2018年6月14日発売
霧の彼方に霧の彼方に
彼女の靄を引き裂き、最初の光となったのはーー 13世紀、霧のノルマンに展開する容赦なき無慈悲な運命の渦……。 修道院に閉じ込められ、長らく世間と隔絶していたノルマン貴族の娘メアリア ン。だが彼女はその、花をもあざむく美貌のせいで、兄の計略により、好色な 老人公爵に妻として今まさに献上されようとしていた。このままでは非情な兄 に利用され、操り人形になるだけ……。思いつめたメアリアンは、その夜、幽 閉されていた部屋を抜けだす。ところが、あと一歩のところで、男性の居丈高 な声が響き渡ったのだ。「君は誰だ?」顔を蒼白にして震えながら振り返ると、 あろうことか兄の客人、氏族長の子息アデアが眼光鋭く立ちはだかっていた。
妻という名の愛人妻という名の愛人
3年前、父が作った多額の借金を肩代わりしてもらう見返りに、マクシーはやむなく祖父ほども年の離れた富豪の愛人となった。実は見せかけだけなのに、周囲からは白い目で見られる日々…。老富豪が病に倒れた今、妻に返済を求められたマクシーに、彼らの甥であるアンゲロスから悪魔のささやきがもたらされる。代理返済しておいたと告げ、欲望の瞳で代償を求めてきたのだ!金のために身を売る女と蔑まれた屈辱に震えながら、夫となる人にしか身は捧げないとマクシーが断ると、彼は言った。「結婚しよう。但し、公の場で妻と認めることはできないが」