2018年11月22日発売
天才作家・朽木続こと雨坂が“幽霊の世界”に取り込まれ2年。雨坂の半生は世間の同情を引き、彼の本はベストセラーになっていた。一方佐々波は、異世界で新作を書き続ける雨坂から原稿を奪い取る方法を模索する。そんな中、雨坂のデビュー作に映画化の話が持ち上がりー。理想の小説を書きたいだけの作家と、本にしたいだけの編集者が辿り着いた理想郷とは?ひたすら純粋に才能と小説を追い求める物語、感動のシリーズ完結。
幼いころに母を亡くして以来、心を閉ざしがちな真。彼をずっと見守ってきた、幼なじみの琴莉。高校3年生の今、ようやく一歩を踏み出そうとした2人の前に突然、もうひとつの東京からもう1人の「僕」が現れる。ふたつの世界の命はリンクしており、片方が死ねば、もう片方も死ぬ。真と琴莉は互いの命を守ろうと決意するがー。アニメーション界の若き才能が自ら執筆した、初のオリジナル長編アニメーション映画の原作小説。
「人殺しの会社!」八甲製薬の秘書・麻矢は役員室へ訴えに現れた男から、ある写真を託される。男は八甲製薬の白い人工血液製剤「フロロゾル」を輸血されたせいで父親は死んだと説明。写真は白濁した内臓だった。謎の人工血液を巡り、製薬会社の闇に巻き込まれていく女性秘書。新興宗教の影、スペインから逃避行の男女、事件のカギを握る元看護婦長と錯綜する情報。敵か味方か?読み出したら止まらない傑作長編!
人工血液製剤「フロロゾル」の存在を調べていた麻矢は、事件のカギを握る元看護婦長から、静岡・焼津の海岸に呼び出され、行方不明に。麻矢に同行していたカメラマンののぶ代は「フロロゾル」を輸血として代用する病院が、ある新興宗教団体と通じていることを知る。怪しげな産廃処理業者やスペインからの追っ手も絡み、事件は更に混迷を極める。息もつかせぬ展開、全ての謎が繋がった先に待ち受ける、驚愕の結末とは!
喜連川藩で御前試合の開催が決定した。勝者は老中職の名家の指南役に推挙されるため、演武場の子弟は目の色を変えていた。だが道場の練達者が闇討ちにあい、御所には「御前試合の裏に計策あり」との捨文が。藩の中居・天野一角は、密かに探索に動き出した。一角の息子・清助は、上役の娘に密かに想いを寄せる一方、道場の様子を探るがー。しだいに明らかになる謀略。そして清助に訪れる大きな試練とは?感動の時代長編!
雪深い冬の北海道。札幌市の路地裏に佇む『くま弁』では、大晦日に常連客が集まって忘年会が開催されることに。千春は会社の後輩・宇佐と一緒に参加するが、彼女は何やら大晦日に「嫌な思い出」があるという。その苦い記憶を払拭するため、ユウはとびきり特別な弁当を作ることになって?一方、千春はユウとの将来が見えず、不安な気持ちを募らせていき…?美味しいご飯は人の心を繋ぐ。北のお弁当ものがたり第4弾!
3年前の事件が原因で警察を辞めた朝倉真志は、妻子と別れ自暴自棄な生活を送っていた。ある日、真志の携帯に無言電話がかかってくる。胸騒ぎを覚え元妻の奈緒美に連絡すると、娘の梓が行方不明になっており、やがて誘拐を告げる匿名の電話が入る。梓を取り戻すべく奔走するなかで過去の事件に引き戻されていく真志。誘拐犯の正体は?過去の事件に隠された真実とは?社会派ミステリの旗手による超弩級エンタテインメント!
御庭番の倉沢家に婿入りした凄腕隠密・喬四郎。義父と義母のやり合いを受け流しつつ隠密御用につとめていた折、風魔の老忍び、喜平と出会う。喜平は、金で雇われて働く忍びが集う忍び宿を塒としていた。ある日、茶道具屋から二千両が奪われる。吉宗の命を受け、喬四郎が喜平の伝手を使って賊を追うと、裏柳生の忍びの影が。さらに背後には、大胆不敵な野望が潜んでいた。忍者同士の非情と友情が交錯する、人気シリーズ第3弾!
実子に対する過失致死で服役中だった女性受刑者が移送中に府中警察署内から脱走。翌日、卒業式真っ只中の警察学校で、助教官と学生を人質にとった前代未聞の立てこもりが発生した。犯人は女囚と獄中結婚をした男で、彼女が起こしたとされる事件の真犯人を突き止めよ、と要求。同署刑事の綾乃と、元警視庁刑事で警察学校の教官・五味が真相究明に乗りだした。やがて別の協力者の存在も明らかになりー。人気シリーズ第3弾。
貧しい家に生まれた一郎は、山中の事故で、密かに人を殺めてしまう。罪悪感を胸に集団就職で上京、劣悪な労働環境で絶望を味わった一郎。だが、偶然にも他人と入れ替わることに。自分を捨て生きていくことを決意し、自らの才覚だけを武器に運送事業でのし上がっていった。バブル期に不動産売買で財を成した一郎は、劣等感を埋めるため、旧華族令嬢と再婚するがー。数奇な人生に翻弄された男の光と影を描いた傑作長編。
「これは、多分、復讐なんです」魂の宿る“まほろ本”を扱う、まほろば屋書店にやってきた新しい仲間・メイ。彼女は、“自傷”する本だった。一方、まほろば屋書店でのアルバイトに夢中のヨミは、姉・エイコから「受験勉強、ちゃんとしてるんでしょうね?」と釘を刺されてしまう。さらに、ひょんなことから“まほろ本”の存在がバレてしまいー。2冊の本を巡るドラマが交錯する、感動の書店ファンタジー第2弾!
田園に続く一本道が分かれるY字路で、1人の少女が消息を絶った。犯人は不明のまま10年の時が過ぎ、少女の祖父の五郎や直前まで一緒にいた紡は罪悪感を抱えたままだった。だが、当初から疑われていた無職の男・豪士の存在が関係者たちを徐々に狂わせていく…。(「青田Y字路」)痴情、ギャンブル、過疎の閉鎖空間、豪奢な生活…幸せな生活を願う人々が陥穽にはまった瞬間の叫びとは?人間の真実を炙り出す小説集。
家が入れ子のように重なってしまった二つの家族。一方の台所は、他方の寝室でもありー(「融合家族」)。おれは昨夜まで童貞だった、新婚初夜を迎えるまでは。なのに潜望鏡が現れて、おれたちの性生活を覗いているのだ(「奇ッ怪陋劣潜望鏡」)。苦手な飛行機に乗ったがために、ハイ・ジャックに遭ってしまったおれ。なぜか乗客は皆、喜んでー(「日本列島七曲り」)。平凡な現実がぐらりとゆがみ、狂騒の世界が広がる極上短篇集!限定復刊。
絞殺体の傍らに、殺人計画のメモがー。鳴海理沙率いる文書解読班に、出動命令が下る。理沙は、新たに見つかった「ゆにぞんころすげきやくしたい」との切り貼り文とともに犯人を割り出そうとするが、うまくいかず捜査は混迷を極める。一方、解読班のサブリーダーとなった矢代の必死の捜査で、被害者の甥が重要参考人として浮かび上がった。しかし、その甥がまたも絞殺されー。文字マニアの理沙が連続殺人の謎に挑む!
山に棲む獣『紛』が里の子を己の子とすり替える。現代では迷信扱いの民話を鞍臥の人は今でも心のどこかで信じている。なぜならあたしがその「マガイの子」だからー。東京で美大に通う風哩は、「お山」で従兄が惨殺された事件の記憶がない。セクハラ教授問題で訪れた変なカウンセラーと話すうち、夢に見る「マガイ」の事を喋ってしまう。高校生の弟・怜治がまだ住む地元では「お山」の磨崖仏を調査する謎の研究者が暗躍し始め…。
さる宝石商が、呪いの宝石に悩んでいるという。処刑された悲劇の女性、ベアトリーチェ・チェンチが所有していたという曰く付きの宝石で、幽霊の目撃者や死者まで出ているらしい。平賀とロベルトは呪いを解くことができるのか。(「ベアトリーチェの踊り場」)ジュリアが上司、ルッジェリのために催した豪奢な宴には、恐るべき秘密が隠されていた。(「素敵な上司のお祝いに」)ほか、ビル捜査官やシン博士も登場!必読の短編集、第4弾!
誰もが羨む、川沿いの瀟洒なマンション。専業主婦の菜緒は、育児に無関心な夫と、手のかかる息子に疲弊する日々。しかし209号室に住む葵という少年が一家に「寄生」し、日常は歪み始める。キャリアウーマンの亜沙子、結婚により高校生の義母となった千晶、チョコレート依存の和葉。女性たちの心の隙をつき、不幸に引きずり込む少年、「葵」。彼が真に望むものとは?恐怖と女の業、一縷の切なさが入り交じる、衝撃のサスペンス!
嘘を聞き分ける耳を持ち、それゆえ孤独になってしまった大学生・深町尚哉。幼い頃に迷い込んだ不思議な祭りについて書いたレポートがきっかけで、怪事件を収集する民俗学の准教授・高槻に気に入られ、助手をする事に。幽霊物件や呪いの藁人形を嬉々として調査する高槻もまた、過去に奇怪な体験をしていたー。「真実を、知りたいとは思わない?」凸凹コンビが怪異や都市伝説の謎を『解釈』する軽快な民俗学ミステリ、開講!
「警察官だって怖いものは怖いんだよ」。職務質問と巡回連絡が大好き、管轄内で知らない事があるのが許せないシド巡査の下には奇妙な事件が呼び寄せられる。通り魔連鎖、謎の多世帯居住ロッジ、十数年未解決のシリアルキラー。普通の人が暮らす街の片隅に怪物の巣食う奈落が密かに口を開けている。悪意のスパイラルを追い続けた果てにシドが辿り着くのは。新人賞4賞&山田風太郎賞受賞の奇才による異色の警察官サイコ・ミステリ。