2017年3月発売
失恋の痛手から救ってくれたのはおにぎりの美味しさだった。翠川真緑(通称グリーン・グリーン)はそのお米の味が忘れられず、産地の農林高校で新米教師として新生活をスタートさせた!農業未経験にもかかわらずー。豚が廊下を横切るなんて日常茶飯事だが、真緑にはその豚と会話ができる能力が!?熱心に農業を学ぶ生徒に圧倒されつつも、真緑は大自然の中で彼らとともに成長してゆく。
五歳のとき別荘で事件があった。胡蝶グループ役員の父親が階段から転落し意識不明。作家の母親は自室で縊死していた。夫婦喧嘩の末、母が父を階下に突き落とし自死した、それが警察の見解だった。現場に居合わせた僕は事件の記憶を失い、事業を継いだ叔父に引き取られた。十年後、怪しいライターが僕につきまとい、事件には別の真相があると仄めかす。著者長篇デビュー作、待望の復刊!
渋谷署強行犯係の刑事・辰巳は、整体院を営む竜門を訪ねた。琉球空手の使い手である竜門に、宮下公園で複数の若者が襲撃された事件について話を聞くためだ。被害者たちは一瞬で関節を外されており、相当な使い手の仕業だと睨んだのだ。初めは興味のなかった竜門だったが、師匠の大城が沖縄から突然上京してきて事情がかわる。恩師は事件に多大な関心を示したのだ。
中国には困窮や一人っ子政策により戸籍を持たない、この世には存在しないはずの子供“黒孩子”がいる。多くの子は成人になることなく命の火を消すが、一部、兵士として英才教育を施され日本に送り込まれた男たちがいた。組織の名はブラックチェイン。人身・臓器売買、密輸、暗殺と金のために犯罪をおかすシンジケートである。キャリア公安捜査官・小日向純也が巨悪組織壊滅へと乗り出す!
流行らない遠海神社の神さまは、自分の食い扶持を稼ぐため、人間の格好をして働いている。ある日、人間には入れない本殿に侵入し、見えないはずの神さまを見ることが出来る青年が、高額なお布施で、御利益を得たいと言ってきた。彼の正体とは?(「水中少女」)丑の刻参りで人気のある神社の神さまから頼まれたアルバイトは、呪いを解くこと?(「神さまと藁人形」)切なく優しい二篇を収録。書下しヒューマン・ファンタジー。
厚労省元官僚の車が、キャバクラ嬢を助手席に乗せたまま陸橋の橋脚に激突した。だが事故には不自然な点が多出。ドアはロックされておらず、アクセルにはコンクリートの擦り痕があった。さらに即死した二人は麻酔注射をされていた。事故死に見せかけて殺害されたに違いない。極秘捜査班の剣持直樹はメンバーと共に調査に乗り出すが、背後に潜む黒幕の影がちらつき始める。長篇サスペンス。
日本のFBIとなるべく立ち上げられた警察庁広域機動捜査隊ASV特務班。所轄署同士の連携を図りつつ事件の真相に迫る警察庁の特別組織である。隊を率いる現場のリーダーで、シングルマザーの夏目凜子は、女性が渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で死亡する場に居合わせた。当初は病死かと思われたが、捜査を進めると、女性には昼と夜とでは別の顔があることが判明し……。
新製品キャンペーンのため豪華な展望車とコンパートメントを連結した欧風サロンエクスプレスで京都に向かったワールド時計の社長令嬢・楠木かおりが忽然と姿を消した。だが、彼女には失踪や自殺の動機は見当たらない。そんな折り、列車内で招待客の女性の縊死体が発見されたのだ!?謎が謎を呼ぶ難事件に十津川警部の推理が冴える!西村京太郎鉄道ミステリー、初期の代表的長篇!
幕府開府から約100年を経た元禄時代。華やかな貨幣経済が、社会を変えようとしていた。武士や農民は疲弊し、大商人が勃興する。赤穂では、藩財政の再建のため塩業改革に乗り出すが、これが三州吉良の塩と競合し、「事件」の導火線となる。経済の視座によって「峠の時代」を描き出す歴史巨篇。
勅使饗応役・浅野内匠頭vs.指南役・吉良上野介。確執はついに、殿中での刃傷事件に及んだ。主家断絶の激震に、大石内蔵助は討入りを決断する。その本懐を遂げた時、仇討ちの46人を「義士」と讃え、不参加の者を「不義士」と糾弾する世論の非情。幕府、浪士、吉良家、そして世論が織りなす「堺屋版忠臣蔵」。
“歩く一人諜報組織”=“クルス機関”の異名をとる神奈川県警外事課の来栖惟臣は、日本に潜入している北朝鮮の工作員が大規模テロを企てているという情報を得る。一方そのころ、北の関係者と目される者たちが口封じに次々と暗殺されていた。暗殺者の名は、呉宗秀。日本社会に溶け込み、冷酷に殺戮を重ねる宗秀であったが、彼のもとに謎の女子高生が現れてから、歯車が狂い始めるー。
「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」-江戸時代、京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪は、母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなったという「悪縁」を知り、自らの行く末を案じる。謎めく修行者・帰燕は、秘術を用いて悪縁を祓えるというが…。縁見屋の歴史と四代にわたる呪縛、そして帰燕の正体。息を呑む真実がすべてを繋ぎ、やがて京全土を巻き込んでいく。
ある夜、八木沼真知の部屋を見知らぬ男が訪ねてきた。初対面にもかかわらず、彼はなぜか真知の昔からのあだ名や好物を知っていた。一方、周囲で不可解なことが起きているのに気付く美門玲二。どうやら眠っている間に、別人格が勝手に行動しているようなのだ。本来交わるはずのない二人の運命を結び付けるのは、半年前のとある転落事故ー。真知は恋人を失ったその事故について調べ始める。
北海道に帰省していた原麻希一家は、観光に寄った札幌の公園で、氷漬けとなった女性の遺体を発見する。女性は以前、東京に住んでいた際に、警視庁「女性犯罪」捜査班にストーカー相談に訪れていたことがわかった。捜査を開始した麻希は、警察官を志すきっかけとなった北海道警の瀧正義警部と再会するも、その姿は変わり果てていたー。天才捜査官・原麻希の切ない過去が初めて描かれる、人気シリーズ最新作!
古都には雪が舞い、年の暮れが近づいていた。厳しい冬でも、居酒屋「のぶ」は暖かな店内で美味い酒や料理を振る舞ってくれる。ハンスは衛兵を辞めて「のぶ」で料理人の修業を始めたのだが、父親は気に入らない様子。そんな折、帝国皇帝と東王国の王女摂政宮との間で“お見合い”の話が持ち上がった。しかし皇帝は見合い相手と結婚することに乗り気ではなかった。親子仲も恋も揺れる異世界グルメファンタジー、第3弾。
結城クロは、ある日の放課後の教室で、同級生だった長谷川紫音の幽霊と出会う。紫音を成仏させるため、彼女の心残りを聞き出そうとするクロ。しかし紫音はまるで取り合わず、生きていたころと同じようにクロを振り回していくが、やがて紫音の記憶と存在が薄れ始めて…。霊感体質の少年と、幽霊少女が繰り広げるせつない青春ラブストーリー。物語の最後に明かされる、相手を想うあまりについてきた「嘘」とはー。
行動心理学を用いて相手の嘘を見破る美人刑事“エンマ様”こと、楯岡絵麻。強盗殺人事件が起こり、事件翌日に署内で拳銃自殺した刑事・宮出が犯人とされたが、同期の綿貫は、真面目で気弱な宮出の犯行を信じられず、独自で探りはじめ…。女子大生の失踪、アイドルの他殺体、歪んだ愛が引き起こす様々な事件を絵麻が捜査するなか、やがて綿貫は宮出の痛切な思いに辿り着く。
明治六年(一八七三年)秋。江戸城堀端に近い桶町の、北辰一刀流千葉道場を訪れた一人の女によって道場主の娘「さな」の災厄は始まった。女はかつてこの道場に通った土佐藩士、坂本龍馬の妻「りょう」と名乗ったが、さなはその龍馬の許嫁だったからだ。決して出会ってはならない二人の女が出会い、やがて、維新の闇に隠された事件の謎と巨大な陰謀が浮かび上がってくる。反目し合いながらも共に真相を追う、二人の前に現われた意外な黒幕の正体とは!?
夜の公園で池に飛び込もうとする全裸の女。特命係の亀山薫が駆けつけたが、そこに女の姿はなかった。その代わり、池の中から頭蓋骨が見つかってしまう。幽霊の仕業?とても信じてもらえないと思いつつ、薫が冗談交じりに話してみると、杉下右京は並々ならぬ興味を示して…。