2017年8月17日発売
誕生日の夜、リリアナはイサルにバージンを捧げた。10年間恋い焦がれた後見人の彼に、一瞬でも振り向いてほしくて。けれどその行動は、大きな過ちでしかなかった。どうしてイサルが、両親を亡くした12歳の彼女を引き取り、家から遠く離れた山奥の寄宿学校に閉じこめたのか?今も厳しい監視の目を光らせ、生活を制限するのか?なにもかもが、私を花嫁にするための計画だったなんて!今後は夫に従順に尽くし、子供を産み育てるだけ。イサルが求める、億万長者の愛されぬ完璧な妻として…。
7年前に起きた悲劇のせいで長らく引きこもっていたナタリアは、最愛の祖父がかつて手放した家宝の詩集を取り戻すため、勇気を振り絞ってギリシアへ飛んだ。だが、詩集の持ち主の億万長者アンゲロスと対面するなり、彼の幼い娘のナニー志願者と決めつけられ、雇われてしまう。正体を偽ったまま屋敷で暮らし始めたナタリアは、娘にも冷淡で人を寄せつけようとしないアンゲロスにしだいに惹かれていく。ある嵐の夜、ついに彼女は想いを抑えきれず彼の胸に飛びこむが、もう誰も愛さないと、にべもなくはねつけられて…。
ラファエル・ペトリが私を雇いたいというの?ニューヨークのホテル王からの突然の指名に、リリーは驚いた。自宅で企業調査を請け負う彼女にとっては名誉なことだが、一つだけ気がかりなことがあった。人目に触れるのが怖いのだ。14年前、リリーはある事故で頬に火傷を負い、それ以来、恋愛を遠ざけて世間から隠れるように生きてきた。その美貌で女性を虜にできるラファエルには理解できないだろう。リリーは地味なだぶだぶの服に身を包み、髪で片頬を覆うと、傲慢な雇い主のもとへ向かったー愛人になる運命とも知らずに。
ある日、企画会社で働くジェマが一人きりで仕事をしていると、目の前に突然、目もくらむほど美形で長身の男性が現れた。トリスタン・マルコという名を聞き、彼女は息をのんだ。最高級ホテルでのパーティを予算無制限で依頼してきた謎の大富豪!はるばる欧州のモントヴィア国から打ち合わせにやってきたという。やがて思いがけずクルージングに誘われ、ジェマの心は舞い上がった。悲しい過去のせいで恋には慎重になると心に決めたけれど、彼の魅力に抗えるかどうかはわからない…。恋に惑うジェマは知る由もなかったー彼の本当の名は、モントヴィア皇太子トリスタンで、高貴な生まれの女性との結婚を義務づけられている身であることを。
ロンドンの病院で働く二十歳の見習い看護師ベネチアは、近くの店の爆弾騒ぎで腕を負傷し、かの著名なオランダ人脳外科医デュアルト・ター・ラーン・ルティンガ教授に処置してもらうことに。かすかな意識のなか見上げた教授のハンサムな顔ーそのとき、乙女の小さな恋は始まったのかもしれなかった。やがて、唯一の家族だった祖母が急死し一人残されたベネチアに、彼女の気持ちを知ってか知らずか、教授が突然プロポーズをしてきた。オランダで後見することになった孤児の少女が手に余り、模範的な家庭生活を示すために、妻役を演じてほしいというのだ。愛のない結婚は本望ではないと、泣く泣く拒むベネチアだったが…。
「どうして僕に息子がいることを教えてくれなかったんだ?」怒りに燃えるジェイクを前に、ケイトは途方に暮れていた。2年前、ケイトは名家の御曹司である彼と切なくも激しい恋に落ちた。将来の約束をしないというただ一点を除いては、彼は理想の恋人だった。だが、妊娠に気づいてすぐにジェイクの祖父から悪質な脅しを受け、町を追い出されたケイトは独りで赤ん坊を産み育てていたのだった。ジェイクは訳あって町へ戻ってきたケイトに、自分にも息子と同居する権利があるはずだと主張する。今まで子どもの存在を隠していた償いとして、ケイトは彼を受け入れた。二度とこの人を愛したりしないと、固く心に誓いながら。
クリスタルはナニーとして働くため、砂漠の国エル・ザフィールを訪れた。不格好な眼鏡、だぼだぼな服、引っつめ髪で変装をして。ナニーの絶対条件は、なぜか“不美人であること”。現れた逞しい黒髪の雇い主、第2王子ファリークは聡明な彼女を気に入り、クリスタルも彼に心惹かれていった。ある日、遠乗りに出かけた二人は、激しい砂嵐で帰れなくなり、一夜を過ごしたテントの中で熱いキスを交わす。偽りの姿でいることは心苦しいけれど、高額な母の手術代を工面するには仕方ない。彼女はそう思っていた。ファリークが、どんな嘘も許さないと知るまでは。
ストックホルムとコペンハーゲンで相次ぎ猟奇殺人が発生。片方の被害者は内臓を抜かれ、もう一方は斧でメッタ斬りにされていた。容疑者は法の隙間をすり抜け自由を謳歌していた2人の連続殺人鬼。だが、スウェーデン国家刑事警察のファビアン・リスクとデンマークの女性刑旨ドゥニヤは事件の核心に迫るにつれ、どこか違和感を覚え始めるー。あなたはこの罠を見破れるか!?戦慄のミステリー。
銃撃され、血まみれで川岸を這いずっていたデイビーは青年ケイデンに救出される。人を殺す遺伝子が自分にあると知った日を境に17歳の少女の人生は一変した。更生施設とは名ばかりの収容所で強制的に人殺しをさせられ、命懸けで脱出したのだー逃げ場のない孤独なデイビーをケイデンは守ると誓うが、悪夢は醒めない。手負いのデイビーは病室を襲撃され、メスで滅多刺しにしてまた人を殺してしまう…
ひそかに憧れていた男性の婚約パーティーに出席することはソフィーにとって、まさに拷問だった。だからクールな上司ガイに会場から連れ出されたときもソフィーは逆らわず、家まで送ってもらった。これまでガイがソフィーに興味を示すことはなかったが、今日はいつもの彼とは違う。成り行きとはいえ、秘書であるソフィーの寝室にまで入りこみ、迫ってきたのだーこんなときは、慰め合うべきだと言って。ソフィーは催眠術にかかったようにうっとりとして目を閉じ、彼のキスに応えてしまい…。
フェリシアは会社勤めの平凡なイギリス人女性だが、中東からの留学生に一方的に熱愛され、求婚された。実は彼は故国屈指の大財閥の息子で、二人の結婚には、家長である叔父のラシッドの許しを得なければならないという。ひょんなことからフェリシアは一人で彼の地に赴き、ラシッドに許可を求めなければならなくなったが、着くなり彼から“金目当ての女”と罵倒される。圧倒的なカリスマ性で一族の尊敬を集めるラシッドが、何故かフェリシアにだけはつらく当たる。そればかりか、侮辱の言葉を浴びせながら、彼女の唇を熱く塞いだのだ!
仕事ひとすじの生き方に疲れ果て、マロリーはポルトガルのリスボンにやってきた。そこで出会ったのは、ラファエル・ダフォンソという男性。王家の血を引く名門貴族で、この国でも指折りの実業家だという。ラファエルの妻は出産後すぐに亡くなり、以来10年、彼は一人娘アポロニアのみに愛情を注いできた。ふとした偶然でその娘の命を救ったことがきっかけとなり、マロリーは彼から強引に結婚を申し込まれる。だが彼女に求められているのは妻の役目ではなく、娘の養育係としての務めだけだった。
15歳の頃から恋い慕う親友の兄アントニオ皇太子と婚約したクリスティーナ。しかし4年も無関心を決め込まれ放置されたことで、この婚約はきっと解消されると覚悟していた。周囲から密かに“醜いあひるの子”とあだ名されてきた私だから…。ところが、ようやく結婚式が盛大に挙げられることになったー彼の妹に降って湧いた醜聞から衆目をそらすためだけに。(『名目だけの花嫁』)。絶世の美男ジェレドと知り合い、強く惹かれたケイは純潔を捧げた。だが、一夜で新しい命を身ごもったことを、著名人の彼に知らせる術はなかった。やむなく独りで子を産み育て、6年が過ぎたある日、片時も忘れたことのなかったジェレドが現れ、ケイの心は愛と戸惑いのはざまで揺れるー我が子の存在を偶然知った彼が、息子を奪うつもりでいるとも知らずに。(『プレイボーイの真実』)。エミリーは結婚して3年経った今も大富豪の夫フィンに夢中。だが彼は前妻といまだに親しく、毎晩帰宅も遅いので、結婚生活は不安に満ちていた。今日は3度目の結婚記念日。腕によりをかけて作った食事は食べる人もないまま冷めてしまった…。とうとう彼女は思い余って夫の会社に乗り込んだ。そこには、一緒にシャンパンを飲む夫と前妻の睦まじい姿があった。(『悲しい嫉妬』)。
小さな骨董品の店を営むハリエットに、縁談が舞い込んだ。相手はなんと、ローマの億万長者マルコ・カルヴァーニ。おそろしくハンサムだが、冷酷な皮肉屋と悪名高い彼は、大企業経営者としての立場上、形だけの妻を求めているという。見返りは、経営難の彼女の店に対する金銭的援助だ。結婚に希望を抱けないハリエットにとって悪くない話だったが、マルコは、地味な彼女を一瞥して冷笑を浮かべるような男だった。ところが、周囲に勧められて化粧や服を一新すると、美しく変身したハリエットを見る彼のまなざしが変わった。冷たい態度は崩さないまま、夜のデートに彼女を誘い…。