2018年8月24日発売
地球で最も深いと言われる太平洋のマリアナ海溝。その深海では太古の昔に絶滅したはずの巨大ザメ“メガロドン”が密かに生き残っていたー。突然、海洋研究所に招かれたジョナスは、昔、深海探査艇の敏腕操縦士だった。事故で仲間を喪って以来、初めて海に潜った彼を待ち受けていたのは、地球最大にして最恐のモンスターだった…。体長20メートル、体重20トン。巨大ザメと人間の死闘を描く迫真のパニック・アクション小説!
死化粧を施され、死装束を着せられた母は、静かな美しさをたたえていた。そして母の脳だけが標本として残された。(「死化粧」)。末期癌患者を診ながら、医者である私は、癌告知をしたものかと頭を悩ませていた(「訪れ」)。医局で初めての心臓移植手術。死に瀕した患者の心臓提供を説得する立場に立った医師(「ダブル・ハート」)。人間の病と生命の果て、肉体の意味とを、医師の視座から描いた初期の傑作医療短篇集。
疎外された人々が流れ着く街・イタギリの少年・晴史は、ごみ収集で家計を支えながら、似顔絵描きの可憐な少女・シズクと心を通わせ、苛烈な日常の中に居場所と安らぎを見出す。しかし運命は、静かに身を寄せ合うふたりを無情に引き裂きー。「ねぇ、お願いがあるの」薄れゆく意識の中、シズクが最期に望んだこととは?希望なき世界で出会ってしまった少年と少女の、恐ろしくも美しい究極の愛。涙と狂気のラブストーリー。
吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジュラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始めるー。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。
電車内で女子高生に痴漢を働いたとして会社員の武本が現行犯逮捕された。武本は容疑を否認し、金を払えば示談にすると少女から脅されたと主張。さらに武本は県内有数の資産家一族の婿だった。担当を任された検事・佐方貞人に対し、上司や国会議員から不起訴にするよう圧力がかかるが、佐方は覚悟を決めて起訴に踏み切る。権力に挑む佐方に勝算はあるのか(「死命を賭ける」)。正義感あふれる男の執念を描いた、傑作ミステリー。
新宿・歌舞伎町のラブホテルのフロントに立つ本杉高志は、奇妙な成り行きから18歳の少女理絵と同居を始めた。その頃、高志の顔見知りのエスコートクラブ嬢フェリシアが町田市内の「防空壕」で絞殺死体で発見される。死体のそばには隠岐島特産の桧扇貝の断片が落ちていた。しばらくして、理絵が姿を消し、彼女の残した手帳には「隠岐汽船乗船名簿」がはさまっていてー。棟居の推理が切ない真実を暴く、森村ミステリーの傑作。
警視庁に、奇妙な通報があった。石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は事故ではなく殺人である、と。妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。医療過誤や製薬会社との癒着、患者の自殺関与。病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。
若くして扇野藩士の後家となった紗英は、江戸から配流されてきた旗本・永井勘解由の接待役兼監視役を命じられる。この年、江戸城内で赤穂藩主浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける事件が起きた。勘解由は浅野の切腹直前、“最後の言葉”を聞いたという。その行いが将軍綱吉の機嫌を損ね、流罪となったのだ。だがある日、浅野家国家老大石内蔵助が密かに訪ねてくる。勘解由に惹かれていた紗英は、自らの立場との間で揺れ動くー。
夏の炎天下、しがない30代男・奥田狐(通称:コン)のアパートを、小さな天使が訪ねてきた。天使の名は遊。離婚で別れた8歳の息子だった。久々の再会に、嬉しさより得体のしれない物に対峙したときの恐怖を感じてしまう狐。しかし息子は、上気した顔で、そんな父を見上げ微笑む…自分しか愛せない、とことんダメな父と、子どもでいることを必死に我慢する健気な息子が、親子をやり直すために奔走する姿を追う、涙が止まらない感動作。
父の代理で壱葉と宇宙居住モジュールの見学に訪れた花穎。3人目の見学客としてやってきたのは、イリヤと従者の不知火だった。思わぬ再会に衣更月との確執を気にする花穎だが、トラブルのせいで不知火と2人きりで密室に閉じ込められてしまう。一方で衣更月はある決断を下し、「私は花穎様に理想の当主になって頂きたいとは最早、思っておりません」と花穎に告げるが…!?それぞれの理想がすれ違う、大人気上流階級ミステリ!
小学生のころにはやった嫌いな人を消せるおまじない、電車の中であの女の子に出会ってから次々と奇妙な現象が始まり…、虫だと思って殺したら虫ではなかった!?幼い息子が繰り返し口にする謎のことば「だまだまマーク」って?横断歩道で事故が続くのはそこにいる女の子の霊が原因?日常に忍び寄る少しの違和感や背筋の凍る恐怖譚から、温かさが残る救済の物語まで、著者の“怖くて好きなもの”を詰め込んだ多彩な魂の怪異集。
街歩きサークルの遠近倫人は、幻の古書を探すため、古本市でバイトを始めるが、不可解な万引き騒動に巻き込まれてしまう。そんな中、恋い焦がれる謎好き女子・青河幸の態度が急によそよそしくなり…。下鴨神社、鉄道博物館、時代祭…神出鬼没の謎解きバー「三号館」の妖艶な女マスターのヒントを頼りに、倫人はこじれた恋と謎に結論を出すことができるのか?青春の輝きと謎が夜空に舞う、京都ご当地ミステリー、第2弾。
「地下鉄の終電で降りた駅の、改札を抜けた先にある蕎麦屋は江戸の怪談『本所七不思議』の“灯り無し蕎麦”だった」不気味な動画を偶然見てしまった那由多は狭間堂に報告する。ポン助も浮世に怪談が増えている噂を聞きつけていて、一同は真相を確かめることに。終電で降りた駅の改札を進むが、そこにあったはずの蕎麦屋は無く!唖然とする彼らの前に現れたのは学生帽と黒マント姿の青年だった。シリーズ最強の禍が登場。
貧乏旗本の三男坊・徳田新之助の正体は、時の将軍・徳川吉宗だった!御側御用取次・加納の目を盗んで城を抜け出しては、町火消『め組』の辰五郎、大岡越前と江戸の安寧を密かに守っていた。だが一方で、吉宗不在の江戸城では天下を揺るがす巨大な陰謀が蠢いていた。札差の賄賂疑惑。幕政を批判する軍学者。江戸城に上がる火の手ー。果たして吉宗は防げるのか。国民的時代劇が新作時代小説となって今、蘇る。新シリーズ開幕!
生きる希望を失い、死に場所を求めて河川敷をさまよっていた丸川は、泥まみれになって楕円のボールを追う男たちと出会う。40歳以上限定の「不惑ラグビー」に打ち込む彼らのおせっかいで、生き続ける道を選んだ丸川。心を通わせていくなかでかつて背負った罪と向き合っていくが、過去をチームメイトに知られてしまう。仲間もそれぞれ事情を抱えていて…。人は何度でも立ち上がることができる。大人の青春ラグビー小説!
御家断絶の危機を救うため、旗本・葉月家の身代わり若殿となった虎丸。ようやく家来一同への顔見せを果たすと、次は将軍謁見に備えて稽古に励む。虎丸にとって、御目付役の目が光る殿中での非礼は命取りだ。だが、困難は次々と降りかかる。公儀が芸州虎丸を捜し始めると川賊が再び動き出し、葉月家も飯米五百石を奪われてしまう。さらに、大老格の柳沢吉保と先代・葉月定義の確執も判明し…風雲急を告げる、シリーズ第2弾!
母親から厳しく躾けられた加納凛は、今日も黒髪を後ろで一つに束ね、教壇に立つ。しかし凛には誰にも言えない密やかな愉しみがあった。派手な化粧とエロティックな下着に身を包み、自身を撮影する。シャッター音が響くたび、凛の興奮は高まっていく…。だがある夜、“鈴木”と名乗る男から、凛の淫らな写真が届く。“今すぐにでも、先生の写真をバラまくことができるんですよ”-新しい写真を送るよう強要された凛は…?!
妻に去られ職も失った64歳の尾津君男の元に、一本の電話がかかってきた。水川と名乗る青年は、恐るべき機能の故に秘されたソフトウェア「ヒミコ」の「鍵」が、尾津と佐藤かおるという女性に預けられたという。一笑に付した尾津だが、水川が謎の自殺を遂げたことで、かおるを捜すべく動きだす。ヒミコを巡って対立する2つの組織の間で翻弄されながら、培った交渉術を武器に立ち上がるがー。一気読み必至、極限サスペンス!
西池袋の住宅街で資産家が自宅で3億円の現金を奪われたうえ殺された。警視庁捜査一課の警部・郷謙治は、秋田管理官から意外な指示を受けることになる。警察庁のキャリアで警部の志塚典子と組んで捜査をしろというのだ。しかも、事件の本線から外れていると思われる被害者の交友関係先を洗う地味な捜査だ。プライドの高い志塚に、戸惑う郷。恋人に扮して、聞き込みを続ける2人は、やがて事件の意外な一面を発見することになる。