2017年4月14日発売
帝談社の書籍編集者・川北未南子は苦悩していた。突如現れた美しい青年・曾根崎雅人から預かった原稿は巧みな文章で綴られ、彼女を魅了した。しかし、そこに書かれていたのは22年前に実際に起こった連続絞殺事件、その犯人による告白だったのだ。はたして、この本は出版されるべきなのか。だがーわたしはもう悪魔の虜になっていた…。
かつて政争に敗れ黒島藩を去った元勘定奉行・柏木〓負(ゆきえ)が、千利休の流れを汲む茶人として国に帰ってきた。孤狼の心を胸に秘めた彼は、山裾の小さな庵に隠遁し藩士たちを招く。派閥抗争の最中に喪った妻の死の真実を知るために。茶室は刀を使わぬ静かな闘争の場となった。読者の心を虜にする直木賞作家の真骨頂。
東京近郊に広大な敷地をもつ百目鬼家は大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。その息子夫妻が屋敷内で刺殺され、遺品の製理と鑑定を請け負ったSYアート&リサーチの小川と真鍋、アルバイトの永田は新たな殺人に遭遇する。古い河童の絵と謎めいた文の意味するものは。Xシリーズ、待望の第四弾!
有名劇団のかつてのスター“つかさ様”のファンクラブ「ファミリア」を束ねる美知代。ところがある時、ファミリアの均衡を乱す者が現れる。つかさ様似の華やかな彼女は昔の同級生。なぜ。過去が呼び出され、思いがけない現実が押し寄せる。息詰まる今を乗り越える切り札はどこに。屈折と希望を描いた連作集。
アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。さらには意図不明の密室が連続し…。果たして犯人は?そしてこの作品のタイトルとは?第50回メフィスト賞受賞作。
隆盛を極めたタイタニア一族に深刻な亀裂が。次期藩王を狙うイドリスは藩王暗殺未遂事件を機にアリアバート、ジュスランに叛逆罪を宣告。さらには二人を討つべく、一族の怨敵ファン・ヒューリックを自軍へ迎えいれる策に出た。謀略の渦巻く中、ついに戦端が開かれる。本格銀河叙事詩の名作、待望の第4巻。
鎌倉にひっそりと佇む喫茶店「一服堂」の美人店主・ヨリ子は極度の人見知り。だが未解決事件の話を聞けば、態度豹変、客へ推理が甘いと毒舌のつるべ打ち。そして並外れた思考力で、密室の「十字架」磔死体など四つの殺人の謎に迫る。愛すべきキャラ、笑い、衝撃トリック満載の傑作短編集。
報酬一千万の全身整形。人生をやり直すため、僕は若き天才美容外科医M博士のいる瀬戸内海の孤島を訪れる。待ち受けていたのは人智を超えた美女たちとの共同生活だったが、術後に博士の首なし死体が見つかり事態は一変する。綿密な思惑に満ちた緊迫のホワイダニット・ミステリー。
最愛の兄を突然失い悲嘆に暮れる弟の携帯に届く、兄からのあり得ない着信。霊が視えないのに心霊相談を持ち込む母親の苦悩。人知れず霊に悩む者を心霊現象研究会は秘めやかに救い続ける。霊を信じない同級生の冷たい視線も気に留めぬ、霊感高校生達の一途な行動が感動を呼ぶ青春ホラー。
洋館で行われたトランプゲームの最高峰、コントラクト・ブリッジの最中、女性が鍵のかかった部屋から消失。別の場所で屍体で見つかった。天才少年囲碁棋士・牧場智久らは、彼女が誰かに送った暗号を発見、解読にかかるが…。ゲーム三部作完結編は密室&暗号ミステリ!書下ろし短編「麻雀殺人事件」収録。
一九〇〇年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強十一ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。
父亡き後、試衛館の内弟子となった宗次郎。並外れた剣の才で頭角を現す中、美少年殺しが横行、魔の手は親友の藤吉にも及ぶ。道場でどんなに強くても、友の仇一つとれない。抱えた葛藤は、宗次郎の胸に暗い影を落とす。どこにでもいる一人の普通の少年は、いかにして“沖田総司”となったのか。
新撰組隊士として勤皇志士と斬り結ぶ沖田総司。厳格な法度の下、組の行く末のため、容赦なき刃は次第に仲間にも向かい始める。咳が長引く折、稽古中に倒れた総司は己の身体の異変を知る。死が迫ろうとも生き方を変えるわけにはいかない。まっすぐに駆け抜けた人生、青年は何を見つけたか。
残業後の夜遅くに乗るバスには、なぜかいつも同じ男が(「チキンレース」)、憧れの先輩との初ドライブでわかった彼女の真の姿とは(「かもしれない運転」=採点は各九・五点)。奇想天外な発想やドンデン返しから心温まる物語まで、短編の名手が厳選した60編。選評には創作に役立つヒントが満載!
女子高の寄宿舎に暮らす少女タイラ。鬱陶しい同級生たちから逃れられる唯一の場所「書斎」にこもる彼女に、ある夜、“壁の鹿”から声が聞こえる。結婚詐欺師、恋に悩む女、剥製職人…彼らの「孤独」に交感する声とは。絶望と希望を鮮やかに描く、黒木渚の魂の叫び。衝撃の処女小説刊行。
謎の生命体「幸福」が天界から逃げ出した。てつし・リョーチン・椎名の三人は、術師に導かれ、解決に乗り出す。しかし彼らは「幸福」の幻術にかかり、すべてが満たされた気分になる。その先にあるのは、進歩をなくした人類の滅亡だ。妖かしどもと渡り合い、悩み成長してきた少年たちの物語。ついにシリーズ完結。
編集者・川北未南子の前に突如現れた美青年・曾根崎雅人。彼から預かった原稿は、時効となった連続殺人事件の犯行を告白したものだった。その残忍な犯行記録『私が殺人犯です』はたちまちベストセラーとなり、曾根崎は熱狂を煽るかのように世間を挑発し続ける。社会の禁忌に挑む小説版『22年目の告白』。
地震が続く江戸。南町奉行所も対応に追われる中、刀剣鑑定の名家に嫁いだ高木良右衛門の娘が「離縁」を言いだした。困惑する高木は新八郎にその話を漏らす。時を同じくし鑑定家に持ち込まれた名刀をめぐり大事件が起こる。表題作「又右衛門の女房」ほか、次々に起こる怪事件に新八郎が対峙する。シリーズ第三弾。
物書きになろうと三十歳を目前に江戸に出た十返舎一九は、『東海道中膝栗毛』で人気戯作者となり、原稿料だけで生活する本邦初の作家となる。その旅路で蔦重に励まされ、写楽に嫉妬し、京伝を羨んだ。人は何を面白がり何を笑うのか。飄飄とした語り口の中に革命児の慧眼と心意気を見る、稀代の流行作家の人生絵巻。