2017年発売
新芥川賞作家の傑作小説集! 「しんせかい」で第156回芥川賞を受賞。鮮烈なスタイルで現れた山下澄人の初期傑作集を待望の文庫化! 『ギッちょん』『コルバトントリ』二冊の単行本を一冊に。 〇収録作 ・ギッちょん 四十過ぎてホームレスになった男。目の前を往き来するのは幼馴染み“ギッちょん”とひとりぼっちの父。(第147回芥川賞候補) ・水の音しかしない 毎朝同じ電車になる男が鬱陶しくて、時間をはやめてみたら、やはり男といっしょになった。適当に話を合わせているうちに「わたし」は窮地に陥る。 ・トゥンブクトゥ 第一部 街でゆきかう老若男女の様々な思惑、殺意。第二部 海辺のサバイバル。 ・コルバトントリ わしは死なへん。お前も死なへんねん。誰も死なへん。生者も死者も人間も動物も永遠を往還するーー(第150回芥川賞候補) 〇小川洋子さんによる解説を収録。 「山下澄人さんの小説を読むと、語り手も登場人物たちも皆、魂だけになってしまった人々のようだ、と思う。魂というと普通、肉体の檻から解放された、純度の高い存在の源、のようなイメージがあるが、山下さんの場合は少し違う。」 「山下さんの小説に現れるのも、この“在り間”に近いものたちだと思われる。存在する、と明確に断言するだけの自信もなく、かと言って、存在しないのだな、と問われるといや、待ってくれと言いたくなる。どっちつかずの隙間、空洞、落とし穴、のような何か。ないけれどある。あるけれどない。」 「語り手たちは皆、迷ってばかりで、自信がなく、肝心なことをすぐに忘れる。生かされている世界に圧倒され、その前でちっぽけな自分を持て余している。そんな小さな人々にしか見えない真実の風景が、ここには描かれている」
密室に突如出現したアリの群れ。殺人現場から消えた絨毯。アシスタントを殺害した少女マンガ家の偽装工作ー謎を解くのは「地理の知識」!?あらゆる地理トリビアを麦わら帽子の下の頭脳に詰めこんで、地理の講義で犯人の完全犯罪を突き崩してみせるのは、地理探偵・西川麻子!文庫オリジナルのライトミステリー小説集。
言い交わした娘を襲おうとした男を殺した丈吉は、久蔵の酌量もあって遠島となり、さらに赦免で江戸に戻ってきた。だが今その娘・おふみは、長屋の隣人で一人娘を育てる浪人と互いに惹かれあっていた。そんな折、丈吉に殺された男の兄が、丈吉に賞金を懸けたという…。“剃刀”久蔵の差配が光る、充実の書き下ろし第29弾。
想い人おりょうとの仲に新たな進展を得た小籐次。だが、そんな日々にも、自らを見張る鋭い視線を感じていた。そして現れた“偽小籐次”。今や江戸の有名人となった赤目小籐次の名を騙り、研ぎ仕事を請け負い法外な研ぎ料を請求するー。跳梁はそれだけにとどまらなかった。もはや真偽小籐次の対決は不可避か。緊迫の第11弾!
新しい女囚人おきぬは、顔も身体つきもどこか垢抜けていた。下男を手なずけ貢がせるしたたかさに、登は入牢のきっかけとなる事件を探るが、どこか腑に落ちない。一方、従妹おちえの友人おあきが自分を訪ねてきたと聞き、とある約束をしていた登は慌てるがー。青年獄医の成長と葛藤を描いた傑作連作集第三弾。
死病に憑かれた下駄職人の彦蔵が「三十年前に子供をさらった」と告白する。その時子供を二人殺したという相棒によく似た男を、登は牢で知っていた。彦蔵の死後、おちえから最近起きた“子供さらい”の顛末を聞いた登は、ある行動に出るー。医師としての理想を模索しつつ、難事に挑む登の姿が胸を打つ完結篇。
池波正太郎生誕100年企画として、歌舞伎界の大看板・松本幸四郎を「鬼平」こと長谷川平蔵役に迎え、 映像化、ドラマ化。 「鬼、新時代。」が始まります! 悪い事をしながら善い事をし、善い事を史ながら悪事を働く。心を許し合う友をだまして、その心を傷つけまいとする。全く人間とは奇妙な生き物よ……。 鬼平の名言と部下を思う心、そして悪党どもの跳梁に夜も眠れなくなるスリリングなシリーズ第8巻。 「用心棒」「あきれた奴」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」「あきらめきれずに」の 7篇を収録。
池波正太郎生誕100年企画として、歌舞伎界の大看板・松本幸四郎を「鬼平」こと長谷川平蔵役に迎え、 映像化、ドラマ化。 「鬼、新時代。」が始まります! 「何だ?」 「いえ……別に」 「何かいいかけてやめるということは、おもしろくもない」 「まあ、お気のむずかしいことを……」 「おれが、当ててみようか。いま、お前がいいかけたことを」 「およしあそばせ」 「年寄りくさいことを……と、そういいたかったのであろう、どうだ?」 「おそれいりましてございます」 「うふ、ふふ……」 冒頭の他愛もない平蔵と久栄の会話だが、この夫婦は実に自然に愛情表現をする。 そんな平蔵に少女の頃から密かな思いを寄せていた女密偵おまさ。 おまさへの、平蔵の粋なはからいとは。 密偵たちの関係が大きく動くシリーズ第9巻。 「雨引の文五郎」「鯉肝のお里」「泥亀」「本門寺暮雪」「浅草・鳥越橋」「白い粉」「狐雨」の7篇を収録。 巻末に、エッセイ「私の病歴 池波正太郎」を特別収録。
わたしは特別。みんなとは違う。何者かになるべき存在。幼い頃から、今井花梨はそう思い込んできた。三十二歳になった今は、もう、いくら何でもそんなふうには考えない。考えられない。それでも、「人に注目されたい」「みんなから羨ましがられたい」という強迫的な願望から、どうしても逃れられずにいる…。そんな花梨が陥った罠は、あまりにもエロティックな匂いに満ち満ちていた。
陸奥国の小藩・大仁戸藩に、お家騒動が勃発。藩政を壟断する国家老に反旗を翻した若侍十六人が、駕籠訴に及ぼうと江戸表に向かう。彼らの暴発は藩を取り潰したい幕閣の思う壺。大仁戸に隠されたという銀五万両を巡る策謀が動き出した。訳あって江戸に隠棲していた銅雲斎はじめ凄腕の老骨三人が、故郷の危機に立ち上がる!めっぽう強いジイさま対公儀隠密集団。決戦の火蓋が切られた!
質屋の三浦屋六兵衛が、離れで出刃包丁により惨殺された。三浦屋にとっては、娘の佐与が旗本の惣領との婚礼を間近に控えた折の惨事だった。南町奉行所臨時廻り同心、天霧三之助は探索に乗り出す。六兵衛の遺体の不自然さに気づいた三之助は、下手人像を絞り込み、追い込んでいく。だがそんなさなかに、六兵衛が死んだ同じ離れで第二の刺殺事件が起きた。到叙方式で描く書下し長篇時代ミステリー。
東京・深大寺でテレビ番組のディレクター井上美奈子がお遍路姿の絞殺体で発見された。彼女が企画した“お遍路ゲーム”収録目前の出来事だった。翌日、捜査本部に「四国八十八ヵ所巡りの途中で人が殺される」という謎の電話が!急遽、徳島に飛んだ十津川警部はお遍路姿に変装し、番組収録を見守る。が、新たな殺人事件が発生し、事件は予想外の展開を見せ始めた!?長篇旅情ミステリー。
ライフィセットはベルベットたちとの旅の中で、 人間や聖隷、業魔が持っている、さまざまな思いを知る。 自分は何者で、何がしたいのか、 弟の仇を討つために戦い続けるベルベットのために 何ができるのか……。 その答えを導き出すために、少年は歩みを進めていく! 大人気RPG『テイルズ オブ ベルセリア』の物語を、 聖隷ライフィセットの視点から描く公式ノベライズ、感動の完結!
荒っぽい空手道場の家に生まれ、喧嘩三昧の散々な毎日を送ってきたレオナ。そんな生活とはオサラバし、華やかな高校生活を! とお嬢様校に転入したけれど、奇妙なクラスメイトに連れられた先は……格闘技ジム!?
後宮で着実に正妃の座に近づくヘレナ。皇太后に気に入られ、彼女は皇帝の妹ーーわがまま盛りのアンジェリカの教育を任される。何を思ったか、ヘレナは弟子とアンジェリカに1ヶ月の新兵訓練を行うと言いだし……!?
ついに迷宮都市に到着したサトゥー達。早速探索者登録を行い、意気揚々と迷宮探索に乗り出す! だが迷宮都市で過ごす中、権力者に絡まれたり、立ちこめる瘴気や路地裏の浮浪児など様々な問題も目に付いてきて……。
ゲーム『幻想学園』の世界に転生した俺、クルリ・ヘラン。長期欠席分の補習も乗り越え、ようやく平穏な学園生活がーと思ったら、アイリスの様子がおかしいとアーク王子から相談が…。彼女を元気づけるため、内緒で体育祭に家族を招待しようと企むけれど、当日、異常事態が発生っ!!「んもうっ、アーク王子に会いたくて夜も眠れないから、地獄より参上よっ」と化け物が現れーって、ただの変態じゃなくて王子を狙う刺客!?俺達は体育祭を乗り切れるのか!?
エイミーの逮捕で、回復職地位向上への夢が遠のいたツトム。だが、ギルドは彼を見放さなかった。PTの新メンバーは、なんと神竜人のギルド長。強力だが暴走の危険もある竜人の力を活かしたPT運営とは一体!?