2018年1月11日発売
30歳、結婚3年め、共働き。夫は本気で夢を追い始め、妻は違う男に惹かれ始めた。会社のサッカー部が廃部になりくすぶっていた貢は、大学の先輩から「カピターレ東京」で東京23区初のJリーグ入りを共に目指そうと熱心に勧誘される。報酬ゼロなのに本気のサッカーへの誘いに心を動かされた貢は、「やります」と即答していた。高卒で百貨店に入社して13年め、そろそろ子どもがほしいと考えていた綾は、夫の突然の宣言に異を唱える。特にイヤだったのは、相談ではなく事後報告だったことだ。そんなときに知り合った客の天野と、二人で映画に行くことに…。初めて訪れた危機を、田口夫妻は乗り越えられるのか!?夢を諦めないすべての男女に贈る夫婦の物語!
噺家・桂文枝とばったり再会してお笑いの世界へ誘われた新撰組隊士の濱田精次郎。サムライが舞台に立てるわけがないとはなから相手にしないでいたが、寄席という場所はいろんな人間が出入りする情報の宝庫。手柄につながる何かが転がっているかもしれない。精次郎が迷い始めたところへ長州藩士とつながりがありそうな売れっ子芸妓・松茂登が現れる…。新たな新撰組物語お笑い青春小説!第十二回小説現代長編新人賞受賞作。
看護師の桑原ひまりは新宿のネットカフェで暮らしている。ネット経由で依頼を受け、患者の自宅に泊まり込んで介護をするのが仕事だ。不衛生な環境、終末期の患者、料金交渉してくる家族など、派遣先の事情はさまざまだが、それでも、布団で眠れる日は恵まれている。患者と家族と看護師と、本当の弱者は誰なのか。第12回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
不況の嵐が吹き荒れる江戸ー同心を辞し、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す「損料屋」として暮らす喜八郎。与力や仲間たちと力を合わせ、巨大な敵と渡り合う!二千坪の土地を牛耳る黒幕の目的は?危機感をつのらせる深川の住人たち。
聖なる愚者ムイシキン公爵と友人ロゴージン、美女ナスターシャ、美少女アグラーヤ。はたして誰が誰を本当に愛しているのか?謎に満ちた複雑な恋愛模様は形を変えはじめ、やがてアグラーヤからの1通の手紙が公爵の心を揺り動かす。「イッポリートの告白」を含む物語の中核部分、登場。
製薬会社のMR・友永孝は、電車内で見知らぬ男女に痴漢の疑いをかけられ駅から逃走、新人巡査の新田真人に逮捕された。友永は無罪を訴えるが、留置場に収監されてしまう。後日、真人はある出来事から友永の無実を確信し、老弁護士・五味陣介に協力を求めるがー。留置場から拘置所、そして法廷へ。仕組まれた冤罪との闘いを徹底した緻密さで描く異色の警察小説。
将軍徳川吉宗と「大奥で忘れられた姫」竹姫との恋は成就せず、吉宗の大奥改革もとりあえず一幕が終わった。竹姫付き御広敷用人の任を解かれて寄合となり、静かな毎日を取り戻した旗本・水城聡四郎に、またも将軍吉宗から声がかかる。今回の命は「道中奉行副役」。「世の中を見てこい」という吉宗の命に、まずは東海道へ。かつてない剣戟満載!待望のシリーズ開始。
航空自衛隊音楽隊でアルトサックスを担当する鳴瀬佳音。陸海空自衛隊合同コンサートに出演するため浜松にやって来た彼女たちは、あるモノをバスに隠してリハーサルへ。ところが、そのバスが駐車場から消えてしまう!?(「希望の空」)そして、腐れ縁の渡会三曹との恋に問題が!いつもトラブルを呼ぶ佳音が仲間たちと日常の謎を解き明かす、音楽青春ミステリシリーズ!
殺人事件を起こした崎津直也が刑期を終えて出所した直後に神戸で殺された。その直後、九年前に崎津を逮捕した刑事の片倉康孝も何者かに刺される。崎津から届いた手紙に書かれていた「砂丘の蛙」という謎の言葉に、戸籍には載っていない「妹」の存在。事件の渦中に巻き込まれた片倉は、捜査本部から外されても地道な捜査を続け、神戸、鳥取へと足を運ぶ。傑作推理小説。
江戸川乱歩はミステリーを「犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐蕨に解かれて行く径路の面白さを主眼とする文学」と定義した。これはまさに相手の駒の動きを予測し、理詰めで解き明かす将棋の勝負と類似している。事実、推理作家には将棋好きが少なくなく、題材にした作品も数多い。本書は文壇の実力派たちによる白熱の名人戦九局を収めた傑作アンソロジー!
駿河国汐崎藩の国許で一揆の噂がたった。汐崎藩の御刀番頭・左京之介は、噂の真偽を確かめるため、さっそく国許へ向かう。汐崎藩領内へ入った左京之介を待っていたのは、汐崎藩を混乱させんとする一派。そして、敵の手には、名剣「井上真改」が。はたして、左京之介は、一揆を防ぐことができるのか。手に汗握る策謀の応酬と迫力の剣戟満載のシリーズ第九弾。
江戸で起こった敵討ち騒動。咎人の大杉天善は武家屋敷に幽閉されたが脱走、関八州に逃亡した。そこで彼を敵とする古元正之助の依頼で、追い首の新三郎たちは追跡を請け負うことに。ところが騒ぎの元凶に近づくほど、手強い相手に狙われ、次期老中と目される松平定信の秘密にも迫り…。追い首稼業に身をやつす腕利きの男たちの活躍を描く、痛快時代シリーズ第二弾!
皆が浮かれ、賑やかに踊るやすらい祭り。商家で歓待を受けた蕪村が、鮒の塩漬けを土産にもらい機嫌よく帰途につくと…。薄暗い草むらから若い公達が現れた。「我はこの世の者ではない」と言う。見目麗しい公達が、叶わなかった恋を語りだす。その公達の正体とは!?(表題作)画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした妖たちの、もの悲しくもこころに響く物語九編。
生まれ故郷の村に帰った小萩は、姉の婚礼の祝い菓子を作る。江戸でもっともっと菓子作りを学びたい。あらためてその思いを強くする小萩だった。ようやく戻った牡丹堂に、ある日颯爽と現れた一人の男。かつて見世にいた腕利きの職人だという。その男が、思わぬ騒動を引き起こしてゆくー。おいしいお菓子と人々の情に心がほっこりする、好評シリーズ第二弾!
高波で家族すべてを失った扇職人・礼次郎。気落ちからか身に瘍ができ、医者の見立ても芳しいものではなかった。一匹の猫に亡き娘の名前をつけて可愛がっていたが、自らの命も、もう長くはない。夢屋のおかみのおたねは、見世で猫を引き受けることにするが…。厄災が立て続く江戸で、明日を信じ懸命に生きる市井の人々の姿を温かく描く、人気シリーズ第六弾。
安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか?京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代長編。
黒毛艶やかな猫として、死神クロは地上に降り立った。町に漂う地縛霊らを救うのだ。記憶喪失の魂、遺した妻に寄り添う夫の魂、殺人犯を追いながら死んだ刑事の魂。クロは地縛霊となった彼らの生前の未練を解消すべく奮闘するが、数々の死の背景に、とある製薬会社が影を落としていることに気づいてー。迷える人間たちを癒し導く、感動のハートフル・ミステリー。
夏の休暇で、恋人といっしょに実家へ帰省したオリー。でも母の口から、幼い頃に亡くした父の死についての意外な真相を明かされ、和やかな休日は一変。銃で殺されたうえに犯人もまだ捕まっていないなんて!戸惑いながらも、オリーは父への愛を力に、未解決の事件に踏みこむ決意をする。一方、ホワイトハウスでも予想外の事態が。夏休み中の大統領の息子ジョシュアに料理を教えることになったまではよかったものの、オリーだけで参加するはずだったフード・エキスポにジョシュアがどうしても行きたいと言ってゆずらない。やむなくオリーたちは変装し、大勢の人でごった返す会場へと向かうがー!?
パーティでのお披露目を目前にして、婚約解消したいという手紙を受け取ったクレア。なんと婚約破棄されるのはこれで4回目。彼女のせいではなく、婚約者の身の上にいつも何かが起きるのだ。すでに社交界では「レディ・クレアの呪い」と言われている。途方に暮れる彼女の前に元婚約者ポールの幼なじみであるアレックスが現われ、「力になりたい」と言う。不審に思うクレアだが。実はアレックスはわけあってポールに復讐しようとしていた。そこでポールの借用書を買取るかわりに婚約を解消させたのだ。アレックスは、勝手に自分とクレアの結婚を宣言し、「破産寸前の放蕩者から彼女を守りたい」と言い出したが、いったい!?全米ロマンス界騒然のヒストリカルの新星、ついに邦訳!