2018年2月17日発売
現実と地続きでありながらも、異界としての山の風景と霊気を堪能できる、山岳怪談の決定版。冬の雪山で、小さな避難小屋の静寂を破るけたたましいノックの音と叫び声。だが、その意味を理解した瞬間、恐怖が襲いかかる「雪山の叫び」。雪の大汝山で下着一枚という異様な姿で発見された男性の遭難遺体。残された手帳の最終ページに戦慄する「最後の日記」。数々の奇跡的な生還を遂げ、“俺は不死身なんだ”とうそぶく男が屏風岩の登攀後に陥った危機ー彼の本音が哀切な「不死身の男」など、山の怪異を自然の風景描写を織り交ぜながらつづる21篇を収録。
傭兵団同士の抗争に勝利し、ビムラの最大手にまで登りつめた山猫傭兵団。それは業界内の勢力図が大きく塗り替わり、大きな注目が集まることを意味していた。団員たちの生活向上のため、密かに商工ギルドに属さない商売を始めたウィラード。しかし、傭兵が自分たちの既得権益を侵食してくることを権力者たちが許すはずがなかった。ビムラ中央会議議長、エルツマイユが選んだ方法はー「本日はウィラード・シャマリ殿に、おめでたいお話をお持ちいたしました」。持ち込まれた縁談は団員たちを巻き込んでの大騒ぎを呼び起こす。なぜなら、その相手が…。
ジェファーソン・テイトは米国随一の家系調査士。依頼を受け家系図を作る毎日だが、ある富豪からの仕事に苦戦していた。数百年前に渡英した一族のうち6人の記録が不可解に消えていたのだーまるで歴史から抹殺されたかのように。系図を完成すべくイギリスに渡ったテイトは彼らの足跡を辿るが、その周辺で謎の失踪や死亡事故がいくつも起きていると判明し…。一族に隠された悲しい真実とは!?
目覚めると、少女エムは傷だらけの体で独房に繋がれていた。排水口の奥には見覚えのない自筆のメモ。15行のリストの最終行には、ある人物の抹殺が指示されていた。対象者は天才科学者ジェームズ。メモによれば、これまで14回、過去に戻り未来を変えようとしたが失敗し、残された最後の手段はジェームズをー初恋の彼を殺すことだという。エムは意を決し、時のうねりに飛び込んだ。