2018年11月9日発売
リヴは旅行に行く双子の姉に頼みこまれ、数日間だけ立場を入れ替わり、大企業の社長であるセブの秘書を務めることになった。彼は海外出張中なので、ばれる心配はまずないという。ところがある日の昼食後、オフィスに戻ったリヴは仰天した。机にベビーシートが置かれ、赤ちゃんが眠っていたのだ!“あなたの責任よ!”というセブ宛ての手紙と一緒に。頼みの姉は帰りが遅れるというし、警察に届け出るわけにもいかず、やむをえずセブに連絡すると、彼は急ぎ帰国し、こう主張した。「僕の子供ではないが、とりあえず世話を頼めないか?」まさか秘書が別人とは疑いもしないセブに罪悪感を覚えつつ、魅力的な彼の懇願に負け、リヴはナニーを引き受けてしまうが…。
ロンドンの病院で働くエイプリルは、数週間だけの予定で赴任してきた魅力的な医師のライリーを避けている。がんで命を落とした双子の妹と同じ遺伝子を自分も持っているから、男性に心を奪われ、ともに歩む未来を夢見てはいけないのだ。それに、もうすぐ予防手術を受け、子どもを産めない体になる…。ところが、ライリーの赴任期間が終わる日に驚くべき知らせが届いた。元恋人の女性が事故で亡くなり、別離後ひそかに出産して育てていた5歳の息子が遺されたという。その場に居合わせていたエイプリルは愕然とするライリーに頼られ、彼とその息子との新たな生活に深く関わっていくことになり…。
ペネロープは半月前に一夜を共にした大富豪ザックと再会し、彼の予想外の行動に驚いた。パーティの席で、彼女の腕をとるなり、周囲に宣言したのだ。「彼女はぼくの婚約者。ぼくたち、結婚するんだ」じつのところ、ザックは元恋人につきまとわれて困り果て、相手をあきらめさせるため、思いつきでペネロープを利用したのだった。ところが、ペネロープは新しい命をーザックの子をお腹に宿していた。この婚約はしょせん偽り。本物の結婚に変わるはずもない。すでに彼に本気になっていたペネロープの胸は張り裂けそうだった。現にザックから愛されていないと感じた彼女は、いっそ離れたほうがいいと、身を引く時機と方法を考え始めるが…。
恋に不器用なアリスは、26歳にしていまだ異性を知らない。だから、仕事で訪れた町で出会った男性ハーリーに対しても、ついけんか腰にふるまってしまったー内心、彼との会話が楽しくて、うれしくて、胸が高鳴ってしかたがなかったのに。「もしあなたが花婿ショップで売りだし中でも、買わないと思うわ」売り言葉に買い言葉でそんな悪態をついたものの、翌日アリスは、不品行な若者に絡まれ、ハーリーが駆けつけてくれたことに驚く。両親なきあと孤独を抱えていたなか、不思議な安心感を覚え、アリスは思わず冗談めかしてプロポーズしてしまった!すると、ハーリーは言い訳を作ってはぐらかし、その場を去った…。
未来や遠くの出来事が見えてしまうグローリーは、人々から“魔女”と疎まれ、ずっと孤立してきた。ある吹雪の夜、グローリーは凄惨な事故の幻影を見て飛び起きた。横転した車、血まみれの男性…“彼”が助けを求めている!急ぎ病院に駆けつけ、救命に協力したー稀な血液型が一致したのだ。その男性ワイアットに絆を感じつつ、名も告げずに去った数カ月後。何者かによる放火で最愛の父と兄、そして家を失ったグローリーは、恐怖と哀しみに震えながら、虚空を見つめていた。ワイアット、どこにいるの?あなたに会いたい…私を助けて!
キジアが勤めるレジャー企業グループのロンドン支社に、ギリシアの本社から社長のニコスが視察にやってきた。噂どおり、まるでギリシア神話の神のような男性だわ!初めて会ったキジアも彼の圧倒的な魅力に思わず息をのんだ。ニコスの個人秘書に抜擢されたキジアは懸命に仕事をこなしつつも、住む世界の違う彼への恋心を抑えきれない自分にうろたえていた。そんなある日、ニコスが開いた大邸宅での豪華なパーティのあと、キジアは彼から思いがけず甘い言葉をささやかれ、激しく動揺する。私は病気の後遺症のせいで子供が産めない体になってしまった。彼に跡継ぎを授けられないのだから、そっと身を引かなければ…。
ある日リディは、父が破産寸前だと母から聞かされた。今すぐ銀行に5万ポンドを振り込まないと家を差し押さえられるから、父に代わり、ジョナ・マリオットに昔貸した資金を回収してほしいという。7年前に一度会ったきりの大企業の社長ジョナは、リディの憧れの人。内気な彼女は愛する父のために勇気を奮い起こすと、彼のオフィスに出向いて懸命に事情を説明し、首尾よく資金を回収した。だが帰宅後、家を手放したくない母が嘘をついていたことが発覚する。私はジョナの寛大さに甘えて大金を借りてしまったんだわ!気に病むリディに、彼は笑みを浮かべながら驚くべき解決方法を提示した。「僕と結婚すれば、すべてうまくいく」
キャサリンはドミニクに別れを告げようとしていた。この半年間、彼女は夢の世界に漂っていた。豪華なドレスに身を包み、毎夜パーティにくりだして、とびきりすてきなフランス人富豪の男性と熱い恋に落ちて…。でも本当のキャサリンは、平凡で控えめでまったく目立たないタイプだ。それに比べて長身で魅力的なドミニクは常に女性たちの注目の的。彼が本気で想ってくれているとは、ましてプロポーズされようとは、キャサリンは夢にも思っていなかった。あとわずかしかない命を輝かせるため、ロンドンに来ていたのだから。ドミニクを愛している。だからこそ、彼からの婚約指輪は受け取れない。
タラント家の8人きょうだいは村でも評判の美男美女揃い。随一の美貌を持つ長女アラベラは、裕福な夫を見つけて家族を助けるため、はるばるロンドンへと赴く。道中、悪天候で立ち往生した彼女は近くの家に助けを求めるが、そこは“比類なき男”ビューマリスの屋敷だった。公爵の血筋、巨万の富、強烈なカリスマ性で社交界の支配者たる彼は、まったく媚びのないアラベラに興味を抱き、退屈しのぎにこの田舎娘を社交界の花にすることを思いつく。戯れに咲かせた薔薇の美しさに、みずから心奪われることになるとは、予想だにせず。
運命の巡り合わせが、封じこめていた恋心を揺さぶり起こす…。静かに切なく燃え上がる、秘めやかなクリスマス傑作選。男性経験のほとんどない、奥手のアンバーは大富豪ロッコと身分違いの恋に落ちた。だが二人の関係をゴシップ紙に売ったと誤解したロッコに、アンバーは捨てられたのだ。せめて彼の子を妊娠していることだけでも伝えなければ。その一心で電話をするも、返ってきたのは心ない言葉。“ストーカーみたいなまねはやめてくれ”アンバーは幼な子を連れて奈落の底に沈んだ…。1年半後、それまでの職を失い、庭師として働く彼女は偶然出逢うー相変わらず先練されて、非のうちどころのないロッコに。L・グレアムらが競演する愛の短編集。
大企業を統括するロバート・キャノンは財界随一の切れ者と評判の男。そんな彼をある日思いがけない事態が襲った。傘下の企業から国家機密のプログラムが流出したのだ。FBIには任せておけず、ロバートはみずから捜査に乗りだすことに。容疑者のひとりは湖畔でマリーナを営むエヴィー。入手した不鮮明な写真を見る限りひどく野暮ったくて田舎くさい女だ。だがさっそく客を装って湖畔に近づいた彼の前に現れたのは、服こそ写真どおり冴えないものの、美しく魅惑的な女だった。ロバートは疼く欲望とともにある計画を思いつき…。その制裁は何よりも甘く、どこまでも冷酷でーロマンス史に燦然と輝く不朽の名作を、新装版で復刊!
キャシーはついに辞表を提出した。最愛の人、ドミニクに。この5年、キャシーは社長であるドミニクの個人秘書として、休暇も取らず献身的に尽くしてきた。だが仕事一筋で冷淡な彼は、当然キャシーになど目もくれない。行き場のない苦しい片思いをあきらめるため、キャシーはクリスマスを姉の家で静かに過ごすことにしたのだ。突然のキャシーの行動に怒りをあらわにしたドミニクだったが、一転して意外な申し出をしてきたー車で送り届けてくれると。今日はクリスマスイブ。いったいドミニクは何を企んでいるの?
今は亡き夫の不義の子テリーを育てているキャロルは、子供の将来のために亡夫の実家を訪ねる決心をする。たどり着いたのは、イタリアの美しい小島に立つ壮麗な屋敷。夫の兄である男爵、ルドルフがそこに住んでいる。彼を見たとたん、キャロルは衝撃を受ける。貴族の血を引き、彫刻のような美貌を持ちながらも、その横顔には人を寄せつけない傷跡がほの見えていたのだ。キャロルはなんとか彼から滞在の許可を得たものの、引き替えに提示されたのは、彼との形だけの結婚だった!
猛暑を迎えた黄下月。砂糖製造に必要な果樹園を確保し、領主代理のペイスは新しいお菓子の開発に張り切っていた。その矢先、招待された侯爵家で、“未来視”を持つと自称する魔法使いから「十年後流行するお菓子を教える代わりに、砂糖を寄越せ」と迫られる。即刻話を断ったペイスを待ち受けていたのは、領地の危機を示唆する不吉な予言だった。勢いづくモルテールン家を巡り国内外の思惑が錯綜する中、詐欺師の嘘を暴くためーお菓子の国を作る夢のため、少年が仕掛ける前代未聞の騙し合い勝負とは!?笑顔溢れる未来は、いつも美味しいお菓子の中にある!甘く激しい王道スイーツ・ファンタジー第11弾!大増書き下ろし新章「女難の相は星占いと共に」収録!