小説むすび | 2018年5月21日発売

2018年5月21日発売

誰が知るだろう、この物語のすべてが 一編の復讐劇でもあるということをーー 一代にして財を成し、 あまたの男の運命を狂わせた母クムボク。 並外れた怪力の持ち主にして、人ならざるものと心を通わし、 煉瓦づくりに命を賭した娘チュニ。 巨大な鯨と煉瓦工場、華やかな劇場をめぐる 壮絶な人生ドラマが幕を開ける。 ストーリーテラーとして名高い著者が、 破壊的なまでに激しく生々しい人間の欲望を 壮大なスケールで描き出した一大叙事詩。 ★韓国では累計15万部を記録するロングセラー ★「私にとって小説は最も自由で最も新しい芸術です」--チョン・ミョングァン 第一部 波止場 工場/ 鬼/ 一つ目/ 少女/ 波止場/ 荷役夫/ ローラ/ 刀傷/ ジョン・ウェイン/ 怪物/ 暴風雨/ 出港/ 流浪/ 双子 第二部 ピョンデ ヒメジョオン/ コーヒー/ 雷/ ナムバラン/ 象/ オート三輪/ 沼/ 煉瓦/ トンピョ/ スキャンダル/ 蜜蜂/ 祈禱師/ 白内障/ 娼婦/ 鯨/ 彼、または彼女/ 幽霊/ 前夜/ 火柱 第三部 工場 放火犯/ 刑務所/ バークシャー/ 鉄仮面/ 王族/ 出獄/ 帰還/ 谷間/ トラック/ 豪雪/ 大劇場/ チュニ、または女王 エピローグ1/ エピローグ2

繰り巫女あやかし夜噺 〜かごめかごめのかごのとり〜繰り巫女あやかし夜噺 〜かごめかごめのかごのとり〜

かごめかごめ かご籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ? 幼子の声が聞こえる。聞こえるけれど見えない、どこにいるかもわからない。天井近くにある小さな窓、そこから響いているが姿は見えない。窓は、つま先立ちになろとうと手に届かない場所にある。 太陽の光が恋しい。でも、外に出るのはおつと勤めの時だけだ。普段はずっとこの薄暗い部屋にしかいられない、誰も外に出してくれない。 「欲しいものはありませんか?」 「食べたいものはございませんか?」 優しく問いかける使用人たちだが、誰もが自分のことを気遣っているようで、そうじゃない。ならば、なぜここから出してくれないのか。 古都の玉繭神社にある機織り小屋で、今日も巫女・絹子は布を織る。田舎の辺鄙な村から出てきた絹子は、社務所に住みながら、大学で非常勤講師として日本文化や機織りを教えている。住処は大家が管理し、シロとクロという若者がいつも美味しい料理を作ってくれ、快適だ。だが、その寮の住人の数も、どんなモノが住まうのかも、絹子は知らないーー。そしてまた、新たなる事件が始まった……

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