2017年3月発売
【文学/日本文学小説】杉下右京は休暇中のロンドンで、殺人事件の捜査に関与することになる。犯行時刻と思われる時間帯に、防犯カメラに映っていたのは奇術師だった。しかし彼は、そこから150・離れたバーミンガムでマジックショーを行っていた……。
【文学/日本文学小説】わずかな希望にすがりつき、治療を求める末期がん患者と、効果のない治療で患者を苦しめたくないと悩む若き外科医。現役の医師でもある著者が「悪い医者とは?」をテーマに真摯に取り組み、第3回日本医療小説大賞を受賞した感動の医療長編。
【文学/日本文学小説】昭和5年、帝都東京──。大衆文化は爛熟し、華族の醜聞が世間をにぎわせていた時代。宮内省「宗秩寮」幹部・御園尾男爵に飼われている藤巻虎弥太は、若き伯爵・石蕗春衝の素行調査を行うため屋敷に潜入するが、やがて「連続華族殺し」に巻き込まれていく。
中年女性の屈折した心理を描く「蟹」他6篇 外房海岸を舞台に、小学一年生の甥と蟹を探し求めて波打ち際で戯れる中年女性の屈折した心理を描き、第49回芥川賞を受賞した「蟹」。 ほかに、知人の子供や道端で遊ぶ子供に異常な関心を示す、子供のない女性の内面を掘り下げた「幼児狩り」。 夫婦交換による男女の愛の生態を捉えた「夜を往く」、「劇場」など、日常に潜む欺瞞を剥ぎ取り、その“歪んだ愛のカタチ”から、よりリアルな人間性の抽出を試みた、筆者初期の短篇6作を収録。
銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語 80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、 と一念発起。東京に残ることに決めた。 お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
謎解き×薀蓄が美味しい6皿のスープの物語 元料理人の僕は、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介される。それは、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。 屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識を持っていた。幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和に自分と似たなにかを感じ、二人は少しずつ心を通わせていく。 終戦後に食べた想い出のポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープ、せかい1おいしいスープ……。僕と千和は力を合わせて、無理難題のようなリクエストのなかに隠された”謎”を解いていく。 そしてついに僕は、ずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」の手がかりを見つけるがーー。 哀しみから再生し、明日を向いて歩む力をくれる6皿のスープの物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 著者は、現役のフレンチの料理人としても活躍中。文庫版特典として、作中に登場するスープのレシピを収録しています。装画は浅野いにお氏、解説は『大人ドロップ』『荒川アンダー ザ ブリッジ』監督の飯塚健氏。
「私の懐刀にしたい奴!」--近藤正臣さん 第一夜 冬の花 六平太と七年以上もなじんだ髪結いのおりきが音羽から姿を消して一年。かつておりきが可愛がっていた女郎の命日に、墓前には花が供えられていた。花を供えたのは、旅の男だったという。 第二話 隣人 浅草の海苔問屋「内丸屋」の主人高兵衛は、所有している阿部川町の長屋から店子を追い出そうとしていた。長屋の住人から報復を恐れた高兵衛は、六平太に身辺警護を依頼する。立ち退きを急ぐ高兵衛にとって、煙たい侍が長屋にはいた。 第三話 雪月夜 付添い屋とは名ばかり、なんでも屋として流される六平太の行く末を案じる人間は少なくない。行きつけの音羽の料理屋「吾作」では、料理人の菊次と、看板娘八重の仲がぎくしゃくしていた。六平太は、おりきが神奈川宿で旅籠の女中をしていることを知る。 第四話 おりき 伝助店の住人、下馬売りの太助の母親おていが失踪し、二日後箱崎の川岸で死骸が見つかった。おていは一年ほど前から他人の家に入り込んだり、店で物を盗んで居直ったりするようになり、その行状に太助は手を焼いていたという。一方で、六平太はおりきに会いに行く決心ができずにいた。 【編集担当からのおすすめ情報】 ドラマ時代劇のレジェンド 北大路欣也さん、高橋英樹さん、里見浩太朗さん、 松平健さん、村上弘明さん、中村梅雀さん、 西郷輝彦さん、古谷一行さん、草刈正雄さん こぞって絶賛!(コメント到着順) ドラマ「鬼平犯科帳」「剣客商売」の脚本も手がけた 書き下ろし時代小説界最後にして最強の新人!
大手銀行に勤める高梨あすかは結婚して「専業主婦」になることが夢。人気アナウンサーの名波竜は「絶対に結婚したくない男」。結婚に対する価値観が全く合わない男と女が出会い、知れば知るほど強烈に惹かれ合ってしまう。やがて、元恋人や新たな異性の登場で、二人の状況はより複雑さを増していくことにー。宮園いづみの人気コミックを原作に、最旬のラブストーリーとして話題のテレビドラマを小説化。様々な登場人物たちが、互いの「恋愛観」「結婚観」「人生観」をぶつけ合い、リアルな恋愛模様を繰り広げる。果たして、あすかと名波の恋の着地点はいかに!?
経営不振で取り壊し寸前のムーン劇場。支配人でコアラのバスター・ムーンは、劇場の再起をかけた歌のコンテストを開催することに決めた。オーディションの結果、最終候補者は6名にしぼられた。ギャングファミリーを抜けて歌手になりたいジョニー、傷心のパンク少女のアッシュ、毎日家事と育児におわれる専業主婦のロジータ、お金、権力、派手なものが大好きなマイク、ハイテンションなダンサーでシンガーのグンター、そして極度のあがり症のミーナ。笑いあり、涙あり、人生を変えるオーディションが、今、始まる!!
あなたを絶対手に入れる、どんなことをしてもー。許婚を待たなくてはならない女、恋人に過去を知られたくない女、小島と男を奪い合う女、愛人と夫との間で揺れ動く女、若くてきれいな男しか愛せない女…。略奪愛をテーマに、燃え上がりはじける愛のひと時を、5人の女性作家たちが紡いだ、におい立つようなめくるめく恋愛譚。
震災の被災者支援チャリティーのためにアダルト・ヴィデオの制作を企画した男たちのひどすぎる奮闘記。言葉を失う現実を前に、言葉を発する意味とはーカワカミヒロミ、ミヤザキハヤオ、イシムレミチコらを論じた「震災文学論」を挿入。東日本大震災及び福島第一原発事故直後に発表され、大きな議論を巻き起した問題作。
文化文政時代。ただひたすらに「己だけの女」を求めて、美人画に枕絵に絵筆をふるう浮世絵師・渓斎英泉。お津賀、おたま、おりよ、三人の妹の「生」をも搦めとった果てに見出したのはー。爛熟の江戸を舞台に、絵師の凄まじいまでの業と妹たちの情念が濃艶に花開く。
貧しいアプレ大学生桐原進は、友人の古川昌人と起業を計画するが、資金難から古川の持ちかけた宝石強盗に、正統性を見出し行動に移す。だがそこに思いもよらぬ殺人事件が…。伝説の雑誌『新青年』でデビューし、“変格の鬼才”の勇名を轟かせた大下の、倒叙モノの最高傑作の初文庫化。人情派弁護士探偵・俵岩男奮闘!
ペストが猖獗を極めた十四世紀フィレンツェ。恐怖が蔓延する市中から郊外に逃れた若い男女十人が、面白おかしい話で迫りくる死の影を追い払おうと、十日のあいだ代わるがわる語りあう百の物語。人生の諸相、男女の悲喜劇をあざやかに描いた物語文学の最高傑作が、典雅かつ軽やかな名訳で躍動する。不滅の大古典、全訳決定版。
将軍家より下賜された茜の茶碗が盗まれた。事が露見すればお家取り潰しは必至。不測の事態に焦った相馬中村藩主は、一番の剣の遣い手、小宮山一之臣に茶碗捜索を命じる。浪人になりすまし、凄腕の見張り役として盗賊の信頼を獲得する小宮山。任務を遂行すべく幾度も盗みに立ち合うが、目当てのものは見つからない。捜索開始から二年。さらなる難題が小宮山に突きつけられるー。権力の横暴に打ち勝つことはできるのか!?痛快無比な大逆転劇。
これまで高校国語教科書に掲載されたことのある、プロレタリア文学のアンソロジー。教科書に準じた注と図版を付した。理解を深めるプロレタリア文学についての対談も収録。
賭博師稼業から足を洗い、農夫として質実な生活を送っていたビル・パームリーが、ギャンブル好きでお調子者の友人トニーに担ぎ出され、凄腕いかさま師たちと対決。知識と経験をいかして、ポーカー勝負のあの手この手のいかさまトリックや、思い通りの目が出るルーレット盤の秘密をあばいていくユーモア・ミステリ連作集。新訳「堕天使の冒険」を追加収録した完全版。
時は明治2年。日本人を見下すお雇い外国人リチャード・ブラントン、出自ゆえに孤独に生きる通訳の丈太郎、天才発明家“からくり儀右衛門”こと田中久重の3人は長崎伊王島で条約に定められた近代灯台の建設に取りかかる。言葉と文化の壁、牙を剥く日本の地震、予期せぬトラブル…。立ちはだかる困難を前に、男たちは貧しい漁村に光を灯すことができるのか?
亡くなった両親のスープ店を継いだばかりのラッキーは、夏のメニューに冷製スープやサラダを豊富に加えることに。おかげでお店の経営もどうにか軌道にのった。ところが母親代わりに慕っていた村長のエリザベスが忽然と姿を消してしまい、心穏やかではいられない。そもそもスキーリゾートであるこの村の夏は、いつもなら観光客が減ってとても静かで平和。なのに今年は事件が続きすぎている。村のど真ん中にできるという洗車場建設に対する激しい反対運動、当の建設現場から発見された古い人骨、そして反対住民の奇妙な死ー。エリザベスの失踪はこれらの事件に何か関係があるのだろうか?家に愛猫を残していなくなるなんて、彼女らしくない。村人たちと協力して消息を追うラッキーは、やがて意外な真相にたどりつく!