2018年1月23日発売
奈子は、大学の通学路でいつもすれちがう男性がとても素敵で、ずっと気になっていた。話しかけることもできず日々は過ぎ、いつのまにか彼に逢えなくなってしまう。彼に再会する日を夢見る奈子。だが、親友の葵とともに彼をさがすも、いつもあと一歩のところですれちがってしまう。衝撃の結末が待ち受ける恋愛ミステリー。
幼い頃からの想い人、諒一を奪った親友の百合。二人の息子に「直巳」と名付けた日から、真由子の復讐が始まった。二十一歳年下の直巳を調教し、“自分ひとりのための男”に育てる真由子を待つ運命はー。谷崎潤一郎『痴人の愛』に真っ向から挑んだ話題作。
特殊清掃員として働く桜庭潤平は、死者の放つ香りを他の匂いに変換する特殊体質になり困っていた。そんな時に出会ったのは、颯爽と白衣を翻し現場に現れたイケメン准教授・風間由人。分析フェチの彼に体質を見抜かれ、強引に助手にスカウトされた潤平は、未解決の殺人現場に連れ出されることになり!?
借金の形に身を売られた旗本の娘の自害が相次ぐ。改易を恐れた旗本が娘に自殺を強要していたのだ。扇太郎が預かる元遊女の朱鷺にも魔の手がのびる。江戸を揺るがす事件に乗じて町奉行の座を狙う鳥居、岡場所の利権を欲する一太郎、政権奪取を図る家斉派の幕閣の思惑が交錯する中、扇太郎も覚悟を決める。待望の新装版第五弾!
グアム米軍基地で軍人を狙った首斬り殺人が頻発。数年前の日本で起きた惨劇との類似に、殺人鬼復活かと関係者は震撼する。米国海軍、空軍、中央保安局それぞれの思惑が交錯する中、かつて犯人に肉薄した朝倉が自衛隊警務官に身分を変えて招喚されることに!自衛隊出身の警察官「オッドアイ」が凶刃を追うシリーズ第3弾。
首相の非常事態宣言により警察上層部から指揮権を奪ったクラン。晴山警部補たちは身命を賭して黒幕「神」への足がかりを掴む。しかしその最中、「神」から命を狙われているはずの足ヶ瀬巡査が忽然と姿を消す。予測不能の裏切り、暗殺者との死闘。刑事たちは巨悪との最終決戦へ挑む。
あげる人もあげない人も、もらう人ももらわない人も、チョコが好きな人もそうじゃない人も、なぜか気になる日。心がザワザワする日ー。本命チョコ、友チョコ、義務チョコなど、様々な関係性でやりとりされる“それ”は、ただ甘いのか、ほろ苦いのか…。2月14日をめぐるドラマを8粒詰め合わせた限定アソート、文庫オリジナルで。
宗陵元との深夜の死闘を演じた朝丘剛は、熱も冷めやらぬまま神戸を後にする。劉栄徳、由佐肇ー二人の達人を破るべく武者修行を続ける剛。漂泊の星の下に生まれた男に安住の地はない。岡山に美作竹上流の本拠を訪ねた剛は鉢須賀了太に出くわす。偶然の再会にライバルたちの血は滾る。『修拳会館』で心の技を磨いた鉢須賀に道場破り同然の試合を申し込む剛。かつて闇試合で激闘を繰り広げた二人に決戦の幕が切って落とされた!
三十五歳の千穂は不妊治療を始めて十年、夫と義母からの嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫が酒に酔った男・透を轢いてしまう。謝罪のため透を探す千穂は、彼が算数障害だと気付き手を差し伸べる。だが、二人の関係を怪しむ夫。一方的に疑われ、これまで抑えてきた感情を爆発させた千穂は、家を飛び出し透の元へ逃げるのだったー。
この作品には、小学校5年生から50代半ばまで、幅広い年齢層の女性たちが登場します。 読んでいくうちに、ご自分と近い「誰か」が見つかるのではないでしょうか。 彼女たちはそれぞれ、職場の人間関係や、睡眠障害、元彼のストーカー、娘の就活、子供ができない……などの問題に直面しています。ここで「あの人がいたから救われた!」「力を合わせて皆で解決!」という都合のいい展開にならないのが、著者の世界観。 では登場人物の葛藤が続くだけかというと、意外な人から思いもよらぬ「手」が差し延べられるのです。カフェという場でゆるやかに関わり合うだけでも人は変わっていけるーー読後、小さな、しかし確かな希望が胸に灯る小説です。 【登場人物】○のぞみ(27歳) お客。肌トラブルと職場の人間関係に悩む。○恵奈(小学校5年生) 店主・ヨシカの同級生、りつ子の娘。飼育栽培委員。○竹井さん(28歳) ランチのパート。睡眠障害気味。電車に乗れない。○ゆきえ(31歳) お客。仕事が忙しくて家事が出来ない。○とき子さん(50代半ば) 午後のパート。趣味は海外ドラマ鑑賞。○冬美先生(38歳) お客。ピアノ講師。子供が好きだが子供はいない。○ヨシカ(34歳) 店主。「ポースケ」を企画し、参加者を募る。
東北の雄・最上家から伊達輝宗に嫁いだ義姫。後年、野心に燃える息子の政宗と兄・義光の間が一触即発の危機に陥り、義姫は己の命と引き替えに戦を止めるべく城を出たー。東北の地に平和をもたらした陰の功労者でありながら、「鬼母」とされた女性の真の姿とは。直木賞作家渾身の歴史長篇。
皇族であることが知られたのちも、変わらぬ学友や踊り子ディアたちとの青春の日々を過ごすユリアヌス。だが、副帝となった兄ガルスが謀反の疑いにより処刑され、ユリアヌス自身も宮廷に召喚され、裁かれることに。そこでの、皇后エウセビアとの出会いが、彼の、そして帝国の運命を大きく変えていく……!!〈巻末付録〉連載時日記(抄)〈解説〉金沢百枝
風が吹かないのに風に吹かれているような後姿には、料亭“途上園”に夢を託した骨董屋・珍品堂主人の思い屈した風情が漂うー。善意と奸計が織りなす人間模様を鮮やかに描く。表題作に自作解説エッセイ、珍品堂との骨董買い出し紀行「能登半島」を併せた決定版。
【2025年2月現在、新本が定価(2,600円+税)で購入可能】 「私たちの行手に、また廃墟が現れてきた。」(「廃墟の眺め」より) 忍び寄る不安。胸にともる灯。世界の底から響く音。驚くほど詩的で繊細、かつ感覚的でなまめかしい吉行淳之介の傑作短篇集。 安岡章太郎、遠藤周作らと共に「第三の新人」と呼ばれ、性文学の旗手でもあった吉行淳之介の作品には、無頼派と近しいニヒリズムがあった。その心象風景は静謐で、廃墟のように寒々としている。敏感すぎる神経が不吉な妄想を招き寄せる。妄想が妄想を生み、しだいに現実を侵食していく。どこかにひと筋の光はないか。魂が叫びをあげる。 衝撃的な処女作「薔薇販売人」から、人の心の底知れなさと人間関係の怖さをえぐった「人形を焼く」「出口」、優しく切ない「寝台の舟」「香水瓶」、神経がひりひりするような病気小説の数々、全集未収録の生々しい妄想譚「食欲」「梅雨の頃」、戦後の荒廃と重なる心の廃墟を映す「廃墟の眺め」まで、ヴァラエティに富む吉行文学の精粋、全17篇。 ※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。 薔薇販売人 祭礼の日 治療 夜の病室 重い軀 梅雨の頃 人形を焼く 寝台の舟 鳥獣虫魚 島へ行く 食欲 家屋について 出口 技巧的生活(序章) 錆びた海 香水瓶 廃墟の眺め 解説/七北数人