2017年7月発売
隠居の身から江戸家老に再任される塩谷隼人は、尼崎藩邸の敷地内に在る役宅で暮らす。大家を務めた八丁堀の長屋の店子たちはつつがなく暮らしているようだが、一方、藩政には不穏な影が。尼崎藩藩主松平忠宝は、江戸城で老中の土井大炊頭利厚と出会う。二人は、実の叔父と甥の関係。松平家で冷遇され、土井家に養子入り後に出世を遂げた利厚は、尼崎藩に大きな恨みを抱いていたのだった。
引きこもりの湊大海は、ある日、口ばかり達者なトラブルメーカー・一色颯太郎と同居することになった。いやいやながら大海が駅へ颯太郎を迎えに行くと、彼はサラリーマンと口論の真っ最中。大勢の前で颯太郎に論破された男は、チンピラを雇い暴力による嫌がらせをしてきた。引きこもりの巨漢と口ばかり達者な青年が暴力に立ち向かう!稀代のハードアクション作家・矢月秀作の新境地。
人生に疲れ切った中年主人公は、気分転換に訪れたオートキャンプ先で突如異世界に転移。そこで授かった再生スキルによって20代の肉体を手に入れた元おっさんはアルフォンスと名乗り、異世界で二度目の人生をやり直すことにする。現代から持ち込んだアイテムとチートなスキルを駆使し、冒険者としての実力をつけていくアルフォンス。やがて王家のルーツに日本人(転移者)が関係していることが発覚し、この世界の謎が少しずつ解明していく。異世界転移で始める第二の人生。
「タイシです。試練の名のもとに神々にフルボッコにされ、駄神とともにケツをまくって逃げ出しました!」神との戦いに敗れ大森林に放り出されたタイシは、エルフの村で厄介になりつつ、失った力ースキルを取り戻すため森に点在する遺跡にあるという、“擬神格”なるものを求めて冒険を始めるのだった。この世界がタイシに本当の姿を見せはじめるー。29歳独身は異世界で自由に生きるため動き出す。
突然、異世界転移した男子高校生の釘宮悠利。ダンジョンで迷子になった所を“真紅の山猫”の冒険者達に保護される。転移した際に鑑定系の最強技能“神の瞳”を得ていたが、そんなことはお構いなし!元々の料理の腕や細かい作業が好きということが高じてアジトの料理担当に収まり、周囲の人々の胃袋を掴んだり、異世界にないものを生産したりとチート能力の無駄使いオンパレード!色々やらかしては怒られつつも、まったり異世界ライフをエンジョイ中!!
人里を離れ、研究に明け暮れる千年賢者ーカイト。彼はある日、禁忌とされている人工生命体の創造に成功してしまう。生まれたての赤ん坊を抱いた彼の心に、初めての感情が駆け巡り…「やばい、この娘かわいい!」かくして研究バカから親バカに転向したカイトは、なけなしの一般常識をかき集め、愛娘を立派な“普通の子”に育てあげることを決意するが…?父娘2人(+機械メイド)の、ほのぼの&ハラハラ子育て旅行が、今はじまる!!
モンゴメリー公爵バレンタインはギリシャ彫刻のように美しいが、放蕩者で邪悪な人物だと噂されている。ハウスキーパーのブリジットがバレンタインに仕えることになったのは、彼が屋敷に隠している秘密の品々を見つけて運び出すという使命を負わされたためだった。その品をもとに、上流階級の人々がおどされていると聞いている。ある日、室内を探っているところをモンゴメリー公爵に見つかってしまったブリジット。しかし、使用人とは思えない気品と知性のある彼女に興味を抱いた公爵は、処分を言い渡すことはなかった。いつしか二人は、会話を交わすことを楽しみにするようになる。そして互いの生い立ちの複雑さを知って、心の傷を癒やすかのように惹かれ合うのだが…大人の愛を描いて大人気の“メイデン通り”シリーズ第10弾。
異例づくし。まさしくそれが、総料理長オリーの今回の任務だった。というのも大統領夫人が催す数千人規模の巨大誕生日パーティのため、厨房の外へと飛び出し、会場選びから手伝うことになったのだ。同じく担当スタッフに選ばれたのは、式次室長のピーター。彼とオリーが犬猿の仲なのはホワイトハウスの誰もが知るところ。なのにまさか、ふたりそろって秘書官の遺体を発見することになろうとは!?それ以来、何者かに命を狙われるようになったふたりは、危険と隣合わせでパーティの準備を続行することに。いつもは皮肉屋のピーターも、今回ばかりは弱気な一面を見せはじめ…!?
彩加が取手の駅中書店の店長になってから一年半、ようやく仕事が軌道に乗り始めたと感じていたところ、本社から突然の閉店を告げられる。一方、編集者の伸光は担当作品『鋼と銀の雨が降る』のアニメ化が決定して喜ぶものの、思わぬトラブル続きとなり…。逆境の中で、自分が働く意味、進むべき道について、悩む二人が見出した答えとは。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第六弾。文庫書き下ろし。
一ページに一つ、一文の物語で構成される怪談小説集。「公園に垂れ下がる色とりどりの鯉のぼりに、一つだけ人間が混じっている。」「寝る時に必ず、洗濯機を回し続けることだけは忘れないよう願いますが、それさえ守ればたいへんお得な物件だと思いますよ。」-想像力が喚起され、不思議な怖さが込み上げてくる怪談を二百近く収録。現実と空想の境目を見失うような、奇妙で恐ろしい世界を味わえるだろう。
日本史上最も悪評高い蘇我入鹿。しかし彼こそが「改革者」であった!?-七世紀前半、大陸統一を果たした大唐帝国の脅威は、倭国に迫りつつあった。遣唐使に密かに同行し、唐の実情を目の当たりにした入鹿は、皇極女帝の信頼を得て、国を守るべく、新しい国づくりに邁進するが…。彼は、なぜ殺されなければならなかったのか。黒幕は誰か。最新の研究を取り入れつつ、大胆に謎に迫る古代巨編。
二〇一〇年一月、ヤマト航空は経営に行き詰まり、会社更生法を申請。再建の切り札として外部から招かれたカリスマ経営者に対し、プライドの高い社員たちは反感を抱くが、次第にバラバラだった社内は一つになっていく。しかし、そこで東日本大震災が発生。津波によって孤立した仙台空港で、ヤマト航空の社員たちがとった行動とは…。二〇一二年九月の株式再上場までの、“奇跡の復活”を描く感動のストーリー。
逆転の秘策でフバーレク辺境伯を救い、見事隣国から勝利を収めたモルテールン領。ようやくお菓子作りに精を出せると意気込む領主の息子ペイスを待っていたのは怒涛の戦後処理だった!婚約者リコリスの父が殉職し、利権を狙う東部派閥の貴族たちが次々と現れる。リコリスとの婚約破棄が計画され、二人の恋路は無情にも引き裂かれようとしていた。そんな中、ペイスは側室の座をかけてレーテシュ伯と料理対決を催すことに。少女への純愛をかけた一世一代のプロポーズ大作戦へ挑む!恋の季節に彩られてますます甘く激しいスイーツ・ファンタジー第7弾!大幅書き下ろし新章も収録!
太宰治をして「この荒れ果てた竹薮の中にはかぐや姫がいる」と言わしめた「空吹く風」、戦後の混乱の中で春をひさぐ女たちに真実の愛を夢想する「暗黒天使と小悪魔」、運命の女との愛欲の果てに傷害事件に至る顛末を描いた「愛と憎しみの傷に」。共産党への幻滅など生きる意味への絶望ゆえか女に溺れ、薬と酒で破滅へと突き進んでいく自らの姿を見据え、人間の本性を浮き彫りにする小説集。
誇り高い姉と、快活な妹ーいま、この二人の女性の前に横たわっているのは、一人の青年の棺だった。美しい姉妹に愛されていながら、彼はなぜこの世を去らねばならなかったのか?卒業論文を書くために「廃墟のような寂しさのある、ひっそりした田舎の町」にやってきた大学生の「僕」は、地所の夫婦、妻の妹の三角関係に巻き込まれる。古き日本の風情を残しながらも、どこか享楽的な田舎町での青年のひと夏の経験から、人の心をよぎる孤独と悔恨の影を清冽な筆致で描いた表題作「廃市」は、後に大林宣彦監督によって映画化された。ほかに「飛ぶ男」「樹」「風花」「退屈な少年」「沼」の全6編を併録。
海を愛する若者が生の歓びを求め、ブリガンティン型帆船“大いな眞晝”号に乗り込んで船出をする。「無一物主義」という哲学思想をもつベルナールを船長に、フランソワ、ターナー、ケイン、女性のファビアン、そして日本人の私など11人のクルーは、ヨーロッパから日本を経由して、一路、太平洋へと航海を続ける。やがて、南太平洋に入ると、荒れ狂う颶風圏に突入していく中、嵐のさなかに恐るべき事件が起きてしまう。帆船の船内は、さながら芝居の劇場のように複雑な人間関係が入り組んで、それは悲劇への序章にふさわしい舞台だった。辻作品らしい“詩とロマンの薫り”に満ち溢れた長編小説。
10歳の男の子が罰で閉じ込められた部屋で、古い鏡に映ったチェスの駒に誘われる。不思議な「向こうの世界」に入り込むと、そこには祖母や泥棒、若い男女らがいて…。鬼才セルジョ・トーファノの挿絵との貴重なコラボが実現した、20世紀前半イタリア文学を代表する異世界幻想譚!
裕福な親元を飛び出し、貸し間住宅・椋鹿館で気侭な一人暮らしを始めた少年コバヤシ。この世のすべてに退屈していた彼は、屋根裏から隣人の生活を覗き見ることに、新鮮な歓びを見出していた。そんなある日、館の住人四人が惨殺されているのを発見する!(「屋根裏にも散歩者」)江戸川乱歩の世界を大胆不敵にアレンジ。謎と狂気に満ちた物語の数々が幕を開ける!
嫡男の長福丸が毒を飼われたことに激怒した八代将軍吉宗は、背後で糸を引いた天英院に対し苛烈な処断に臨む。御広敷用人の水城聡四郎は、吉宗の指示で大奥の刷新を始めるが、その仕打ちに天英院が暴挙に出る。はたして吉宗と竹姫の恋の行方は、そして、聡四郎に課せられた「最後の大仕事」とはいったいー。感動に震える、超人気シリーズ最終巻の第十二弾。