2017年発売
家族・親戚とともに水上バスに乗り込んだ花嫁の津田隆子は、船上から忽然と姿を消してしまった。定刻を過ぎても隆子は現れず、新婦不在のまま披露宴を行ったのだった。新郎の池沢英二と同じ絵画教室の縁で出席していた浅見雪江は唖然。息子の光彦に事件を調べるように依頼するが、何の手掛かりも発見できなかった。数日後、築地の掘割で女性の死体が発見される。それは隆子なのか!?
谷村梢は小学校四年生を担任する補助教員だ。「カニは縦にも歩けます!」と理科の授業で実証し、注目されたのは、いじめられっ子・中尾文吾。梢にスーパーで、ある教師の万引きを目撃したと告げたまま下校。その日、文吾が襲われた。襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。梢に注がれる疑惑の目……。表題作ほか、日常の謎が“深い”ミステリーに! 魅力の七篇!
警視庁捜査一課の美女刑事、江仁熊氷見子30歳。女の勘……を通り越してもはやオカルトともいうべき常人には理解しがたい直感力で事件を解決に導く彼女だが、頭の硬いベテラン刑事たちからはやっかみ半分の嘲笑を受ける日々。相棒で後輩の真山恵介28歳は、戸惑いながらもエニグマに従ううちに、刑事としての尊敬心、そしてさらには微妙な感情が芽生え……。「勘」で事件を解決??新感覚警察小説待望の文庫化。
最強の美少女ハッカー《ゴースト》を追い詰めた。しかし逮捕寸前で轟音が鳴り響き、気を失って……目が覚めると「俺」が眼前にいた。ガラスに映った俺の姿はゴーストになっている。なんと、魂が入れ替わってしまった! 原因を突き止めなければ。特別認定犯罪者対策機関「特対」のレドは、魂交換者のゴーストと共に犯罪者の巣くう迷宮街へと乗り込む! エブリスタ小説大賞2015-2016徳間文庫冒険エンターテインメント小説賞大賞受賞作。
上野の美術館の前庭にある彫刻≪地獄の門≫の前で、水曜日十一時に頼みたい仕事の内容を話すと“泥棒の守護神”が現れるという奇妙な噂が。半信半疑で訪れた、造形作家TOKIWAのマネージャー篠原健。彼女が亡くなり噂を信じたくなったのだ。「盗んで欲しいのは、あのひとの遺体と一緒に棺におさめられるも」だが何も起こらない。守護神などいない、そう思ったとき何かが手元へ落ちてきてーー。あなたにとって不要なモノが、誰かの大切なモノかも。
出社すると会社が倒産していた。それを恋人に告げたら、出て行ってしまった(「竜宮電車」)。母親の言うことが窮屈だった少年は、ある文字がタイトルに入った本を集めると願いが叶うと聞き…(「図書館の鬼」)。人気がない神社の神さま。ハローワークで紹介された花屋で働くが、訳有り客ばかりが…(「フリーター神さま」)。現実に惑う人たちと不思議な力を持つ竜宮電車をめぐる三篇を収録。
猫をテーマにした時代小説の傑作を、いま最も注目される歴史小説家・澤田瞳子が厳選。朝日新聞書評欄で絶賛された巻末の解説にも注目。 【収録作品】池波正太郎「おもしろい猫」海野弘「大工と猫」岡本綺堂「猫騒動」小松重男「野良猫侍」島村洋子「猫姫」高橋克彦「猫清」平岩弓枝「薬研堀の猫」古川薫「黒兵衛行きなさい」光瀬龍「化猫武蔵」森村誠一「猫のご落胤」
平穏で地味に見えても、それだけですむ人生なんてない。同窓会の案内がきっかけで二十年ぶりに連絡を取り合った六人の女性。犬と暮らす失業中の領子、娘との関係に悩む明子、元恋人の死に夫が関わっていたのではと疑う穂乃香…深い感動が胸を打つ、終わりと始まりの物語。
<内容> 小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。物静かな店主・弓子が活字を拾い、丁寧に刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い……。活字と言葉の温かみに、優しい涙が流れる感動作。 静岡書店大賞を受賞・ブクログ1位・読書メーター1位など、話題沸騰の人気シリーズ、待望の第二弾! <もくじ> ちょうちょうの朗読会 あわゆきのあと 海からの手紙 我らの西部劇 <プロフィール> ほしおさなえ 1964年東京都生まれ。作家・詩人。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』にて、第12回鮎川哲也賞最終候補。『空き家課まぼろし譚』『活版印刷三日月堂』「ものだま探偵団」シリーズなど著作多数。
懐かしくて新しい! 立ち上る空気、怪しげな匂い、全ての質感をそのままに、 藤谷治が「少年探偵団」を現代に甦らせる! 霧の中から現れる怪しい灰色の紳士カクイ。呪われた美しい首飾り。美しいバイオリニストの少女。そしてわれらの少年探偵団。 少年達が心をときめかせたあの装丁、語り口。立ちのぼる空気と気配まで徹底再現して、“彼ら”が藤谷治の手によって現代に復活する!
東京は浅草、浅草寺近くに昭和のはじめから存在する銭湯「明日の湯」。 三代目の三助は現役の大学生。失踪した父親のかわりに、 三代目として毎日番台に掃除にと、雑務に駆りだされる日々。 そのせいで彼女もできないし、就活はおろか、単位も危ない。 時代遅れの銭湯なんか継ぐ気はないーーのに、口うるさいばあちゃんと、 天然ぶりがすさまじい母親と一緒に、仕方なく切り盛りしている。 何事もなくのんびりまったり暮らしていたい三助のもとには、しかし、毎日珍客が訪れる。 三助はしぶしぶ彼らの悩み解決に手を貸すことにーー。 あたたかいお湯と人情が疲れた心と身体をあたためる、ほっこり銭湯ミステリー。
帝都叛乱の二月二六日、彼らはそれぞれの夜を過ごしていた…。義弟が身代わりとなり落命、やがて第二次大戦の終戦に尽力した、当時の首相の岡田啓介。妻のタカが夫へのとどめを制した、終戦内閣の総理・鈴木貫太郎。弘前から上京した、青年将校が要と仰いだ秩父宮。襲撃を受けながらも祖父を守り、父・吉田茂を助ける存在になった麻生和子。事件当時に歩兵部隊におり、やがて『ゴジラ』の監督になった本多猪四郎。日本の平和に関わった彼らの「その後」に繋がる、「この一日」
失踪した公安刑事の行方を追うため、IT企業に潜入した特命係の二人は、社長の北潟の元に、人間の左腕が送られてきた場面に遭遇する。数日後、東京湾から、片腕のない男性の焼死体が発見され…。事件のかかわりを調べる右京と薫の前に、思いもかけない人物が立ちはだかる!
タンゴにしか興味がない孤独な殺し屋<ハムレット>。 その男に両親と弟を殺され、一人生き残った少女、ヒロミ。 ブエノスアイレスに住む唯一の肉親である日系二世の祖父に引き取られた少女は、家族の復讐を果たすため、人の殺し方とタンゴの踊り方を覚えてゆく。 「あの男を殺して、人生の一部を取り戻す」。それだけが彼女の生きる目的となった。 やがて彼女は<ロミオ>と名乗る凄腕の美しい殺し屋に成長する。 アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた血塗られた復讐劇はどこへ向かうのか? 全編にちりばめられたタンゴという音楽とシェイクスピア作品への深いオマージュ、破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。 ピアソラの「タンゴ・ゼロ・アワー」を暗殺者のための音楽として崇める殺し屋ハムレット。 タンゴのステップを踏むように踊りながら殺す、いかれた女殺し屋ロミオ。 東京とブエノスアイレスを舞台に、ロミオとハムレットの壮絶な闘いが幕を開けるーー。 読みはじめたら止まらない、圧巻のノンストップ・ジェットコースター小説! 美しく、激しく、そして息苦しいほどの切なさが胸を打つ、傑作ノワール長篇、誕生!
【文学/日本文学小説】井の頭公園で、胸に1/TTXと刻印されたパントマイマーの遺体が発見された。武蔵野署の白鷹雨音は捜査を進めるうち、数年前に未解決となった幼女誘拐殺害事件に辿り着くが……。「このミス」大賞受賞作家による、書き下ろし警察小説。
【文学/日本文学小説】国道246号沿いでバイクを利用したコンビニ強盗が連続発生、警視庁の覆面捜査チームトカゲに出動命令がくだる。IT捜査専門の捜査支援分析センターや、交通機動隊までもが動員されたが、解決の糸口は見つからない──。犯人はどこへ消えたのか?
魔界さえも潰え、人間界も壊滅した。再会を果たした七つの者たちの眼下に広がる巨大な海こそ生命の根源・ユゴスだった。“混沌”の海に埋没していく多一郎。やがて突き上げる歓喜を潜め、胎動の如きうねりが訪れる。繰り返されてきた永遠の輪廻、終わりなき生命と死の輪舞。七つの者たちは“永劫”という途方もない時空間の彼方へと旅立った。大河小説の第20弾、第二部「地球聖戦編」がここに完結する!
離婚を契機に新しい家族像を模索し始めた夫、妻、小学生の2人の息子たち。その日常を優しく、切なく綴った物語「ウホッホ探検隊」。同作は芥川賞候補となり、後に森田芳光脚本、根岸吉太郎監督で映画化もされた著者の代表作。ほかに「プラネタリウム」「幾何学街の四日月」「月曜日の兄弟たち」の3作を収録。
逆境に陥った中年サラリーマンの復活物語 王崎ホームの芦溝良郎は、50歳を前に会社からリストラされた。再就職先を人材派遣会社から紹介されたが、どこも長く働くことが出来ない。予備校生の娘の手前もあって、いままで通りに家を出る毎日だった。ある日、公園のベンチに座った良郎は、ドングリ拾いをしている子どもを見て、自分も拾って調理してみる。「食えるのなら、食ってみようかな」。調理して食べられることがわかった良郎は、続いて野草の採取と魚釣りへと行動の範囲が広がった。食材を無料で入手して家で調理しながら、良郎が向かったのは、サラリーマン時代に食べていた弁当屋のいわくらだった……。 同じリストラ仲間の姿に元気づけられ、一度は途方に暮れた中年サラリーマンが、自らの夢を叶えて仕事を始め、おおいなる復活を遂げる。 逆境に陥った主人公を次第に応援したくなる、心温まる感動小説! 【編集担当からのおすすめ情報】 中公文庫版になかった、著者の「あとがき」が入ります。