2018年7月9日発売
過度な自己破壊衝動を持つ男は最愛の妻を得ることで生きる意味を見出したかに思えたが、主治医の男と妻の関係に疑念を抱く(「落ちる」)。うだつの上がらない万年平行員の宿直当番中に銃を持った強盗が現れた。その意外な顛末とは?(「ある脅迫」)。サスペンスからユーモア、本格推理、叙情豊かな青春までバラエティに富む昭和ミステリの傑作短篇集。単行本未収録作「砂丘にて」収録。
アガサは愛しい人への未練を断ち切るため、やけくそで地図の上にピンを刺し、適当に引っ越し先を決めた。ところがそこは、とんでもなく閉鎖的な田舎の村だった。すぐに村人から、引っ越しの理由をあれこれ詮索されるはめに。「男に捨てられた可哀そうな女」と見られるのが嫌でアガサはつい、探偵小説を書くためにやってきたのだと見栄を張ってしまう。そして嘘にならないよう、どうにか村のお屋敷をモデルに描きはじめた矢先、なんと彼女の描いた手口どおりに、お屋敷の主人が殺されてしまった!退屈しのぎにやってきたチャールズとともにアガサは事件を調べ始めるものの、警察からは最重要容疑者として目をつけられてしまい…!?駆け出し時代の若きアガサを描いた短篇「アガサ・レーズンの初めての事件」も特別収録!
社交界にデビューしたてのローリー・バクストンは不幸にも醜聞に巻き込まれ、継母に勘当同然の扱いをうけてロンドンから姿を消した。以来、田舎に暮らすおばの家に身を寄せていた彼女を、ある日著名な貴婦人が訪ねてくる。そして今ローリーの家族に問題が起きているので、ロンドンに戻るようにと勧め、美しい赤い靴を持たせてくれた。8年ぶりに実家に帰った彼女は、継母が秘密の手紙をねたに脅迫されており、それを知られれば妹の婚約も破棄されかねないと聞かされる。手紙を持っているはずのダシェル侯爵からとりかえしてほしいと頼まれたローリーは、侯爵の母のコンパニオンとなって屋敷に入る計画をたてた。実はかつては彼女に恋こがれていた侯爵は、面接に現れたローリーを見て驚くが…“シンデレラの赤い靴”シリーズ、感動のフィナーレへ!
一九八一年、札幌。喫茶店“D”でアルバイトをしている大学生・コウヘイのもとに、東京で働く姉が「しばらく泊めて」と現れた。コウヘイは彼女がやって来た理由を聞けないまま、共同生活を始める。一方“D”では、店長が突如「辞める」と言い出して…。平和に思えた人間関係の綻びが垣間見えたとき、コウヘイたちがとった行動とは?未来に焦り、それでも前に進もうともがく若者たちを描いた傑作青春小説。
「食べられないものありますか?と出されたメニューに人の名前しか書かれていない」。「絶叫をあらわす手話を見たせいで、私の鼓膜は破れてしまった。」題名は入らない。文章に句点は一つ。詩ではなく物語である。物語の中でも怪談に近い。以上を踏まえた一続きの文章。をコンセプトに創作された怪談小説集。想像力を刺激され、恐怖や不安、幻想、ユーモアなどを感じられる作品を多数収録。
寒さも和らいだ春。戦争の後始末も終わり、着々とジョゼの結婚準備が進むモルテールン家では、領主代理のペイスが菓子を焦がした新人従士の指導に勤しんでいた。そんな折、不穏な噂が舞い込んでくる。ペイスの戦功を謳う演劇が王都で密かに上演予定というのだ。そこには名声に便乗を目論むレーテシュ伯らの影が…。ペイスの奇策で彼らの企みを阻止したのも束の間、ジョゼの婚約披露会で婚約指輪が盗まれてしまう!天敵ビターテイストまでが参戦するなか、ペイスが導き出す答えとは!?片思いが巻き起こす陰謀をお菓子の力で一挙解決!!甘く激しい大絶賛スイーツ・ファンタジー、遂に第10弾!大増書き下ろし新章「リコリス狂想曲」収録!