2018年4月20日発売
捜査一課の一ノ瀬拓真は、異動してきたばかりの係長・大城に苦手意識を抱いている。隣の係が担当する事件の「尻拭い」を一ノ瀬らに命ずる大城。芸能事務所社員が殺害された事件で、聴取後に被疑者が逃亡したというのだが…。業界の闇、錯綜する思惑、捜査方針を巡る対立ー。果たして、悲運な者たちの鎮魂はなるか?書き下ろし警察小説。
函館市内の中学校に通う関口俊太は、ロードバイクにあこがれていた。だが、父は失踪、母は水商売で、お金にも愛情にも恵まれず、一人、ママチャリでトレーニングする毎日だった。そんな俊太を周りは憐れみ、あるいはからかう。だが、ある日、岩熊自転車という自転車屋の店長との出会いが、俊太を変えることに!
法律事務所で調査員として働く風町サエは、服役経験のあるシングルマザー。今回の依頼者は、アイドル候補生が店員の安売りピザ店で大儲けをした男。自殺した少女の両親から要求された一億二千万円の賠償金を減額させたいという。調査を進めるうち、ある人の過去にも迫っていくことになったサエはー。
望遠鏡で近隣の生活を覗き見する趣味を持つ老女・田島あぐ。ある晩、隣のマンションの屋上で一組の男女が争っている光景を目撃し、翌日、その女性が屋上から墜落死したことを知る。直前の様子を見てしまった自覚はあるものの、覗き見の罪悪感から警察に駆け込めないあぐだった。第二、第三の惨劇も起こり、棟居刑事が動き出す!
不可解な密命を帯び、太閤秀吉に接近、能の指南役となった、役者・暮松新九郎。目論見通り、秀吉は能楽に没頭するが、その狂気と妄執は新九郎を翻弄する。舞台の上では、家康・利家ら大名たちの思惑が交錯し、各座の役者たちの駆け引きも繰り広げられる。天下人と新九郎の運命が織りなす、桃山時代絵巻。
鴎外がビールに、荷風がウイスキーに託した思いとは?本書は酒が様々なイメージで登場する傑作を厳選。古今東西、人類の友である酒になぞらえた憧憬や哀愁は今でも現代人を魅了し続ける。近代文学に足跡を残した漱石、露伴、安吾、谷崎、太宰ら16人の作家と白秋、中也、朔太郎ら9人の詩人、歌人による魅惑のアンソロジー。
戦争は勝ったか、負けたかというチャンバラではなく、その全体にわれわれの社会と同じような原理が働いているー。太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使して再現した戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」を付す。
隣同士の領地の屋敷で育ったアメリアとニック。いつしか抱くようになった淡い恋心。しかしニックは次男としての自信のなさから母の反対に抗えず、ロンドンを離れた。二年後に帰国し、彼はアメリアが他の男と婚約したことを知る。一方、足の不自由な姉を気づかいながら暮らすアメリアにも人知れぬ事情があった。再会し、かけがえのない存在だと気づいた二人が選んだ道はー新進気鋭の作家が描く、さわやかな王道ロマンス。