥居に、般若同心・柚木源九郎は反撥。その鳥居が、かつての配下を束ね、謀略を仕掛けてきた。源九郎は、同僚の同心たちから「獅子身中の虫」を炙りだし、難局を乗り越えられるのか!?大人気シリーズ最終章。
宗次と同じ長屋に住む少女二人が、権力者に愛玩される珍犬、狆を近所の寺で拾った。その直後に、殺気漂う侍たちが寺に駆け込んで来たのを目撃した宗次は、悪い予感を覚える。そんな最中、大身旗本、筆頭大番頭の西条山城守貞頼一行が襲撃された。不気味極まりない全身白装束ー謎の“白忍び”の一団に!不穏に蠢く幕閣の権力争いを、武炎の剣で宗次が斬る!
夢伝心眼流最高師範皆伝の大剣客・式部蔵人光芳に、宗次と西条貞頼暗殺の下命が!大老・酒井忠清の勢力による、宮将軍招聘に反対する老中・堀田正俊一派への攻撃は苛烈さを増していた。穏密情報機関「白夜」の頭領・貫鬼四郎五郎高房は、正俊を狙い襲撃をかけるも、堀田家家臣の決死の一矢に討たれ絶命。悲壮な決意を秘める宗次と蔵人との最終決戦が迫るのだった。
北関東の山間にたつグループホーム「若葉荘」。そこには元天才少女小説家の世話人と、自在に歳を重ねた高齢者たち、車椅子暮しの元刑事らが暮らす。だが穏やかな日々は、その冬いちばんの雪の日、密室で発見された射殺死体の出現によって破られる。十七歳の住み込みスタッフ・綾乃は、一癖も二癖もある住人のなかで隠された因縁を解き明かし、真相に迫ることができるのか!?
伝えるべきプロポーズの言葉は、悲鳴にかき消された。フラッシュモブの最中、ひとりの女性が刺し殺されたのだ。直後、犯人と思しき男は自殺。しかし、その一年後に男の冤罪を主張したのは、傲岸不遜な警視正・安孫子弘だった。丹念かつ大胆な捜査の果てに、真犯人は存在するのか!?破天荒な名探偵が、五つの不可能犯罪に挑む連作ミステリー第二弾!
残業をすればするほど取られる税金が増える「時間外労働税」が導入された。残業時間は劇的に減って、社会のありようは変わりつつあった。だが、もっと働かせたい企業も残業したい労働者も多く、サービス残業という「脱税」は絶えないのだが…。根っから真面目な残業税調査官と熱血労働基準監督官が働く人たちのために奮闘する、リアルすぎるお仕事ミステリー!
お滝は、女衒にたぶらかされ、京の島原で遊女となった。童女だったころのお滝に憧れていたと、訪ねて来た男。その本性は!?(「かわたろ」)河童、雪女、ウブメ。画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした妖たちの、こころに響く物語九編。幽霊となった武家のご新造と出逢った植木職人の宗七。宗七がたぐり寄せた、切ない結末とは…。(第三回小説宝石新人賞受賞作「梅と鴬」を収録)
一人の資産家が絞殺されて一千万円が奪われた。彼は、その金で「荒城の月」の作曲家・滝廉太郎の幻の原曲楽譜を買うつもりだったらしい。偽物で釣られ、金を奪われて殺されたのか?十津川警部の元を訪れた男の娘は、自らの手で犯人を捜し出そうとしていた。さらに、引退した贋作者が刺殺されて…。十津川が美術界の深い闇に迫る長編ミステリー!
駆け込み寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」に、寺を出て普通の暮らしに戻ったはずのお妙が火付けの罪で捕縛されたという報せが入る。お妙を救えなかったことに傷付き悩む橘屋の女主人お登勢はー。(「雨の萩」)お登勢をはじめ橘屋の用心棒・塙十四郎や慶光寺の主、寺役人にまで未曾有の危機が次々に訪れる。手に汗握る出色の四編を収録した、著者の代表シリーズ第十弾。