2018年3月20日発売
幼い頃に父を亡くして、田舎町の中古ゲーム店でバイトをしながら母と暮らす高校生のザック。彼は異星艦隊と戦うオンラインゲーム“アルマダ”で世界6位の実力を持つゲーマーでもあった。そんなザックの日常は、あるとき校庭に降り立った1隻の宇宙船によって終わりを告げる。実は人類は現在滅亡の危機にあり、“アルマダ”のプレイヤーこそが地球の命運を握るのだというー現代最注目のギーク作家による渾身のSF長篇。
“アルマダ”はただのゲームではなく、地球防衛同盟軍(EDA)が異星からの侵略に備え製作した訓練用シミュレーターだったーザックはそうして集められた新兵の1人として、月面基地アルファへ配属を命じられる。仲間たちは誰もが筋金入りのゲーマー、敵は圧倒的な大艦隊のエウロパ星軍。ドローン戦闘機で激しい迎撃戦に臨むザックが知る、自身の家族と世界を巡る真実とは?新たなる傑作戦争SF!
マルドゥック市の中枢部に食い込んだハンターは、共感によって新興勢力を“クインテット”に引き入れ、戦力を拡大していく。その様を見せつけられたウフコックは、対抗できる“善の勢力”を結集するため孤独に奔走する。自らにとって唯一の善なる存在、バロットには何も知らせず、ただ新たな道を歩む姿を見守ると決めて。ウフコックとハンター、それぞれの計画の機が覇熟したとき、両者の全面衝突が始まろうとしていた。
長野県の松本で暮らす作家のぼくは、連絡がとれない父・伊郷由史の安否を確認するため、新潟の実家へと戻った。生後3ヶ月で亡くなった双子の兄とぼくに、それぞれ“文”“工”と書いて同じタクミと読ませる名付けをした父。だが、実家で父の不在を確認したぼくは、タクミを名乗る自分そっくりな男の訪問を受ける。彼は育ての親を殺して死刑になってから、ここへ来たというのだが…著者の作家生活における最大の野心作。
1962年10月20日、第35代合衆国大統領J・F・ケネディは、大統領執務室へ側近たちを集めた。キューバの共産主義者がソ連と軍事援助協力を締結し、反応弾頭を備えた準中距離弾道弾を持ち込んだからだ。未曾有の危機に直面する地球人類。一方で高度経済成長を迎えた日本では、北崎重工が宇宙開発の先鞭をつけていたー。架空戦史の雄・佐藤大輔がリアルな筆致で現代史を再検証し、その未来までを活写した伝説のシリーズ復刊。
北海道大学大学院で有機素子コンピュータを研究する南雲と、突然死した友人のAIが、恋愛にまつわる事件に巻き込まれる連作集。SFマガジン不定期掲載の4篇に書き下ろし1篇を加える。
唯一の味方だった破天荒な祖母を亡くした、七歳の少女エルサ。遺言にしたがって祖母の謝罪の手紙を持ちさまざまな人々を訪ねるうちに、エルサは知らなかった祖母の姿と、自分を取り巻く強い絆を知る。『幸せなひとりぼっち』著者がおくる、少女の心温まる物語
フィリップ・マーロウの言葉から人生を学ぼう。愛、女、死、酒、チェス、煙草、ハリウッドについてーーレイモンド・チャンドラーの生み出した探偵マーロウの至言をテーマごとにチョイス。全篇村上春樹の名訳で贈る珠玉の名言集。訳者による巻末解説も収録!
税金滞納者に日々納税指導を行なう、国の取り立て屋・国税徴収官は、必要不可欠だけれど、一般には敬遠される、厳し〜い職業である。なかでも、とくに悪質な案件を扱うのが、特別国税徴収官(略してトッカン)だ。情け容赦のない取り立てで「京橋中央署の死に神」と怖れられる鏡特官の下、若手徴収官ぐー子が挑むのは、税金とその奥にひそむ人生の難問の数々-飲食店の巧妙に隠された滞納金捜しや、相続税が払えない老婦人の救済と公売ハウツー、税大研修での鬼畜ゼミ発表会や、ブランド品密売人を追っての対馬出張大捕物など…鬼上司・鏡によって磨かれたぐー子の徴収スキルが炸裂するとき、待ち受ける意外なラストとは?バラエティ豊かな徴収官たちの仕事ぶりを、鏡とぐー子がお伝えします。お金の勉強になりつつ、明日への希望が溢れてくる、No.1税金ミステリ“トッカン”シリーズ初の短篇集。全6篇収録。
老親の介護、職場でのリストラ不安、実家に戻ってしまった妻、反抗期の娘……悩み多き40代中年サラリーマンの村山健司が、とある事情から雇った家政婦の恵。彼女には、決して知られてはいけない秘密があった……。近未来の横浜を舞台にした、新感覚の家族小説。
小説家と映画の終わらない「情事」-- 文学史と映画史を交差させながら、シネフィルで映画批評家だった小説家の創造の軌跡をよみがえらせる。 『スタンブール特急』『ブライトン・ロック』『第三の男』『情事の終わり』--映画批評家としても活躍した小説家グレアム・グリーン(1904-1991)の映画的側面に光をあて、ヒッチコック、チャップリン、ルネ・クレール、フリッツ・ラングなど、同時代の映画作家とのかかわりからグリーンを〈遅れてきたモダニスト〉として捉えなおす。 文学と映画の橋渡しをする、野心的試み。 プロローグ <b>第一部 トーキーの夜明け</b> 第一章 ミドルブラウのアダプテーション空間 ーー『スタンブール特急』と『オリエント急行殺人事件』 1 一九三〇年代初頭のミドルブラウ文化 2 嫌々ながらのミドルブラウ作家 3 アダプテーションとアプロプリエーション 4 グリーンの動くホテル 5 鉄道、映画、モダニティ 6 ロシアより愛をこめて 7 列車の停止 第二章 風刺としての資本主義批判 ーー『ここは戦場だ』と『自由を我等に』 1 モダニズムの余白に 2 日常生活と出来事の弁証法 3 モダニズムにおける映画的技法 4 ヒッチコックの影、あるいは視覚的な無意識について 5 二つの初期トーキー映画 6 コメディの巨匠たち 7 機械の時代の風刺劇 <b>第二部 ジャンルの法則</b> 第三章 メロドラマ的想像力とは何か ーー『拳銃売ります』と『三十九夜』 1 「エンターテインメント」とは何か 2 イギリス時代のヒッチコック 3 サスペンス、あるいはメロドラマの表層的位相 4 メロドラマ的想像力 5 スクリューボール・コメディの影 6 二つのスクリューボール・コメディ 7 平等性のコメディ 8 ジャンルの法則、あるいは初夜について 9 メロドラマの深層 第四章 聖と俗の弁証法 ーー『ブライトン・ロック』と『望郷』 1 カトリック小説とは何か 2 宗教と道徳の弁証法 3 世俗の逆襲 4 生と死の哲学 5 サスペンスとしての恩寵 6 三つの映画 7 フランスの詩的なリアリズム <b>第三部 映画の彼方へ</b> 第五章 プロパガンダへの抵抗 ーー『恐怖省』と『マン・ハント』 1 グリーンの「神経戦」 2 ラングとグリーン、あるいは二つの『恐怖省』 3 反ナチス映画 4 「敵」の表象 5 だまし絵のヴィジョン 第六章 男たちの絆 ーー『第三の男』と『ヴァージニアン』 1 偽装するモダニズム 2 二つの『第三の男』 3 ダブルの増殖 4 ホモソーシャルとは何か 5 フロイトのパラノイア理論 6 西部劇への偏愛 7 西部劇としての『第三の男』 8 ジャンルの法則、あるいは救済の原理について 9 暴力の原風景 エピローグ あとがき グレアム・グリーン年譜 初出一覧 参考文献 索引