2018年1月11日発売
アメリカ留学帰りの去場安のもとに、伊藤博文から手紙が届いた。「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた安はその少女、介良れんに出会った。使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんは強烈な光を放っていた。彼女に眠っている才能を開花させるため、二人の長い闘いが始まったー。著者渾身の感動傑作!
有人と風香は吹奏楽部でアルトサックスを吹く恋人同士。高校でも共に全国を目指そうと、名門・旺華高校を揃って受験した。だが、有人がまさかの不合格。吹奏楽部がない羽修館学園に入学し、人数集めからスタートする羽目に…。一方、風香は全国大会金賞常連の名門の洗礼を入学早々に浴びてしまうー。前途多難な恋と吹奏楽への情熱をハートフルにユーモラスに奏でた青春組曲。
鮮やかな謎解きが待ち受ける、珠玉の時代ミステリーがここに!「小説推理新人賞」を受賞した表題作では、若き狂言作者が謎に満ちた誘拐事件の真実解明に挑む。ほかに「日本推理作家協会賞」の候補になった「奈落闇恋之道行」など、いずれ劣らぬ“どんでん返しの傑作”五篇を収録。思わずホロリとする佳篇、人の業の深さを思い知らされる衝撃の一篇ー読み味豊か&技巧冴え渡る、乱歩賞作家の短編集が新装版で登場!
とある出版社の文芸編集者・桜木由子の担当する作家は問題児ばかり!?最終話を「読者への挑戦」とし連載を終えたミステリー作家のもとに一通の手紙が届く。「この作品は盗作、トリックはー」推理されるはずのないラストを言い当てられ真っ青になる作家。事態を収束すべく奔走する桜木だったが…。個性豊かな作家たちが引き起す事件を、桜木と見た目は優男だが腕は確かな探偵の鶴巻が解決していく!6つの短編と5つのショートショートを収録。
祖父の代から続く歴史ある書店を継いだ本田安子。しかし、残念ながら経営はずっと赤字続き。このままでは、自分がお店をつぶしてしまう。そんな悩みを抱えたある日、安子は美味しいお菓子や珈琲を出す、カフェを併設した書店の存在を知りー。甘いお菓子と本の知識で、お客様のお悩みをずばっと解決!?がけっぷち書店員・安子とドSなイケメンパティシエ・洋野創。そんな二人がおくる美味しくてタメになる物語!
凍った心もとろける至福のひと皿、召し上がれ!人間だけでなく、神さまやあやかしまで訪れる不思議な屋台『なごみ亭』でバイトをしている大学生・浩平。卒業を控え、将来への期待と不安で揺れる浩平の前に、「金色の斧を落とした」と言う子猿や川を流れる大きな桃が現れてー!?客引きのお狐・コンの家族も登場し、心温まるあやかしグルメシリーズは感動の大団円へ!!
大手商社の総務部に勤める吉野文彦は、秘書課の西尾早紀に告白して振られた夜、向かいにあるマンションの部屋に住んでいる美しい人妻のセミヌードを覗き見る機会に恵まれる。夫と二人暮らしらしいその人妻は蓮見奈央子といい、なんと弁護士だったことを知った文彦だが、覗かれていた奈央子のほうにも淫靡で密かな思惑があった。傑作長編エロス。
天才役者、揚羽恋之介と弟子の剣豪、烏森堅四郎の体を張った階段落ちで大人気となった揚羽座。だが、移り気な江戸っ子にすぐに飽きられ、犬が演じる忠臣蔵、その名も『忠犬蔵』に客を奪われる。荒れる恋之介に尽くす堅四郎だったが、ある夜、舞台で失敗した犬の五郎丸が座頭に折檻される場面に遭遇。思わず五郎丸を逃がしたことで、犬遣いの紅小町がほおずき長屋に乗り込んでくる。期待の新シリーズ第二弾!
このごろお江戸で流行るもの。女蚤取り、猫小僧。タマにニャロ吉、猫忍クロ。白猫志乃の妖術に、侍四人が倒れ伏す。愛猫さもじに別れを告げる、西郷どんの目に涙ー。愉快で気ままでときどきホロリ、名前はなくとも誇りはある。映画『武士の家計簿』脚本家・柏田道夫が贈る、福招く傑作時代小説シリーズ第二弾!
槙岡藩の下級武士の息子・柏木新助は、江戸に出て一流の算術家になるのが夢。そんな新助に千載一遇の好機が巡ってきた。江戸の北条家への養子入りの話が持ち上がったのだ。勇んで江戸に出てきた新助だったが、思わぬ現実が待っていた。さまざまな事情により、養子入りの話が立ち消えになったという。北城家の「厄介者」となった新助は、算術に救いを求め、関孝和の算術塾の門を叩く。大注目の時代小説新シリーズ第一弾!
傷を癒やす力を持つジェナは、その特殊な力のせいで幼い頃にカルト教団につかまり、以来囚われの生活を送ってきた。性的暴行こそ受けずに済んだものの、世間から隔絶され、動物のように扱われる日々。だが20年あまりの月日を経た今、ついにジェナは施設を逃げ出す。そしてぼろぼろの服に傷だらけの足で必死に逃げる中、警備会社に勤める長身で筋骨たくましい男性、アイザックに出会う。彼はジェナが何者かから逃げていると察し救いの手を差し伸べてくれた。初めて知る優しさにジェナの心はとろけるが、容赦なく追っ手は迫り…。
マット・ウォーカーの我慢は限界に達しようとしていた。この20年、彼は幼なじみであるフランキーを妹のように見守ってきたが、内心は兄らしからぬ感情で爆発寸前。というのも、恋愛恐怖症のフランキーは女性として見られることを極端に恐れ、少しでも彼が男の顔を出せば、野良猫のように逃げていってしまうからだ。しかし、さえない服と眼鏡の奥には、官能的な曲線と可憐なまなざしが隠れていることをマットは知っていた。進まない関係にしびれを切らした彼は、仕事という名目でフランキーをリゾートへ同行させることに…。
おれが死んだら、妹の後見人になってくれー戦死した友人との約束を果たすため片田舎を訪れたダヴェントリー侯爵は、目の前の廃墟のような館を見て唖然とした。こんな場所で人が暮らせるものなのか?しかも友人の妹ブルーデンスは、亡き兄のお下がりをまとった、どこから見ても少年のような垢抜けない容貌で、もう18歳だという。後見人としての務めをまっとうすべく、ダヴェントリーはブルーデンスを社交界デビューさせようと、ロンドンの街へ連れていくが…。天真爛漫なうら若きレディに翻弄される、侯爵の運命やいかに?
私の赤ちゃん…。レクシーは嗚咽をこらえて涙をぬぐった。二十歳の彼女はハンサムでやさしいジェイクと結婚し、子供を授かり、昨日まで幸せいっぱいだった。ところが流産をしてしまい、その悲しみが癒えないうちに、夫が愛人と離婚の相談をしているのを聞いてしまう。打ちのめされて家を飛び出してから5年…。ようやく立ち直りかけた彼女の前に、ジェイクが現れる。記憶以上に魅力的な彼は、不敵な笑みを浮かべて告げた。「僕の妻を取り戻しに来た」
17歳のアレクサンドラはダンスパーティーで一人の青年と恋に落ち、すぐに結婚の約束をした。だが、両親亡きあと世話になっている姉夫婦は猛反対だ。まだ若すぎるからなどという理由では、アレクサンドラはとうてい納得できなかった。なぜこれほどまでに反対するの?彼女の疑念はじきに晴れた。姉の夫の兄、ドミニクの強力な助言が後押ししていたのだ。愛人を絶やさないプレイボーイが、私の結婚を邪魔するなんて!激怒した彼女は家を飛び出し、ドミニクのもとへ車を走らせた。