2017年9月発売
どこまでも飛んで行ける。想像力の翼があればー。23世紀初頭、一人の研究者があるマシーンを発明した。それは人類の“願い”を叶えてくれる、神のような装置だった。彼の孫・ワタルはマシーンの試運転のために自分の願いを口にしたが…。文明とは、私たちの犯した過ちなのか。未来は閉ざされてしまうのか。爆笑問題・太田がいちばん描きたかった世界がここにある。類稀なる長編小説!
刀の目利きと研ぎで生計を助け、腕が立つが出世には無関心の下級旗本・関口平九郎。世間の噂に敏感な、お調子者の質屋の若旦那・万寿屋卯之吉。世間を冷めた眼で見る、はぐれ狼の同心・深尾左門。同じ常磐津の師匠のもとに通う、身分や生い立ち、暮らしも違う三人の男が、それぞれの立場、特技を生かし、江戸の市井で起こる事件を人情味あふれる方法で解決する、書き下ろし連作時代小説四編。
自らの心に巣くう鬼をねじ伏せ、涙に暮れる弱き者らを情けで支える元腕利き同心・森口慶次郎。最愛の娘の死が与えた底知れぬ葛藤と哀しみを経て「仏の慶次郎」を生み出した記念碑的名編「その夜の雪」を始め、名作「峠」などシリーズ全十七作品から名うての読み手が傑作を精選。テレビドラマ版を彩った名優のインタビューや全作品解題も交え、この一冊で「慶次郎縁側日記」の世界に浸る特別編。
認知症 介護離職 孤独な世話。恋人もキャリアも失った。母のせいでーー。圧倒的な現実の果てに、ほのかな希望がにじむ共感の話題作! あなたは、そこまでして私の人生を邪魔したかったのーー。認知症の母を介護するために恋人と別れ、仕事のキャリアも諦めた直美。孤独死した父への悔恨に苛まれる頼子。糖尿病の母に腎臓を提供すべきか苦悩する慧子。老親の呪縛から逃れるすべもなく、周囲からも当てにされ、一人重い現実と格闘する我慢強い長女たち。その言葉にならない胸中と微かな希望を描き、圧倒的な共感を呼んだ傑作。
学校中にアホジュンと見下される少年ジュン。密かに作曲家を志す同級生トク。学校ではない、特別な世界で二人を繋げたのは、至上の音色を持つトクのギター“エイプリル”だった。穏やかな日々の最中降りかかる暴力。反発したトクは完璧な曲を書き、ジュンに歌わせることで雪辱を果たそうとするが…。眩い色彩、瑞々しい旋律。音楽に愛された二人の日々に胸焦がす、祝祭的青春小説。
嵐に閉された異人館で、「名残の会」と称する奇妙な宴が始まった。館の主は謎めいた絵を所蔵する氷神公一。招かれたのは画家に縁のある6人の男女ー。次々と殺されていく招待客たち。絵の下層には、なぜか死んだ者が描かれていた。縊られた姿もそのままに。絵は死を予言しているのか。絵画見立てデスゲームの真相とは。使用人探偵ツユリシズカの推理が冴える本格ミステリー。
カリブ海に突如“死の海域”が発生した。拡大していく謎の汚染の原因を突き止めるため、ダーク・ピットはカストロ議長の死去により不穏な空気が漂うキューバへと向かった。一方、息子のダークと娘のサマーはメキシコの洞穴で潜水中に、アステカ文明の遺物の写本を発見。そこには財宝の在処を示す石板の存在が記されていた。その行方を追う彼らは次々に襲撃を受けてーシリーズ最新刊!
海底の水銀汚染を追う父親。アステカの石板を探す息子と娘。親子は合流してハバナ沖で調査を開始した。だが、深海に潜ったピットとサマーは拉致され、ダークらが乗り組む船も制圧されてしまう。懸命の脱出を図る彼らの前に姿を現したのはキューバの権力闘争が絡んだ黒い陰謀だった。果たして極限の危機を打開できるのか。そして財宝の在処は…掌の汗が乾く間のない海洋冒険サスペンス!
グランプリ・レースの轟音につつまれるモナコ公国で恐るべき事件が発生した。国際銀行のシステムに何者かが侵入し、多額の資金が消失したのだ。世界の巨悪と戦ってきた現代の騎士カブリーヨたちも、自社の巨額な預金が行方不明になってしまう。事件の解明に乗りだした彼らは、銀行の頭取が逃走し、その途中で事故死していたことを知る。当初は、この頭取が犯人と思われたが、カブリーヨは疑念をいだく。この裏には、強大な黒幕がいる…。
国際銀行への破壊工作を追うカブリーヨと乗組員たちの前に、モナコの港に停泊していたあやしい船の存在が浮かびあがる。ロシアの大富豪が所有する巨大クルーザー。しかしその正体は、カブリーヨたちのオレゴン号をもしのぐほどの戦闘力を持つハイテク艤装船だった!操るのは、危険な復讐心を秘めた元軍人。彼は天才ハッカーの娘とともに世界を壊滅させる戦慄の陰謀を画策していた。それを阻止するカギは、ナポレオンの秘宝ー歴史の謎を秘め、暴虐の海に展開するオレゴン号の壮絶な死闘。
モンタナの牧場育ちのボウディン・ロングボウは、家族4世代で観光牧場を発展させた一大リゾート施設を経営している。3年ぶりに再会を果たした初恋相手のカルが牧場で働くことになり、彼の変わらぬ優しさを懐かしく、そして頼もしく感じながら、しずかに恋心を再燃させていた。そんなある日、女性従業員のジーンが殺害され、近隣の女性も行方不明になった末に死体で発見される。保安官助手のクリントックは、学生時代にカルと衝突した個人的な憎しみから彼を犯人に仕立てようとするが…。
互いの気持ちを確かめ合い、愛情を深めてゆくボウディンとカル。このまま穏やかな日々が続くかに思われたが、ある夜、失踪したと聞かされていたおばのアリスが、牧場の近くで瀕死の状態で発見される。じつはアリスは家出をしたあと何者かに誘拐されており、その家から命からがら逃げ出していたのだった。三十年近くも彼女を監禁し、支配し続けた「サー」とは一体何者なのか?この事件をきっかけに、一連の不可解な殺人事件の真相が明らかになる。息を呑むロマンティック・サスペンス!
姉エルからの突然の電話は母親の訃報だった。三歳で叔母に預けられて以来、二十九年ぶりにスコットランドの生家にわたしは帰った。幼い頃、両親や叔母は姉妹の接触を禁じたが、エルはいつも唐突にわたしの前に現れた。そのたびにむらっ気で攻撃的な態度に傷つけられ、わたしはエルを避けるようになっていた。生家は思っていた以上に裕福だったが、父親が放ったのは「おまえは来るべきじゃなかった」という一言だった。なぜわたしは屋敷と両親から引き離されたのか。なぜわたしだったのかー。読む者を釘付けにする見事な語り口。必読サイコ・スリラー!
初めてだった。これほどに、自分を認めてくれる教えは。だから、信じることに決めた。百姓たちは、苦しい日々を生き抜くためにキリシタンになった。なにかが変わるかもしれないという、かすかな希望。手作りのロザリオ。村を訪れた宣教師のミサ。ときの権力者たちも、祈ることを奨励した。時代が変わる感触がそのときは、確かにあった。しかしー。感涙の歴史巨編。戦国期から開国まで。無視されてきたキリシタン通史。
教えを棄てた。そう偽り、信念を曲げず、隠れ続けたキリシタンたち。密告の恐怖。眼前でおこなわれる残虐な処刑。なんのために、信じているのか?そう迷うこともあった。だが。九州のその村には、おびえながらも江戸時代が終わるまで決して逃げなかった者たちがいた。隠れ、そして信じ続けた者たちがいた。いままで誰も描きえなかった美しく尊い魂の記録。慟哭の隠れキリシタン秘史。