2018年2月7日発売
慶長五年(一六〇〇)夏ー。徳川家康と石田三成の対立は決定的となり、一触即発の様相を呈していた。反徳川の急先鋒である上杉景勝を討つべく家康は会津に向かう。利にさとい伊達政宗は伊達家の将来を家康に賭け、秀吉に愛娘・駒姫を処刑された最上義光も東軍へ与する。上杉家の重臣・直江兼続は、豊臣秀吉の恩顧に報いるべく、三成に呼応して西軍の旗を掲げる。やがて、“東北の関ケ原”とも呼ぶべき大合戦の時が近づいていた…。伊達政宗、直江兼続、最上義光という奥羽を代表する三人の武将の視点で、関ケ原合戦とほぼ同時におきていた奥羽の争乱をダイナミックに描く書き下ろし長篇歴史小説。
幸せな日常を断ち切られ、親に棄てられた女子高生たち。ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。
中国が尖閣諸島を不法占拠した。国内では軍事力に訴える声が高まり、対話路線の阿川内閣は総辞職、新たに柘植友里恵が総理大臣となる。彼女は積極外交を訴え、米国との「極秘文書」を公開しようとする。だが、ホワイトハウス、日本の政治家、スパイたちの思惑が絡み合い…。
杉下右京は東大法学部時代に知り合った動物写真家・パトリシアに招かれて、アラスカを訪れる。雄大な風景に惹かれる右京だったが、人食い熊による事件が頻発していることを知る。やがて熊も射殺され、誰もが一件落着かと思ったが、右京は不審な点に気づいて…。
新米巡査・柿田亮は、自分が警察官に向いているのか悩みつつも、異動先の機動隊で激しい訓練を受けていた。そんな柿田に、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊『SAT』入隊の声がかかる。若い警察官の成長を書く、著者の警察小説新境地!
茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のチャブ台に、曾祖父がいるー。戦時下の日常の光景が、二〇二〇年の現在と重なっている!大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている男に、昭和二十年三月十日の下町空襲が迫っている。曾祖母は、もうすぐ焼け死ぬのだ。わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、静かにそのときを待ったー。
「予の天下を描け」。将軍足利義輝からの依頼に狩野源四郎は苦悩していた。織田信長が勢力を伸ばし虎視耽々と京を狙う中、将軍はどのような天下を思い描いているのかー。手本を写すだけの修業に疑問を抱き、狩野派の枠を超えるべく研鑽を積んできた源四郎は、己のすべてをかけて、この難題に挑む!国宝「洛中洛外図屏風」はいかにして描かれたのか。狩野永徳の闘いに迫る傑作絵師小説。
ショッピングモールの受付が爆破された!偶然現場にいた今野夫妻により被害は最小限に。一方、劇場の清掃員が指揮棒に触れトゲがささり死亡。その指揮棒は世界的に有名な指揮者、田ノ倉靖のものだった。田ノ倉のもとには殺害予告の手紙が何度か届いていたが、彼は強気な性格のためやぶり捨ててしまっていた!誰が何のために?刑事の今野真弓と夫で泥棒の淳一が犯人を追い詰める!
人気アイドル、謎の自殺ー。彼女の親友・蓮美は呆然とするが、その死を悼む間もなく激動の渦に巻き込まれる。自殺の原因が、蓮美のいじめだと彼女のブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがないのに、マネージャーにもファンにも信じてもらえない。全てを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。友人の死の真相に辿りついた少女の目に映るものは…衝撃のミステリー。
揉め事の内済を生業とする九十九九十郎を地酒問屋“三雲屋”の女将が訪ね、七雁新三という博徒の素性を調べてほしいと大金を預ける。新三は岩槻城下の貸元に草鞋を脱いでいるらしい。三雲屋も女将も岩槻の出身だった。九十郎は貸元を訪ねる。二十一年前、藩勘定方が酒造の運上冥加を巡る不正を疑われ、藩を追われた。三雲屋が藩御用達になったのはそれからという…書下し長篇時代剣戟。
母親を殺害し少年院送りになった九子は、二年足らずで仮退院を迎える。退院の朝、警視庁の女性刑事が九子を訪ね、同級生だった井村里実が自殺したと告げる。衝撃を受ける九子だが、社会に出た彼女を待ち受けていたのは、さらに想像を超えた世間の反応だった。贖罪と更正が不充分との批判の一方で、彼女を偶像化するヲタク集団も活動していた。九子は里実の死の真相を探る。書下し長篇推理。
愛知県・小牧基地にある航空機動衛生隊。内村彰吾は若き医官としてチームを率い、大型輸送機C-130Hに積み込まれた“空飛ぶICU”を使って、重篤な患者を遠隔地の高度医療機関へ送り込む。機内で起こる緊急事態。限られた時間。襲いかかるプレッシャー。輸送機の機長・鰐淵啓と連携して預かった命を守る。航空自衛隊のプロフェッショナルを描く熱いヒューマン・サスペンス。