2017年6月25日発売
従来、中国文学史において「近代(モダン)」の起点は魯迅を代表とする、伝統批判と文学革命を旗印に西洋写実主義を旨とした「五四」新文学に置かれてきた。一方、清末小説(本書では19世紀半ばから1911年までの世紀末文学を指す)は、創作だけでも七千種以上が出版されながらも、梁啓超らの提唱した「新小説」を除いて文学史においてはほとんど顧みられることのない、「排除/抑圧」されたジャンルであった。本書ではこの時期の小説を、西洋との出会いのなかで伝統/モダニティが互いに拮抗し、複雑かつ豊かな「多層性のモダニティ」を見せた特異なジャンルとして評価する。具体的には、花柳小説、俠義公案小説(武侠・裁判もの)、暴露小説(社会風刺もの)、科学幻想小説(サイエンス・ファンタジー)および二〇世紀末の中国語小説を再読し、バフチン、フーコー、ギアーツらの諸理論を用いてその「抑圧されたモダニティ」を論じることで、中国のポストモダニティについて再考を行うものである。著者は現代文学理論を用いながら独自の視点で中国語圏文学を読み解く、今日を代表する研究者の一人であり、その代表作という意味でも本書は重要な著作であると言える。また、上述のように清末小説についての研究は国内外でも少なく、本書は日本においてほとんど専著のない分野の研究書であるため、中国文学研究または東アジアのモダニズム研究の分野において必読書であると思われる。 日本語版序 (王徳威) 凡例 序 第一章 抑圧されたモダニティ 一、啓蒙と頽廃 二、革命と内に向かう発展 三、合理性と情感の過剰 四、ミメーシスとミミクリ 第二章 悪を誨えるーー花柳小説 一、仮装された異性愛/同性愛 二、愛と欲の氾濫 三、欲望の都市 四、妓女から救国のヒロインへ 第三章 空虚な正義ーー俠義公案小説 一、『水滸伝』を書き直す 二、空虚な正義 三、女俠の服従 四、罪、それとも罰? 第四章 卑屈なカーニヴァルーーグロテスクな暴露小説 一、亡霊の価値論 二、荒唐無稽なる世界 三、モダニティの市場 四、中国版グロテスク・リアリズム 第五章 混乱した地平線ーーサイエンス・ファンタジー 一、奔雷車、参仙、乾元鏡 二、補天 三、大気圏内/外の冒険 四、バック・トゥー・ザ・フューチャー 第六章 回帰ーー同時代の中国小説および清末の先例 一、新花柳小説 二、窮地のヒロイズム 三、「大嘘つき」たちのパレード 四、『新中国未来記』はどこに? 訳者解説 一、清末小説ーー中国モダニティの起点 二、「抑圧」と「継承」の中国文学史 三、本書の訳語および著者との調整などについて 参考文献 索引(人名・人物索引、書名・篇名索引、事項索引)
10年ぶりに家から出た北条雄二は、家の敷地を守る謎バリアを強化するために王都へと旅立った。仲間とともに道中で襲撃してきた盗賊団を討伐し、順調に旅を続けるユージ。そしてたどり着いた王都で、謎バリア強化の鍵を握る貴族と会うことになるのだがー貴族はなんとアリスの生き別れの祖父だった。アリスの祖父の協力を得たユージたちは屋敷に招待され、慣れない貴族の暮らしぶりに戸惑いながらも謎バリア強化の実験を開始する。ところが誰も予想していなかった実験の結果に困惑することに…。どうやら謎バリアの秘密を解き明かすことが、異世界から日本へ還る手がかりになるようで!?@ホームコメディ、第五幕!
アミドニア公国との戦争を終えた暫定国王ソーマの下に予期せぬ一報が届く。それは敵対国であった公国全土からの併合要請。内乱が起こり、さらに他国の侵攻を受けた公国は、対抗するためにエルフリーデン王国の力を必要としていた。併合を認めたソーマは、公国を守り抜いた立役者を表彰すべくヴァン城に召還するが、山積みにされた献上品のなかに公国の妹姫ロロアが潜んでいてー!?「ソーマはん…うちのこと、欲しいん?それとも欲しくないん?」ロロアから突然の求婚を受けたソーマは、いかなる裁断を下すのか…!?ますます人気加速中の革新的な異世界内政ファンタジー、第4巻!
“働かない生活”のためのダンジョン経営を始めてそろそろ1年。春だなぁ…なんて思っていたら、三つ巴のダンジョンバトルをすることになった!?ダンジョンコアの集会で何があったんだよ…。え、しかも保護者のコアとチームで?ロクコの保護者ってつまりハクさんじゃん!最近のロクコとのフラグ的に、できればお断りしたくー。「というわけだから、よろしくね?ケーマさん」「アッハイ」これはダンジョンバトルの前に俺の命がヤバいのでは…!?“働かない”ための、そして睡眠はしても永眠はしないための俺流ダンジョンストーリー第5巻!
勇者アキラー人々のため聖剣を振るい戦った彼は、突如として女神の加護を無くし周囲の失望の中で命を落とした。そして時は流れー『堕ちた英雄』と呼ばれたアキラの記憶が、貴族の少年レイの中で蘇る。自分が何故転生したのかはわからない。しかしレイは、今度こそ聖剣のような借り物ではない自分自身の力を磨き上げ、本物の強さを手に入れて英雄となることを誓うのだった。新たな人生で得た家族や親友と共に、鍛練と実戦を重ねていくレイ。そんな彼に、前世からの因縁が立ちはだかり…!?これは力を失った勇者が真の最強へと成り上がり、全てを守り抜く英雄譚ー。