2017年6月発売
三十七歳の女優・野滝繭美は人生を悲観していた。忙しくはしているが、女優としてのピークはとうに過ぎた。そんなときに出会ったのが、デイトレーダーとして時代の寵児ともてはやされていた桜田眷作だった。当然のように恋に落ちた二人は、金も名声も失っても、ただふたりで幸福に生きていける道をみつける。話題作『船に乗れ! 』の著者による、真心の物語。
1908年3月。ワシントン海軍工廠で大砲開発の伝説的技術者ラングナーが爆死した。現場には遺書が残されており、当局は自殺と断定。デスクからは賄賂と思われる札束も発見された。ラングナーの美貌の娘ドロシーはこれに納得できず“ヴァン・ドーン探偵社”に調査を依頼、エース探偵ベルが動き出す。ワシントン、ニューヨーク、カムデン、フィラデルフィア…東海岸を縦横に駆けめぐり捜査を進めるベルの前に、やがて弩級戦艦開発をめぐる謀略が姿を現す。そしてベルの身に危険が迫る!
ラングナーとそれに続く人間の死の背後にちらつく謀略の影。そしてベルを狙うギャング。いったい弩級戦艦開発競争の裏側で何が企てられているのか?日本、イギリス、フランス、ドイツの曲者たちときわどく渡り合いながら、ベルはその影を追ってサンフランシスコへ。一連の事件の糸を引く“スパイ”の正体へ肉薄する。時代の不穏と闊達、テクノロジーの夢と憂鬱、さまざまな思惑が輻輳し、やがてたどり着く消失点ーそこに待ち受けるものは?エンタテインメントの匠が放つ鮮やかな一撃!
愛のことばがきこえる。 あなたのくれた静寂のなかでーー 全米で読者を熱狂させた驚異の新人登場! ブリー・プレスコットは、父親と自分を襲 った恐ろしい事件のせいで心に深く傷を負 い、逃げるように故郷を離れてメイン州に ある湖畔の町ペリオンへとやってきた。新 しい環境で人生をたてなおそうとするブリ ーを、周囲の人びとは温かく支える。そん ななかブリーは町で偶然、アーチャーとい う若者に出逢う。彼もまた、過去の事件で ひどい傷を負い、苦しみを抱えて孤独に生 きてきた人間だった。二人は友情をはぐく み、やがて惹かれあうがーー甘美なラブシ ーンに彩られた純愛ロマンスの傑作登場!
社長のセサル・モンテロが交通事故に遭ったというのに、ソーチャは入院中の彼と面会すら許されずにいた。セサルの個人秘書として働きだしてからずっと、魅力的な彼に対する想いを心の奥に隠してきた。だが3週間前、その想いがとうとう実を結んだのだ。ところが不運にもセサルは事故直前の記憶を失い、その隙に彼の親は、ある女性と息子との婚約話を進めていた。セサルの愛は一夜の幻だったの?絶望したソーチャは姿を消したーおなかに彼の子を宿して。
愛だけはくれないプレイボーイの誘惑。 溺れるのはどうかしている。でも……。 カウンセラーのアリスは、ロンドンにある保護施設で、 暴力をふるわれた女性たちのために働いていた。 ある日、資金も人手も圧倒的に足りないその施設に、 途方もなく美しい大富豪が支援を申し出てきた。 ジェレミーはロンドン一のプレイボーイと噂される男性だ。 彼の目的が自分だと、アリスは最初から気づいていた。 それでも、アリスはジェレミーに身を差し出すしかなかった。 苦しむ女性たちを一人でも救うためには、お金が必要なのだ。 バージンだと知られて、彼に幻滅されるとしても。 35歳までに大富豪になると誓った〈独身富豪クラブ〉のメンバーたち。クラブ最後の大物独身プレイボーイ、ジェレミーが満を持して登場です! 狙った女性は必ず落としてきた彼の次の標的は、過去のつらい経験から男性恐怖症になったアリスでした……。
「あなたはいったい何者なの?」 「君の夫ーーそして主人だ」 “君は僕のもの。僕の島へ来て妻となる。髪に花、首には宝石” ギリシア富豪レオンの言葉が、いま現実になろうとしている。 9日前、看護師のタラは患者のレオンにいきなり唇を奪われた。 ふたたび唇を奪われた夜、タラは我知らず結婚を承諾していた。 しかしほどなく、巧みな口づけと愛撫の呪縛が解けると、 タラは恥ずかしさで死にたくなった。彼女には婚約者がいた。 レオンを避け続け、予定どおり結婚の日を迎えたタラだったが、 何者かに拉致され、抵抗も空しくギリシア行きの船に乗せられた。 いまだ花嫁姿のまま、レオンへの憎悪を胸にたぎらせながら。 結婚式の直前にさらわれ、囚われ、ウエディングドレスを海に捨てられて……。無力なヒロインとザ・暴君ヒーローが織りなす怒濤の愛憎劇。1980年に書かれた幻の名作、満を持しての初邦訳です!
サラは生後半年の息子を母に預け、大病院の救急科に復職したが、初日、そこにはなんと1年半前に別れた恋人ジェイミーがいた。彼女が結婚を夢見るようになったとたんに異国へ逃げた彼は、その9カ月後に我が子が生まれたことをまだ知らない。ジェイミーは最初から結婚も子供も望まないと宣言していたから、捨てられて傷心していたサラは、独りで産み育てる決意をしたのだ。彼の優秀な仕事ぶりに再びうずく恋心を必死に戒める彼女だったが、そんなとき運悪く、サラの母が孫息子を連れて二人の前に現れた。赤ん坊の月齢、瞳の色…にわかに自分の子と悟ったジェイミーは、サラの母に冷たく言った。「少しサラと二人にしてもらえませんか?」
臆病な私を追いつめるように、 蔑みの目で責めさいなむ彼……。 デーアは双子の妹の聡明さを心ひそかに羨み生きてきた。 最近、想いを寄せていた男性にあえなく袖にされ傷ついたうえ、 皮肉にも彼が見初めた相手が妹だったことがわかり、 自信を失った彼女は恋に臆病になってしまった。 やがてデーアは妹の結婚式に参列することになるが、 そこには、彼女に冷たい視線を送る一人の男性がいたーー 花婿の親友で大手海運会社の御曹司、グイド・ロッサーノ。 “ライオンハート”の異名をとる精悍で男らしい彼は、 世界の女性たちから引く手あまたの大富豪だ。 以前に一度会っただけなのに、なぜ彼は私を冷淡な瞳で見るの? 両親や妹のように幸せになりたいーーそんな切なる思いを胸に抱くデーア。グイドが見せた、いわくありげな視線が脳裏に焼きついて離れませんでしたが、1年後、再会の時は突然にやってきて……。大好評をいただいた2部作〈モンタナーリ家の結婚〉の関連作です!
華麗な舞踏会でただひとり 踊れず座る、壁の花……。 おてんば娘のジェシカは少女の頃からジャックを兄のように慕っていた。 夏の嵐のなか不運にも落馬して左足に大怪我をした彼女は、 将来の希望を失ったーー足の悪い娘なんて誰からも望まれない、と。 舞踏会でろくに踊れず壁の花となっていたジェシカに声をかけたのは、 両親を早くに亡くし若くして公爵となったジャックだった。 跡継ぎを望む祖母に結婚をするよううるさく言われ、 とうとう開くことになったハウスパーティへ彼女を招待したいという。 一瞬ジェシカの胸はときめいたが、すぐに自分は場違いだと考え直して 泣く泣く辞退すると、ジャックは見下したように尊大に言い放った。 「そばにいてほしい。君と正反対の女性を公爵夫人にしたくなるように」 英国摂政期をこよなく愛する英国人ロマンス小説家、エリザベス・ビーコンの日本デビュー作をお贈りします。長年想いを寄せてきたジャックから投げつけられた辛辣な言葉に、ジェシカはショックを隠せず手を震わせ……。傲慢な公爵の“花嫁探し”の展開やいかに?
忘れることのできなかった誓い。 守られることのなかった誓い……。 メアリーは牧師の娘、ニックはかのヴェイル公爵の子息。 彼女は身の程知らずの恋とは知りながら、ほんの一瞬でも彼に愛され、 たとえ正式でなくとも結婚の書類に署名してもらえただけで幸せだった。 だが、戦地へと発った彼が残したのは、その思い出だけではなかったーー ただ1度の契りで子を授かったことがわかり、メアリーは愕然とした。 やがて生まれた息子は、彼女も家庭教師として雇うことを条件に、 子宝に恵まれない夫婦のもとへ養子に出され、7年が過ぎた。 ある日、妻に先立たれた雇い主から強引に体を求められ、 抗ったが運の尽き、彼女はいわれなき罪で裁きにかけられてしまう。 絶望と共に法廷に立ったメアリーは、ニックの姿を目にして声を失った。 今や公爵となった彼は古い書類を手に彼女をこう呼んだ。「公爵夫人」 大御所G・ウィルソンによる英国摂政期ロマンスをお届けします。ひそやかな誓いののち離れ離れになったふたり。その後、帰還したのに長年、連絡さえよこさなかったニックが突然現れ……。衝撃の再会後に互いの切ない思いが交錯する、涙なくして読めない名作!
白百合の化身のような彼女は戸惑った。 愛のない結婚なのに、体が燃えるから。 リリーは勤務先のパーティーでデイモンと出会って恋に落ちた。 だが大富豪の彼は企業買収の仕事を最優先する人間だと思い知り、 自分のほうから身を引いたのだった。 3カ月後、セレブの誕生日パーティーでリリーはデイモンと再会し、 洗練されたタキシード姿の彼から驚くべき提案を聞かされる。 なんと結婚してほしいというのだ! 余命1年と宣告された叔父の財産を相続するためには、 一刻も早く結婚して子供をもうけなければならないという。 リリーは承諾したーーただし、ベッドは共にしない条件で。 「ええ、いいわ。わたしはもうあなたの子供を身ごもっているから 大富豪のデイモンに突然求婚されて3日後、白いドレスを着て式を挙げたリリー。ホテルの豪華なハネムーン・スイートで結婚初夜を迎えたとき、ベッドをともにしないという約束がありながら熱い想いに苛まれ……。レイチェル・ベイリーの自信作をお見逃しなく!
エバはため息をついた。亡き両親から譲り受けたホテルは破産寸前。加えて、妊娠していることがわかったのだ。もちろんうれしいけれど、ただでさえ生活が苦しいのに、ひとりでちゃんと育てられるかしら?悩むエバの前に、かつて情熱の一夜をともにした男性が現れる。魅惑的な声と黒い瞳を持つ大富豪キャル。彼は冷たくエバに言った。「結婚しよう。きみは金、ぼくは花嫁を手に入れる」どうしても妻が必要な事情のあるキャルは、さらにエバの足下を見るような交換条件を提示してきた。ホテルへの高額の融資だ。ああ、彼に愛されないことを承知で結婚しなければならないなんて…。
児童養護施設で育ったグレイスは、18歳でイギリスからイタリアへ渡り、名家の御曹司ドナート・ヴィトーリアに見そめられ、19の時に結婚した。財力、名声、容貌、知力、すべてに最高のものを備えたドナートが、どうしてわたしのような何もないおずおずした少女を妻に?それでも彼は熱愛してくれた。夢のような1年が過ぎ、グレイスは身ごもった。玉のような男の子パオロに恵まれたころは、幸せの絶頂だった。しかし、その大切な赤ちゃんに突然の死が襲いかかる。悲しみのどん底に落ちたグレイスの心の傷が癒える間もなく、夫ドナートの裏切りが発覚して…。
フランコが瀕死の重傷ですって!? レクシーは別居中の夫の父親から連絡を受け、凍りついた。 フランコの家を出てから3年半。離婚を考えていた矢先だった。 すぐにイタリアの病院へ向かったレクシーは、 変わり果てた姿の夫と対面し、しばらく付きそうことを約束する。 だが翌日、フランコが彼の親友の妹といるところを目撃し、 レクシーの胸にかつての苦い記憶が甦った。 彼女とフランコが親密にしている1枚の写真──それこそが、 別居に至った原因だったのだ。レクシーは、立ち去ろうとするが、 怒りに燃えたフランコが、点滴を引き抜き追ってきて……。 ミシェル・リードらしい大富豪夫妻のドラマチックな再生の物語をお贈りします。愛し合っているふたりを試すかのように、次々と予想外の試練が襲いかかり……。邪悪な脇役に要注目です!
ギリシアの孤島で古い城に閉じ込められ、 父の暴力に耐えながらも、自立する日を夢見ていたセレーネ。 17歳のとき、あるパーティで彼女は生まれて初めての恋をした。 父のビジネスの仇敵、億万長者ステファン・ジアカスに。 セレーネの語る夢に真剣に耳を傾け、彼はこう言ってくれた。 「5年後に会おう、セレーネ」 彼女はその言葉だけを心の支えに、島から出る計画を進めてきた。 そして決行の日。美しく成長したセレーネは、まだ知らなかった。 ステファンがじつは悪名高きプレイボーイであるうえに、 彼と父との間には、ビジネス以上に深い因縁があるということを。 S・モーガンの作品には純粋で無垢な女性が多く登場しますが、そのなかでも今作のヒロイン、セレーネは断トツではないでしょうか。彼女には幸せになってほしいと誰もが願わずにはいられません。
「手切れ金は払う。だから父とは別れてくれ」社長の御曹司ライルから蔑むような目で見られ、そう一方的に告げられて、ケルサは思わず彼の頬を叩いていた。私を社長の愛人だと決めつけるなんて、酷いわ!だがじつはケルサ自身、なぜ入社早々に気に入られ、社長秘書に抜擢されたのか不可解に思ってもいたのだ。ほどなくして社長が亡くなり、遺産の半分をケルサに遺したことがわかると、ライルの疑念はますます深まったようだった。今度は私を金目当ての女だと罵倒するのかしら?意外にも彼は切なげな表情で、驚くべき真相を口にした。
アボリジニにルーツを持つ作家が、オーストラリア現代文学に切り拓いた新たな地平。 生と死、人と鯨、文明と土着のあわいで紡がれた言葉、唄、踊り。ふたつの異なる世界を軽やかに行き来した先住民(ヌンガル)の少年が見つけた希望は、歴史の痛ましい「現実」の彼方で煌めきつづける。 19世紀前半の植民初期、「友好的なフロンティア」と呼ばれたオーストラリア南西部の海辺で、先住民と入植者が育んだ幸福な友情とやがて訪れた悲しい対立の物語。 米国の捕鯨船も来航する入植地にヨーロッパ人が現れたころに生まれたヌンガルの少年ボビーは、幼くして一族の死者と交信するする特別な踊り「死びとの踊り」の導き手であると同時に、持ち前の好奇心から入植者の社会に入り込み、白人たちの言葉と文字を獲得していた。先住民と入植者のあいだの緊張が高まり、ついに衝突しそうなとき、ボビーは白人たちに「死びとの踊り」を披露し、互いを排除しあうのではない融和の道を探ろうとするが……?