2017年4月14日発売
日本は世界の先陣を切って漢人キリスト教徒の救出を試みたが、清朝の西太后は宣戦布告を決断し、公使館区域からの24時間以内退去を通告する。沿岸部からの援軍も到着せず、二十万人の義和団と清国軍の前に四千人の外国人とキリスト教徒の命は風前の灯火となる。誇り高き日本人必読の歴史エンタテインメント。
女性カメラマン夏川えりは、故郷である飛騨高山へ向かった。高山から足をのばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。太平洋戦争末期、従軍看護婦として満州に渡っていた、えりの祖母夏川勝子が一時帰国し、R村で行方知らずになっていた。今、改めてこの村のことを調べてみようと思って訪れたのだ。ところが、えりもR村で姿を消してしまった…。一転、東京三鷹で独居老人浅野真治が殺された。現場へ駆けつけた十津川は、驚くべき証言を得た。溯ること七十数年前、浅野の父親である浅野真太郎が唱え、敗色濃い日本軍がとったとされる「永久戦争」のことを知ることとなる。歴史の闇に葬り去られようとしていた悪魔の戦術が、現実によみがえろうとしていたのだ。そして、その要の地が、夏川勝子やその孫の夏川えりがたどったR村だったのだ。十津川警部は、二つの事件の背後にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。
『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。『沼尻新田』新田開発を持ちかけられ当惑する三十二歳当主。実地検分に訪れた現地のクロマツ林で、美しい女に出会う。『遠縁の女』寛政の世、浮世離れした剣の修行に出た武家。五年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、女の仕掛ける謎ー。直木賞受賞作「つまをめとらば」に続く清冽な世界。傑作武家小説集。
慈善事業を行う財団の代表を務めるアレグラは、余命わずかな最愛の祖父から、ある願いを託される。かつて手放した秘宝の箱を、砂漠の国ダル・アマンの国王から取り戻してほしいというのだ。アレグラは財団の調査という名目でなんとか国王ラヒムとの面会まで漕ぎつけるが、会うなり彼の男性的な魅力と圧倒的なオーラの虜になってしまう。このままではだめ。でもラヒムにどう切りだせばいいの?深夜、アレグラは偶然にも宮殿内で箱を見つけて歓喜するが、ふと人影に気づいて震えた。燃える目をしたラヒムが立っていた!
「助けて!雇い主に私たちの赤ちゃんを奪われそうなの!」大聖堂に駆け込んだスカレーレットは2000人の列席者の背後から叫んだ。祭壇に立つ花婿はイタリア出身の辣腕経営者ヴィン・ボルジアー8カ月前、バーで出会った彼の魅力に抗う術もなく純潔を捧げた翌朝、彼の身分を知ったスカーレットは名前も告げずに姿を消したのだった。突然の珍客に驚きながらもヴィンは彼女を追ってきた雇い主を追い払い、政略結婚を取りやめて、スカーレットに父親鑑定と婚前契約を要求した。屈辱的でがんじがらめの条件のもとに、愛なき結婚をするなんて…。傲慢でセクシーな黒い瞳に見据えられ、彼女の心は千々に乱れた。
リーザが亡き父から受け継いだ会社は破産の危機に瀕していた。立て直そうと奔走する彼女のもとに、ある日支援の申し出が届く。ティノ・ザゴラキスー世界的に有名なギリシア人大富豪だった。ところが彼の真の狙いは支援ではなく、会社の乗っ取りだとわかり、リーザは愕然とした。このままではすべてを彼に奪われてしまう。彼女は直談判するため、ティノが住むエーゲ海の島に向かうが、待ち構えていた彼はリーザに5日間の滞在を許すと、その間にあらゆる手を使って僕を説得してみればいいと挑発する。まるでリーザがその挑戦を拒めないと確信しているかのように。
噂の実業家ドミニクの豪邸の前で、アンドレアは不安に身を震わせた。彼は世間から“守銭奴の億万長者”とのあらぬ汚名を着せられ、自宅で盛大なチャリティパーティを開いて悪評を払拭したいという。アンドレアは目の前に立つ並外れたオーラを放つ男性に圧倒された。彼はすでに3人ものパーティプランナーをくびにしたかなりの難物だ。それでもドミニクのために一生懸命プランを考え提案した結果、無事に採用が決まり、アンドレアは胸をなでおろした。だが、やがて彼に惹かれ始めた彼女に難題が降りかかる。重要な契約を控え、社会的信用のため“婚約中”とうそぶいた彼が、アンドレアに偽りの婚約者を演じるよう命じたのだ!
年金暮らしの祖父と二人きりで生きるユステイシャは、雑用係として働く病院で、有名外科医のコーリンと出会う。独身貴族の彼は、弟夫婦がしばらく外国へ行っている間、預かっている幼い甥たちをもてあまして、ユステイシャを住み込みの世話係として雇うことに。ところが、弟夫婦が不慮の事故で他界し、状況が一変する。遺言により後見人となったコーリンから子供たちを奪おうと、母方の祖父母がやってきて、不在がちな彼を責めだしたのだ。すると、コーリンの口から思いもよらない言葉が飛びだした。「ご安心くださいーぼくとユステイシャは、まもなく結婚します」
夫と離婚後、実の父にまで裏切られ、踏みつけにされたベスは傷心をいやすため、一人イタリアを訪れた。最初の訪問地ヴェローナでオペラを見ていたとき、幕間に後ろの席の男性に声をかけられた。黒髪にラテン系の顔立ち。マーカス・クレイヴンと名乗るゴージャスな億万長者の彼の誘いを、その日はうまくかわしたが、次の日、“ロミオとジュリエット”の舞台、キャピュレット家で再会。さらに翌日の夜、ヴェネチアのホテルのレストランに彼が現れ、ベスは彼に惹かれながらも、度重なる偶然の出会いに不安を覚えた。そして部屋まで送ってきたマーカスに、強引にキスをされ…。
看護師のエリザベスは、年配の入院患者のプロポーズを受け、彼の所有するカリブ海に浮かぶ島へと赴いた。彼の健康が回復次第、結婚することになっている。ところが、憧れの南の島での生活を夢見て、期待に胸躍らせていたエリザベスは、婚約者の高圧的な態度や異常なほどの嫉妬深さにショックを受け、結婚にためらいを感じ始める。そんなとき、危険な男だと思い警戒していた有力者、深緑色の瞳をもつラウールと何度も顔を合わせるようになり、彼の男性的な魅力に惹かれていき…。
エリカは決意を胸に、生まれ育った北欧の国を離れ、アメリカに渡った。ある大富豪の男性にーおなかの子の父親で海運会社の御曹司、ジェルヴェに会うために。3カ月前、エリカは逞しくハンサムな彼の圧倒的な魅力に抵抗できず、情熱の赴くままに体を重ねた。その結果、身ごもったことを彼に打ち明け、将来について話し合わなければならない。だがエリカが恐れたとおり、妊娠を知ったジェルヴェは即座に言った。「ぼくと結婚してくれ」ああ、イエスと答えられればどんなにいいか。でも無理だわ。だって、彼はわたしを愛してはいなから…。
世界的大富豪の令嬢、キャシー・カルデロンは、レイフを一目見たとたん恋におち、純潔を捧げた。だが夢のような日々は、またたく間に終わりを告げた。残酷すぎるレイフの裏切り。それが父の計画とは、キャシーは知る由もなかった…。6年後、キャシーがフランス人貴族と結婚間近と知って、レイフは矢も楯もたまらずメキシコを訪ねたー今も忘れられない最愛の女性と、まだ見ぬ我が子に会うために。
妹夫婦が事故で亡くなったと聞き、フローラはオランダに向かった。遺された9カ月になる幼い姪は、今やただ一人の肉親だった。当然引き取り、大切に育てていこうと心に決めていた彼女は、思いがけない人物に養育権を主張されて面食らう。世界的な鉄鋼王アンヘロ・ファン・ザールー妹の夫の実兄は、嫌悪の表情もありありと浮かべて、フローラに言い放った。「君のような女に姪を任せるわけにはいかない」フローラの抗議の声はすぐさまキスでふさがれ、彼女は情熱の炎に炙られるまま、アンヘロにバージンを捧げてしまう。数週間後、フローラは自身の愚かさを呪った。妊娠していたのだ!
イタリア人実業家リカルドの秘書アンジーは転職を考えていた。何年も彼の手足となって働き、ときには恋の後始末さえしてきた。-日ごとにつのるリカルドへの想いはひた隠して。彼にとって私はただの地味な秘書。このままでは惨めすぎるわ。ところがオフィスのパーティが催される日、突然リカルドから美しい赤いドレスをプレゼントされて、アンジーは驚く。ドレスに着替えたアンジーはまるで別人のように魅力的に変身し、リカルドのエスコートで夢のような一夜を過ごした。そして翌朝、夢は儚く消えた。彼に冷たくあしらわれたばかりか、トスカーナ出張へ秘書兼愛人として同行するよう命じられたのだ!
ダルシーは仕事のため、ロンドンからヴェネツィアへ飛んだ。ゴンドラの船頭をしているフェデリコという男について、調べてほしいと依頼されたのだ。ダルシーはさっそく旅行客を装い、彼のゴンドラに乗り込んだ。予想に反して、フェデリコはとても魅力的な男性だった。太陽のように輝く笑顔と高貴な佇まいに、ダルシーはすぐさま心を奪われてしまった。なんてすてきな人なのかしら…。ダルシーは知る由もなかった。このハンサムな船頭の正体を。彼はある理由で友人のフェデリコに成りすましている、イタリア名門伯爵家の後継ぎ、グイード・カルヴァーニだった。